文化を変える

 組織の改革にあたって「文化を侮るべからず」ということは教訓です。文化は個々のリーダーの力で変えられるものではないからです。全体像を見ずに、個々のリーダー育成は失敗するのです。リーダーシップ育成は、文化に正面から取り組み、それを変えるとことから始めることが必要です。新しく進歩的な組織文化を作り上げることをしていかなければなりません。まず、リーダーたちは、過去の習慣、個人的信条、将来の夢などについて深く考えます。そして、私生活と仕事の両面における人生の重大事である価値観、人間関係、ビジョン、将来への希望や夢、過去に対する後悔や満足などについて深い内省と語り合います。あるいは、成功への道筋を描き、各自の貢献について考えます。そして、個人の短所と組織の短所を克服する方法についてみんなで知恵を絞り、将来へ向けた集団のビジョンを構築していきます。こんなリーダーの集まりは、組織の古い文化を見直し、新しい文化を作り上げていきます。

 私は、園のリーダーの人たちと将来の希望について親しく話し合うことは、育成プログラムとして有効というよりも、楽しく、活力を感じます。それは、討議と言うよりは、お互いに内省しつつ人生や変革について互いに率直に話し合うという感じです。このような話し合いは、一つの文化のような気がします。お互いを尊重するということは、お互いに干渉しないとか、お互いのことは口を出さないで自分ことだけ一生懸命に行うというような文化は、決して組織を向上させないと思います。だからといって、「そんなことはやめなさい!」と言って話し合いをしたところで、みんな黙っていては意味ありませんし、建前だけの話し合いでは改革はできません。

 私はよく全国の園を訪ねることが多く、いろいろな園の実践を見ます。その時に、良い実践をしていると感じる園は、そこの職員さんたちもみんな生き生きしていて、活気があります。そして、みんなで話し合うことを楽しんでいます。いろいろなところを、みんなで話し合いながら改革していくことにワクワクしているようです。なかなか改革できない園の職員さんたちは、一生懸命にしているのですが、あまり笑顔が見られず、話し合いというよりも、自分の役目を淡々とこなしているように見えます。そして、他人からの介入を拒むようなところが見られます。リーダーたちは、全体像を見ず自分の経験に裏付けられているという自負から、研修はするものの新しいものを受け入れようとしません。

 戦略計画に取り組んでも、エネルギーとコミットメントを維持するのはほとんど不可能であり、学習は行き詰ります。リーダーにとって最も必要なことは、「自分たちの情熱や夢に心を込めて取り組むことです。仲間同士でも、戦略に対しても」です。「そして、将来の可能性につなげていくこと、将来について何らかの貢献をすることです。」と変革に成功したマネージーは言っています。大切なのは、わくわくするような情熱です。頭だけ使うプランニングの練習をいくら増やしても、職員の意欲を引き出すことはできないし、文化を変えることもできません。たとえ、最高のリーダーシップ育成プログラムであろうとも、血の通わぬ方法で実施したのでは、今日の組織に必要な変革を促進する効果はほとんどないのです。

 リーダーの役目は、皆の気持ちのレベルで結束させ、ビジョンに取り組ませることです。感情のレベルで関わるとき、人は変化をします。

文化を変える” への8件のコメント

  1. 新宿せいがの職員さんから、そのワクワクする気持ちというのが伝わってきます。それと同時に藤森先生からもそのワクワク感が伝わってきます。私自身が藤森先生のお話を聞き終わった後に、ワクワクした気持ちになっているのはそのためだろうと思います。このワクワクする気持ちは保育をする上で大切にしています。職員同士もいろいろなことを楽しんだり、ワクワクしながら保育をしていると思います。ですが、時折、何かをやるにあたって考えすぎることがあります。それは長所でもあると思っていますが、ワクワクしたり、楽しんだりする姿というのは忘れずに持っていたいなと思います。もちろん、おふざけではない、ワクワクや楽しさを形にしていきたいと思っています。

  2. 見守る保育の三省に似たものが感じられたので、子どもを大人に置き換えて考えてみました。
    過去の習慣・個人的信条・将来の夢・価値観・人間関係・ビジョン・過去に対する後悔や満足を感じ取り、悪気はないと信頼し、『存在をまるごと信じる』。将来の可能性や何らかの貢献につながることを信じて、仲間同士でも戦略でも、情熱や夢に心を込めて取り組み、『真心を持って接する』。そして最後に、「リーダーの役目は、皆の気持ちのレベルで結束させ、ビジョンに取り組ませることです。」と書かれています。「結束し、取り組む」ではなく「結束させ、取り組ませる」とあります。つまり、もうそこにはリーダーは深入りせず、『見守っている』ということになると感じました。三省は、文化を変化させる時でも役立ちますね。
    自分が心を揺さぶられる瞬間は、いつも人の熱い想いに同調・共感した時に起こります。そのような、感情レベルでの気づきをいつまでも大切にしたいと思いました。

  3. 一時キリンとサントリーの合併が取りざたされたが、結局企業風土の違いがネックになり取りやめになった。優等生タイプのキリンと「やってみなはれ」のサントリーでは合うはずがない。組織文化とはこの企業風土のように、社員の行動規範やシンボル、価値観など内面的なものまで含む包括的な概念を言う。

    成長を続ける企業は強い組織文化を持っている。有名なホンダの「ワイガヤ」も組織文化の代表である。「役職や年齢、性別を越えて気軽に『ワイワイガヤガヤ』と話し合う」という意味である。チェスター・バーナードの組織の3要素は、共通の目的(企業理念)、協働システム(コミュニケーション)、そしてこれによって生み出される従業員の貢献意欲である。

    保育園という職員集団でも、リーダーシップによって組織全体に深く浸透した保育理念、チームによる活発なミュケーションがあれば意思決定もスムーズになり、職員も生き生きと日々の仕事を楽しむことができます。保育の改革とは、見守る保育にスタイルを変えるだけで実現するような簡単なものではないことは私のような素人にも理解できます。

  4. 何かを変えようとするとき、それがどれだけ正しいことだったとしても、周りから受け入れられずに変化を起こすことができずに終わってしまうことがあります。相談を受けることもよくあるのですが、だいたいの場合は「考え方はわかるけど、自分たちの都合は考えることなく変えるから協力してくださいと言われても…」というパターンが多いように思います。日常的に仕事に対しての思いとか、個人の夢とか、そんなことをしっかりと話をしていて、そうした部分でも思いを共有できていれば受け取り方は変わるのになあと思うことがよくあります。理論的に正しければ必ずみんなは納得するわけではなく、感情で触れ合うことが大事なんだというよく見かける事例からもしっかりと学ばなければいけないですね。

  5. 「温故知新」藤森先生のブログから学んだ言葉です。古い物をしっかりと見直して新しい物を知る。文化を変えるというのは、こういう事ですね。今までの物を変えようと全員で取り組んだとしても、具体的に行動に移さないと意味がありません。その中に今までの会議にしても、話し合いにしても、もちろん保育もそうですが、それぞれを振り返り、見直しもしない限り新しい物は見出せません。ずっと変わらないままです。まずはリーダーが皆の気持ちのモチベーションを上げさせ、ビジョンに取り組ませるわけですが、リーダーが先頭で何か面白いことをやっていると、だんだん輪が広がっていきます。特に私個人の印象ですが、保育士さんは輪を広げるのが得意のように思います。変わる楽しさを知った瞬間に人は大きく進化できるのですね。

  6. 最後の一文はとても心に残ります。確かに各々のレベルを結束させ、ビジョンに取り組む。そのために感情のレベルで関わることで人は変化する。いくら良い研修でも、取組みでも、みんなが楽しんでいたり、情熱がそこに乗らない限り、変化をすることや取り入れることはありません。保育をする人は機械ではなく、人間です。子どもたちも意欲や探究心がなければ、遊びこむことがない。ということを言っていながら、大人にはそれが適応されないように思いがちですが、そう考えると同じですね。そして、その流れを職員同士で共有していくというのも、保育の中での考え方に似ているように感じます。藤森先生が提案される「見守る保育」という考え方はリーダー論にも通じるところがありますし、「関わる」という点ではどの年代の人にとってもとても根本的で、それでいて実践的な考えに思いました。

  7. リーダー、あるいはそのことに気づいた人が「文化を変える」場合、その変化のための手続きが今回のブログには具体的に紹介されています。曰はく、「過去の習慣、個人的信条、将来の夢などについて・・・価値観、人間関係、ビジョン、将来への希望や夢、過去に対する後悔や満足・・・、成功への道筋を描き、各自の貢献する姿勢・・・」等とないがしろにしないということです。変革に挫折する場合は、社員一人ひとりの思いに寄り添うことなく、上意下達で実行しようとする時、です。「習慣、信条、夢、価値観、関係、ビジョン、後悔や満足、道筋、貢献」、これらを総合的に視野に入れ、変革に取り組まなければならないのですね。なかなかに大変そうですが、これは取り組まなければなりません。変革をもたらそうとする場合、「少しずつ」とか「徐々に」ということがありますが、変革を先延ばしにする言い訳、として使用する場合が時々あるような気がします。やるべきことを坦々と実行していくわけですが、その際やはり必要となるのが今回のブログの最後に書かれていた「感情のレベル」での一人ひとりの関わりを大切にすることでしょう。

  8.  「組織の改革にあたって『文化を侮るべからず』ということは教訓です。」改めて肝に銘じておきたいと思います。文化を尊重するということは即ちその文化を築き上げて下さった人を尊重するということだということに気付きました。文化は人なくして形成されず、とすれば文化は人であるということです。文化とはとても血の通ったものなのだということを知りました。だからこそ「皆の気持ちのレベルで結束させ、ビジョンに取り組ませること。感情のレベルで関わる」ことがリーダーの役目として大切になってくるのですね。とても勉強になります。

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