長所と短所

 人は、自分がやったことに対して人から評価されることはあまり望みません。それは、肯定的な評価であればいいのですが、否定的な評価ではなおさらです。もちろん、より良いパフォーマンスを発揮するには、耳に心地よい情報だけでなく耳に痛い情報も必要であることは知っているのですが。しかし、自発的学習のための発見の2番目にあげられる「現実を見極める」という点では、「自分が自分をどう見ているか」ということと同時に、「他人が自分をどう見ているか」を知ることが重要になってくるのです。特にリーダーとして、自分のリーダーシップの長所と短所を理解する必要があると言います。すなわち、理想と現実が一致している点と乖離している点を理解することが出発点であるとゴールマンは。言っています。

 自分が評価し保持したいと望む部分と、改善したり変えたいと思う部分を整理することが必要であるとしています。そうした自己認識を持つことによって、人間は変わることができるというのです。保持したい部分と変革しなければならない部分は、たがいに照らし合わせて考える必要があるのです。それは、長所が短所の原因となっている場合もあるからです。例えば、イニシアチブが強すぎて、時に感情のコントロールが不十分になってしまう場合などです。また、短所が長所に起因する場合もあるからです。例えば、インスピレーションが豊かで特定のビジョンに熱心過ぎるあまり順応性を欠いてしまう場合などです。

 このことは、私も常に気を付けているところです。長所と短所は表裏一体で、良い場面で発揮されれば長所になり、悪い場面で発揮されれば短所となってしまうからです。これは、自分自身に対して気をつけるだけでなく、他人への評価にも気をつけています。では、リーダーによってどのような場面がよい場面で、どのような場面が悪い場面かというと、良い場面とは、現実と理想が重なる部分で、現実が理想に届かない部分は悪い場面と言えるのでしょう。

そして、短所ばかりに目がいかないことも大切です。多くの人はどうしても短所の方にばかり目が行ってしまいます。特に実用派の経営哲学を持つリーダーは、達成意欲が非常に強く、そのために短所に注目するきらいがあると言われています。しかし、自分の能力を過小評価しているせいで、肯定的なフィードバックを信用しなかったり、避けてしまったりします。このように短所を強調すると、前頭葉前部の右側が活発になりやすく、モチベーションが下がり、自発的学習が阻害され、変化のチャンスを逃がしてしまうことになると指摘されています。

この指摘は、リーダーシップ論での自分自身への評価についての心得ですが、職場におけるチームワークの中でのお互いの評価、また、保育者が子どもに対しての評価にも言えることです。そして、より質を向上させるための評価には、「多面観察調査」ということを提案しています。リーダーは、いろいろな人たちからフィードバックを受けることによって、より完全な自分像を描くことが可能になるからです。見る人の種類や立場が異なれば、見える像も違ってくるものだからです。それは、保育者や教育者が子どもを評価する際にも気をつけなければなりません。長所と短所が表裏一体であるということからも、ある立場からの評価だけでは、真の姿を見えることは困難になってしまいます。

そんなことからも、私は、担当制、一人担任ではなく、チーム保育、ティームティーチングが必要であると思っています。