強いリーダーシップ

旭山動物園の例ではありませんが、職員はまったく代わらないのに、リーダーが代わることで、その職員が生き生きし、発想が豊かになり、組織をよみがえらせることがあります。その企業の業績が下がるのは、時代のせいでもなく、組織のメンバーのせいでもなく、リーダーの在り方によることが多いのです。それがリーダーシップなのです。

 園の近くにエステー化学という会社があります。「消臭りきー」というコマーシャルで話題になりました。この会社は、強いリーダーシップをとる新しいリーダーにより、生まれ変わったのです。現在会長である鈴木喬さんは、51歳の時にそれまで勤めていた日本生命を辞めて父親と兄が経営していたエステーに移りますが、社長になるのは63歳の時です。「何をしでかすかわからない。」ということで、就任後も大反対にあったそうです。それは、当時社内では、危機感がなく、変化せずとも、しばらくするとまた景気がよくなるだろうと幻想を抱いていたからだと言います。

鈴木さんは、就任のスピーチで「聖域なき構造改革をやる」と言って改革に着手します。彼の信念は、勝負っていうのは「3日、3月、3年」だと言います。「三日で全部言いたいことを言って、三ヶ月以内に全部実行に移す。それでケリがつかないときは三年かけて攻め落とす。だから最初にガツンとやるのが肝心です。」と「致知」という雑誌で日本マクドナルド社長の原田さんの対談の中で振り返っています。この断固たる決心と決断は、原田さんも同感しています。原田さんも就任してのスピーチで、「いまから新しいバスが出発する。乗りたくない人は乗らなくて構わない。」と言っています。

このかなり強引に見える改革へのスタートは、私から見ると、断固社員みんなを守るぞという決心に聞こえます。それと、社内に流れている空気というか、今まで築いてきたと錯覚している風土から、真の問題点を指摘している言動の気がします。それは、原田さんのこれに続く言葉でわかります。原田さんが就任した当時の日本マクドナルドは、うまくいかないのは、「アメリカ人は日本をわかってくれない」とか「向こうは日本のことを知らない」というのが企業風土だったのです。それを原田さんは、「マクドナルドはアメリカ国籍の企業だ。それが嫌なら日本のうどん屋へ行け」とまで言います。もちろん、会社を去った職員もたくさんいたそうです。

この時に、鈴木さんや原田さんは、基本的に守りたかったのは、会社でもなく、まして社員ではなく、顧客に視点が向いていたのでしょう。私たち園の経営も、守るべきは子どもたちです。当たり前のことですが、子どもを犠牲にしてまでも園を守ろうとする姿勢は、次第に信用を失い、結局は園を守ることができなくなるのです。もちろん、役員、社員を説得し、彼らの同意を得て、みんなで一丸になって進むのが理想ですが、人はそれぞれ考え方は違いますし、価値観が違います。全員に納得してもらうまでは改革しないというのではいつまでたっても進みません。リーダーは、確乎たる信念と、きちんと大義に殉じていれば、恐れることはないのです。その時に、自分の保身のために反対しているのではなく、きちんと大義を共有する社員はついてくるはずです。このあたりが、追い詰められた瀕死の状況から立て直す時の難しさです。

しかし、そうはいっても厳しさだけでは人はついてきません。リーダー自らの行動力が必要なのです。そこは、どう進めていったのでしょうか?

強いリーダーシップ” への7件のコメント

  1. 顧客や子どもに視点が向いているということであるならば強引な姿勢であってもリーダーとしてはついていきたくなるだろうと思います。それとは違い、自分のために強引な姿勢を貫くリーダーには魅力を感じるどころか一緒にいるのも苦痛になってしまいますね。原田さんの言葉も少しキツイかもしれませんが、大切な言葉であるように感じます。「分かってくれない」や「やってくれない」と愚痴をこぼすのではなく、分かってもらえるように、やってくれるように工夫するということが大切であるように思います。誰かのせいにするのでなく、自分たちから変わっていくという姿勢が大切なんだろうと思います。「全員に納得してもらうまでは改革しないというのではいつまでもたっても進みません」これも本当にそうですね。何かを変えるということはそれだけ丁寧さや慎重さ、情熱や強い姿勢といろいろなことが必要になってきそうです。このあたり、難しいところですが、だからこそのおもしろさもあるのかもしれません。

  2. 常識をことごとく崩していくリーダーの姿は、周囲から“優れたリーダー”として見られていくでしょう。それは、“顧客”への視点がぶれずに行う姿であることに限ります。その“顧客”という対象がぶれていないというのは、どこで判断しているのでしょうか。当たり前かもしれませんが、私は、よくその人が使う“言葉”から判断しているように思います。自分では用意もしていなかった言葉が、ふと口から出ることがあるからです。いわゆる“口癖”もそうだと思います。それが、自分本来の姿であり、その“言葉”がその人を形作っていくのではないでしょうか。そのうえで、“言葉と行動が一致している”という確信は、大義を共有し、追いつめられた瀕死の状態であっても“ついていきたい”ということになると思います。そこには、厳しさだけではない“筋”があるからです。

  3. 違う意味なのですが、「3日、3月、3年」という言葉を久しぶりに聞いて懐かしくなりました。何かを習得していくためにはまず3日、次に3月、そして3年と続けていくことが大事なんだということを、ある高齢の方から会うたびに言われていました。ここで紹介されていることと意味は違っていますが、大きな捉え方をすると共通点があるようにも思います。違うんですけどね。
    今は大きな変化ではないですが、小さな変化は積み重ねていかなければいけない時期だと思っています。大きな目的のために変化することを当たり前のことと受け止めておきたいですし、周りの人にもそのように受け止める意味を理解しておいてもらいたいと思っています。

  4. 旭山動物園の例は有名ですね。あの成功例を聞くと、いかにリーダーが重要な役割かが理解できます。エステー化学とマクドナルドの社長も、旭山動物園の園長同様、強いリーダーシップを発揮し、皆を引っ張っていきますが、強いリーダーシップというのは、権力がある、威厳がある、怖いなど、表面的なオーラではなく、やはり「強い信念」だと思います。自分の会社は何のための会社か?最近のブログではありませんが、私心が強いと信頼も失い、そして社員に伝わり、誰もついていかなくなります。保育園も子どもの為ときちんと大義を示せば、同じ思いの保育士は必ずついてくるはずです。そしてブログに書いてありますが「断固社員を必ず守る」という姿勢も重要なことだと思います。

  5. 物事を変えるとき、又はそれに向かっているときに「本当に大切なところ」がぶれてしまうときがあります。優秀なリーダーとなった方々はしっかりとした理念や信念、そのための自分なりの裏付け、これらがあるからこそ「本当に大切なところ」がぶれないのだと思います。いわずもがな保育園という組織は「子どものため」にある組織であります。しかし、ときに「保護者のため」や「保育士のエゴ」ということに変わります。考え方によっては「子どものため」なのかもしれませんが、どの部分に主点を持つか、どういう風に子どもに向かってのか、これらは保育園自体の風土や文化によるところが大きいでしょうね。それらを含めて保育の理念を作り上げていかなければいけませんね。保育の方法は人それぞれです。しかし、価値観はある程度、同じ方向に向かっていかなければいけません。強いリーダーシップというものは強い理念や信念をもっていて始めて出来ることなのだと思います。自分自身、もっと磨いていく部分が多すぎて、反省ばかりの日々です。

  6. 「厳しさだけでは人はついてきません。リーダー自らの行動力が必要なのです。」という今回のブログの最後の言葉は、藤森先生の園長ぶりを観ていると本当に頷けます。自ら率先垂範、しかも即時処理の行動を起こします。今日の園でのお話、そしてたびたびお聞きする「誰もやらなかったら私一人でもする。だから自分一人でできる仕事をする」ということは本当にその通りだなと常に感心しています。そして藤森先生のもとに集う多くのが若者たちがやがて保育界や教育界、あるいは関連業界の中で頭角を現していくだろうことは確実で、そうした活躍の姿を見る楽しみがこれから待っていますね。私たちの園の近所にエステー化学の本社ビルがあります。どの人が鈴木さんなのかお顔を存じ上げておりませんので、わからないのですが、もしかすると道でお会いしているかもしれませんね。園の元保護者がエステーの社員さんで試供品を頂くなどのお世話になりました。ご縁を感じます。

  7. 最初の冒頭部分を読み、納得してしまいました。
    どんなに優秀な人がいてもその人の本質を見抜き、その人の良さを理解できるリーダーがいないことには、その能力を活かすことはできないと思います。
    スポーツ界でもすべてとは言えませんが、監督が代わると、チーム事態の雰囲気や選手の考え方まで、変わっているのが伝わってくることがあります。
    ゛基本的に守りたかったのは、会社でもなく、まして社員ではなく、顧客に視点が向いていた゛とあり、社員へは、厳しい言葉のようですが、顧客がいるからこそ、自分たちがいるんだ、そして、会社があるんだという考え、゛リーダーは、確乎たる信念と、きちんと大義に殉じていれば、恐れることはない゛とあり、根本にある理念が伝わるような行動を見せることが必要だと感じています。

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