リーダーのストレス

 リーダーシップ論を読むと、随所にリーダーだけでなく、すべてに通じる部分を感じますし、それは生き方であれば、保育、教育、育児にも通じるものがあります。リーダーにとって安心感に満ちた環境が必要であるということは、まさに、どの場面でも言えることです。しかし、それを阻害している条件は、それぞれの場によって違っています。リーダーという立場は、いつも周囲から一挙手一投足まで観察されているようで気が抜けず、新しい習慣を試してみることも容易ではないと言います。他人の批判的な視線が注がれていると思うと、早く進歩を確かめたくなるでしょうし、危なっかしい練習を省略したくなるものだと言います。そんなこともあって、リーダーはストレスが多いものです。

 リーダーとは、ある権力を手にした人だと思う人がいます。すると、より大きな権力を手に入れようとします。このような権力志向の強い人はより強いストレスを感じるようです。どうも、ストレスは、望んだことがなかなかかなわないときに起きることが多いので、何かの欲が生まれたとき、なにかへの欲が強い人は肉体的ストレス同様の反応を示すことがわかっています。権力への欲望が高まり、ストレスが増大すると、ストレスホルモンであるアドレナリンとノルアドレナリンが分泌されます。それによって血圧が高まり、行動を起こす準備が整います。同時に、肉体はコルチゾールというストレスホルモンも分泌します。これは、アドレナリンより長く血中に残り、新しい学習を阻害するようです。

 ストレスを感じると、安心感が失われ、新しい行動パターンを練習することができなくなります。そして、自己防衛的になり、最も慣れ親しんだ行動パターンに頼ろうとします。また、強いストレスが続くと、脳はコルチゾールの分泌を命令し続けます。すると、新しい学習は必要な脳内の海馬が活動できなくなって学習は阻害されてしまいます。そんな理由から、リーダーの学習は安心感の得られる環境が最適であるというのです。心理的に安心できる環境が整うと、失敗した時の恥ずかしさや恐怖をあまり考えずに試してみる気になるからだと言います。ただし、楽しい職場とふざけていい職場と違うように、安心感の得られる環境とモチベーションが下がるようなリラックスした環境とは違います。脳は、適度に刺激されないとモチベーションとか興味が下がってしまい、学習には向いていなくなるからです。

 それにしても、学習を応援してくれる人々との特別な人間関係を養うことは、成長を続けていくうえで非常に大切なことです。自分の夢を発見し、自分の長所と短所と影響力を知り、学習計画を進めていくうえでメンターやコーチは大切な存在になります。しかし、そこには、率直な信頼と、支援に裏付けされた人間関係がなければならないのです。その関係の中で、自分の目標を理解してくれ、希望や学習計画を話し合ってくれることにより、メンターはコーチの役割を務めてくれることになるのです。

 このようにリーダーが育っていくことは組織にとって非常に重要なことですが、リーダー一人が成長していくだけでなく、チーム全体がそれによって巻き込まれていかなければならないのです。そして、チームの協力体制を向上させる必要があります。職場の空気が一人一人のEQを発揮し、リーダーシップの能力を伸ばす努力を促すように相互作用が必要なのです。それは、リーダーと並行して組織も変化していかなければならないからです。