テクノロジー

 生きるうえでの能力は、その時代を生きるゆえに、かなり時代が反映されます。その一つは、情報が氾濫している時代だからこそ、「知識や情報を活用する能力」が必要になってきます。それは、知識や情報が非常に多いというだけでなく、知識や情報を提供するソースを活用する必要もあります。それにはまず、「個人が日々の生活においてテクノロジーが新しい方法で活用できることに気付くこと」が第一となります。テクノロジーは、目覚ましい発展があります。その発展は、随分と生活を変えました。そして、生活には不可欠なものになり始めています。例えば、テレビにしても、かつては一方的に情報だけが流れてきて、見る側は単に受け取り側でしかありませんでした。それが、デジタルになったことで、双方向の通信が可能になりました。リモコンのボタンを押して投票したりできるのです。

 また、その活用においては、もう普通に使われているものにE-mailがあります。最近は、名刺には、ほとんどE-mailのアドレスが書かれてありますし、年賀状にも書かれるようになっています。しかし、それは、あまりに普及しているため、単にインターネットを活用して送信するだけでは、意味がなくなり始めています。それは、「テクノロジーのイノベーションは、職場の内外にかかわらず個人に新しい能力が要求」され始めているからです。

そのために、OECDが提案する「キー・コンピテンシー」のなかの「社会・文化的、技術的ツールを相互作用的に活用する能力」の一つに、「テクノロジーを活用する能力」を挙げてあり、そのテクノロジーには、「遠隔地間の協働、情報へのアクセス、他人との双方向のやりとりなど新たな可能性。そのためには、E-mailの送信など単なるインターネットの活用スキル以上の力が必要。」とあります。
これらの提案を受けて、我が国においても教育課程を見直さなければならないと文部科学省は思っているようです。そして、その内容について、教育課程部会では、議論し始めているようです。そこでは、「初等中等教育は単なる国内問題ではなく、国際的な影響を受けていることを前提とすべき。」ということで、いくつか議論されている能力が挙げられています。その中で、なんといっても「今、必要なのは社会的なコミュニケーション能力。」です。

そのほかにも、様々な課題が議論されているようですが、それらの中で、私は幼児教育に関係あるものとして特に重要なものに、「人間関係」に関するものがあると思っています。それが、EQ力なのです。そして、そのために、「今不足しているのは“人格教育”。バランスのとれた人格形成を目指すべき。」ということなのです。この課題が、ドイツのカリキュラムである「バイエルン」が示す「陶冶」であり、韓国や中国でも「人性」とよばれるもので、世界の課題です。

そろそろ、単に学校の成績に代表されるようなIQから、EQ力を高める教育への転換が必要であり、そのキーを握るのが、私は乳幼児教育だと思っています。その力によって、「目の前の仕事に一生懸命取り組み、そこから楽しみを感じる力」が身に付き、そのために「文明的社会を希求した人間の発展の歴史を理解」する必要が生まれてきます。そして、「社会のなかで自分は何をしたいのか、社会とどうかかわるのか、人間の幸福な暮らしと調和や発展をどうリンクするのか考えること」が重要になってきます。それによって、「社会の構成員としての責任と義務を理解」できるようになってくるのです。