内なる声

 改革のためには、「広角設問法」を用いて、スタッフや組織の現実の姿を見極めることが必要です。それは、ポイントを絞った会話と自由回答式の質問によって、組織の人々の気持ちを引き出すのです。設問をする作業にみんなを巻き込んでいきます。それに巻き込まれることによって、スタッフは仕事に対する情熱や夢を取り戻していきます。そうなると、ビジョンを明確に持ったリーダーに皆がついて行くようになります。そうなると、最後の仕上げとして、新しくなった習慣や働き方を維持するための制度を作らなければなりあm戦。これは、変化を定着させる上で不可欠な手順だとゴールマンは言います。それは、EQを佐田輝人事慣行を作ることが共鳴と健全な感情風土を維持するカギになるというのです。

 EQの高いリーダーは、自分が第1に取り組むべき課題は、組織の現実を見ることであり、主要な人材を巻き込んで問題点を特定することであることがわかっています。そして、その一方で、個人や集団に将来への希望を語らせます。優れたリーダーは、組織の長所と短所の双方を考えさせ、そのうえで現実に対する共通認識を引き出し、集団のエネルギーを未来のビジョンへ向けてやることができるのです。

 文化的現実が把握できたら、EQの高い組織を作るための次のステップは、個々のメンバーの希望や夢と矛盾しない組織のビジョンを打ち立てることだとゴールマンは言っています。実際に動くのは組織のメンバー個々です。そこで、個々の夢の実現が、組織の夢の実現と矛盾しては、どう動いてよいか分からなくなりますし、内心不満が出てきてしまいます。EQを発揮して、模範を示すリーダーの姿を見て、組織のメンバーは理想とするビジョンを支持するようになっていきます。メンバーたちが共通のビジョンに焦点を合わせて前進していく組織は、調査によると、「働きたい企業」リストにも登場するようです。しかし、組織の理想的ビジョンをはっきり提示するために、リーダーは何をすればいいのでしょうか。

 まず、最初は、リーダー自身が自分をよく見つめ、自分自身の夢や組織に求める理想的ビジョンについて深く考えてみることだとゴールマンは指摘します。自分の内面に目を向けるところから始まるのです。何かが変だと思うとき、何かが欠けていると感じるとき、計画を見直す必要があると感じた時、自分の内なる声に耳を傾け、自分の不安感がどこからきているのか考えます。自分たちのやっていることは、どこも間違っているように見えなくとも、自分の感覚を信じ、変革をもたらすために、新しい文化、新しい思考様式、新しい行動規範を創造していくことが必要なのです。

 企業文化を共鳴へ導くことのできるビジョンを見つけるために、EQの高いリーダーは、自分の内面を凝視することから始めます。自分がどう感じ、何を考え、組織にどんな印象を抱いているかを自問ですのです。彼らは、研ぎ澄まされた感度で企業の理想的ビジョンやミッションを把握し、理想と現実のギャップを認識します。EQを発揮して、現状からかすかな手掛かりを読み取る作業であって、決して直感ではないのです。こうして、リーダーは企業に関する様々なデータのはるか先まで見ることができるとゴールマンは言います。

 さらにゴールマンはこう言っています。「このような洞察を得るには、静かな環境に引きこもって熟考する機会を定期的に持つのがよい。深い思索は、真夜中に訪れることが多い。一人きりの暗く静かな夜に沈思黙考する時間を持つことによって、リーダーは心の片隅に引っかかって消えない疑問に答えを見いだせるようになる。」