維持する

 東北大震災の時に、人々は「絆」の必要性を感じ、いろいろなところで「絆」が語られるようになりました。その絆は、組織においても必要なことです。人と人との関係には感情の絆が形成されることが必要ですが、それは、リーダーの力が必要です。リーダーは、人々が何を欲し、何を必要としているかに注目し、集団の健全性を維持する文化を意図的に作る努力をする必要があります。この努力を通じて人のつながりを育てるのです。そうして生まれた絆という土壌の上に、共鳴という種をまくことができるのです。土壌がよくないと、種を立派な芽を出しません。土壌には、たくさんの絆という肥料が必要なのです。

 そして、人々は良いときも悪いときもリーダーについていくようになると言います。共鳴は、仕事や仲間に対する信頼を基礎にして、目には見えなくとも、絆は強力なものになっていくのです。これを実現するためには、職場でリアルタイムの人間関係を育てる必要があります。このリアルタイムの人間関係は、仕事中だけでなく、オフタイムの時にも共に語り合い、笑い、話を共有し、夢を育てていくことが大切であるとゴールマンは言います。私は、今、職場内にそういう仲間に巡り合え、彼らと夢を語り、笑う関係があります。それは、もはや戦略や、ビジョンのためというよりは、他人としていく手いくうえでの力をもらっている気がします。私たちホモ・サピエンスという人類は、そうすることで免疫力が高まるのではないかと思っています。反対に、人間関係のストレスは、建設的でないだけでなく、お互いに寿命を縮めます。

 最後のルールは、「組織のEQを維持する」です。そのためにまず、「ビジョンを行動に発展させよ」です。リーダーは、あらゆる機会をとらえてビジョンがどのように見えるものか、どのように感じられるものか、どのように将来へつながっていくものかというようなことを示さなくてはならないと言います。そのために、リーダーは、自らが発見と変革の手段となり、プロセスを進め、目標に到達するまで決してあきらめてはならないのです。それは、いつまでも頭の中でこねくり回しているのではなく、行動することです。その行動指針は、対話や決断において、リーダー自信の価値観や、組織内に形成しようとする価値観に沿った行動であることが理想であると言います。そして、リーダーは、指導とビジョンと民主主義と人間に対する敬意をもって集団を導いていかなければなりません。

他者に対しても、リーダーは価値観と組織のミッションに恥じない行動を呼びかける必要があります。ビジョンを行動へと発展させていくためには、他にも必要なステップがあるからです。組織構造と職務設計を変えること、人間関係の規範を変えること、制度とパフォーマン期待をビジョンに合致するように練り直すこと、そして、仕事の内容を組織のミッションに近づけていくこと、などが課題となります。それらのことが行動へと発展させていくのです。一つの組織だけが浮き上がってしまっては、それはビジョンに近づいてはいきません。周りも巻き込んでいくことが必要になるのです。それがなければ、行動は発展していきません。それを考慮に入れながら様々なものを変えていく必要があるのです。

 維持するということは、そこに留まるということではありません。常に行動することです。そこに留まること、変化しないということは「次第に衰退していく」「次第に後退していく」「次第に時代遅れになってくる」ということを意味します。