ユーモアとコンピテンシー

 私が高校生1年生の時、文化祭で「フランス人のエスプリ」というテーマで発表したことがありました。その内容は全く覚えていませんが、担当の同級生とフランス大使館まで取材に行き、その様子が新聞に掲載されました。また、なぜそのようなテーマを選んだかも覚えていませんが、少し、「おやじギャグ」とは少し違うような気がします。また、「ジョーク」とは違うのでしょうか?また、「ユーモア」とも違うのでしょうか?それぞれがどう違うのかはよくわかりませんが、それにしてもこのような言葉は、どこの国にも存在するようですが、それは国、そしてその言語をかなり反映するものですので、違う国の人にはその笑いの意味やタイミング、その「ツボ」が違うことが多いような気がします。それは、「笑い」とは、その土地の文化と深く結びついていて、笑う人にもその言葉の洗練された感覚や経験、頭の柔らかさが必要だからでしょう。

 ですから、優秀なリーダーには、このような絶妙なユーモアが必要なのはわかる気がします。しかし、このユーモアを効果的に使うのに、コメディアンのようなセンスやネタが必要なわけではないとゴールマンは言います。そこが、少し「おやじギャグ」と違うところかもしれません。有効的なユーモアは、後で考えればつまらないジョークでも、張り詰めた空気の中で笑いや微笑みを誘うことができれば、それで十分だと言います。それは、「笑いを誘う」というよりは、「場を和ませる」ということなのでしょう。そのために、私は空気を読む力と、瞬時にその場に必要な空気を感じる力が必要だと思っています。こんな調査があります。役員の中からリーダーにの地位に昇進する者を選ぶための面接で、どの役員が面接中に何度笑いを取ったかを記録し、誰が二年後に優秀なリーダーになったかを追跡調査しました。その結果、優秀なリーダーになった役員は、平凡な役員の二倍も面接官を笑わせていたことがわかったそうです。

 そうしてみると、優秀なリーダーは、緊迫した状況に置かれたときでもユーモアを忘れず、その場の空気を変える前向きなメッセージを送っていることがわかったのです。話の内容が契約書の文言や事業計画の数字など無味乾燥なものであっても、笑いがもたらす明るい雰囲気が聞き手を引き付けるのです。そして、とりわけ注目すべきは、優秀なリーダーがユーモアを多用する事実と、リーダーが収集な成績を上げることで不可欠なEQコンピテンシーとのあいだに、強い相関関係が存在するということです。

「コンピテンシー」とは、簡単に言うと「能力」のことですが、単なる知識や技能だけではなく、技能や態度を含む様々な心理的・社会的なリソースを活用して、特定の文脈の中で複雑な要求(課題)に対応することができる力のことを言います。OECDではプログラム「コンピテンシーの定義と選択」(DeSeCo)を1997年末にスタートし、2003年に最終報告されました。その報告が、PISA調査の概念枠組みの基本となっています。そして、日常生活のあらゆる場面で必要なコンピテンシーをすべて列挙するのではなく、コンピテンシーの中で、特に、「人生の成功や社会の発展にとって有益」「さまざまな文脈の中でも重要な要求(課題)に対応するために必要」「特定の専門家ではなくすべての個人にとって重要」といった性質を持つとして選択されたものを「キー・コンピテンシー」といいます。そして、教育の成果と影響に関する情報への関心が高まり、OECDでは、個人の能力開発に十分な投資を行うことが社会経済の持続可能な発展と世界的な生活水準の向上にとって唯一の戦略であるとしています。