学習計画

ゴールマンは、リーダーにおけるEQ能力の必要性について述べています。それは、部下をうまく動かし、高い業績を上げるマネージャーは、どのような資質や特徴を持っているのかということを、企業幹部への調査結果から明らかにしました。それは、彼らには六つの「EQリーダーシップ・スタイル」を使い分けていることが判明します。その中で、4つ以上のリーダーシップ・スタイルを使い分けることが望ましいとしていますが、そのためには、それぞれのスタイルの基礎となるEQを強化することが大事だとしています。この六つのスタイルについては後で説明しますが、まず、EQを強化するための「5つの発見」を提案しています。

その第一の発見が、「理想の自分」の発見でした。そして、第二の発見は、「現実の自分」の発見です。そして、第三の発見は、「学習計画を作る」ということです。リーダーとして新しい力をつけるための具体的計画を作る必要があります。計画は、本人が改善したいと考える項目に焦点を当てると同時に、実行可能な内容でなければならないと言います。また、短所を補う一方で、長所を生かす工夫も必要なのです。

この作成ほど、広い視野が必要なものはありません。私は、アイディアが詰まると、よく職員と買い物に出かけます。いろいろな店を見て歩くことで、いろいろなヒントを得ます。それは、アイディアだけでなく、改善方法や学習方法を見出すことがあります。その時に、自分だけで考えるだけでは、それはその時点で止まってしまいます。誰かに話すことで、その計画の矛盾点や欠点を見出すことができるのです。そこで、いつも誰かと一緒に出掛けます。その相手がコメントを言うか言わないかには関係なく、口に出すことに意味があるのです。

ゴールマンは、ある重役が、娘のサッカーチームのコーチを引き受けたり、地域のボランティアをしたり、活動領域が広がったおかげで、新しい眼鏡をかけて世界を眺めたおうに、自分のが改善すべき点がよく見えるようになった例を挙げています。人生のいろいろな場面を学習目標に結び付けて考える人ほど、練習を積む機会を多く得られると言います。ケース・ウエスタン・リザーブ大学のホイーラー教授の研究によると、学習目標を立てた人たちの中で、職場だけでなく、家庭や教会や地域社会などより多くの相手や状況において練習に励んだ人ほど著しい向上を示したそうです。しかも、向上した能力は、2年を経過してもはっきり認めることができたといいます。

あらゆる機会をとらえて練習に励むほど、向上も早いのは、人生すべてが学びの場だからです。そして、特定のパフォーマンス水準に目標を定めただけの単純な学習計画よりも、理想と現実を勘案して決めた学習目標の方が効果的であるということも言うまでもありません。そのために、学習計画は変化の可能性に重点を置き、その変化が最終的には、仕事のパフォーマンス向上につながるとゴールマンは考えています。

 よく、夢と現実は違うということが言われますし、部下が夢を語ると、経営者は、「そんな夢みたいなことを言っても、現実は違うのだ!」ということがあります。しかし、真にすぐれた学習計画は、自分がどうなりたいかという理想像を考えさせます。他人が決めた目標を押し付けるのではなく、具体的な習得目標を立てる場合には、個々人が、モチベーションをかきたて、才能を燃え立たせるような夢と関連付けることができることが必要なのです。