原始的集団におけるEQ  

 最近の私の課題は、人間の進化から子どもの発達や育児を考えることです。生物の中で、人類が驚異的進化を遂げ、人間と呼ばれるまでのヒト族の中での生存競争にホモ・サピエンスが残り、他のヒト族が全滅したのち、ホモ・サピエンスが世界中に広がり、私たちの祖先になったまでの経緯から、その遺伝子をどう次世代につないでいくかを考えることに、現在の保育のあり方を考えるヒントがあるのではないかということに気がついたのです。そのために、その経緯と、その考え方をブログでずっと掲載してきたのです。

 ホモ・サピエンスが、さしたる能力がないにもかかわらず生存戦略に成功した一つの理由に「協力」するという遺伝子が重要な役割を果たしていたということは、以前のブログで何回かに分けて取り上げました。太古の昔、人類は50人から100人の群れでまとまって移動し、そのサバイバルは緊密な相互理解と協力にかかっていたのです。太古の人類が、原始的集団を形づくっていたころの原則に戻って考えれば、職場におけるEQと共鳴の重要性には気がつくはずです。したがって、職場においてEQが大切であるという考えは、決して新しいものではないとゴールマンは言っています。ただ、組織が成功するためにEQがいかに大切であるかが研究によって明らかになったのは、ほんの最近のことのようです。

 ゴールマンは、「ある意味では、太古の狩猟採集民の集団は、インドの会社であるヒンドスタン・リーバやペンシルベニア大学のチームとそれほど変わらない。共鳴のある集団ならば、互いの結びつきや同庁に意味を見いだせるものなのだ。優れた組織においては、人々は集団としてのビジョンを共存し、特別な相互作用を共有している。そして、互いに理解し理解されあう居心地の良さを感じ、仲間と共にあることに満足している。」と言っています。

 人類は、文明を作り、様々な産業を発展させ、便利な機械を発明してきました。しかし、それらに振り回されることなく、人類が太古の昔から受け継いできたものを見直し、私たちの遺伝子に受け継がれてきているものを次世代につないでいかなければならないのです。このような共鳴的な組織をつくり上げることが、リーダーの仕事なのです。人類は、緊密な相互理解と協力によって生存してきたとするならば、それは、集団としての組織のあり方を示していることになるのです。そして、そういう組織こそ、皆でいることに満足し、居心地がよく、それが、組織が持つ機能が最大限に生かされることになるのです。

さらにゴールマンは、こう付け加えています。EQの高いリーダーは、自分たちや組織に関する真実を見つけるプロセスに人々を巻き込んでいきます。優れたリーダーは、現実に何が起こっているかを認識し、組織にとって有害な事実に人々が声をあげられるよう支援し、組織の長所を伸ばしていく努力を惜しまないのです。同時に、優れたリーダーは理想のもとに人々を結集させ、その過程で協調の新しい形を編み出し実践して見せます。優れたリーダーは、共鳴を生み出し、組織の人間関係や仕事の波に対処できるシステムの構築を通じて共鳴が維持させていくように工夫をします。

さらに、ゴールマンの研究によると、EQの高い良質で共鳴的な企業文化を構築していくうえで、三つの取り組み方のルールがあるということがわかったそうです。それは、「感情的現実を発見すること」「理想のビジョンを描くこと」「EQを維持すること」だと言います。