不協和

チームワークが良い場合は、メンバーがあうんの呼吸で動き、その動きが全体で美しい音色を響かせるように、お互いの音を聞きながら、美しい和音を奏でます。そして、その音が反響しあい、増幅します。それを「共鳴」ということは取り上げました。それに対して、不協和音の音色は、何となくぎくしゃくし、居心地が悪い気がしてきます。そして、集団は精神的苦痛で頭がいっぱいになり、リーダーが発するメッセージや自分たちのミッションに注意が向かなくなります。それを「共鳴」に対して「不協和な」リーダーシップと言います。
 
「共鳴」は、感情の波長が一致した時に起きます。そして、それは、前向きの感情をより長引かせる効果があると言われています。職場において、共鳴が起きているかどうかは、リーダーの明るく熱意に満ちたエネルギーに共振する集団であるかです。共鳴が大きいほど、人と人との相互作用が活発になります。共鳴は、システム内の雑音を最小化します。そうなると、チームは一つにまとまり、組織のために人々が結束するとき、そこに働いている人々を結びつけるのは、全員が共有する感情なのです。メンバーは、互いに心を許しあってアイデアを共有し、学びあい、協調して決断を下し、仕事を成し遂げていきます。感情のレベルで絆が形成されているので、大きな変化や不安定要素に直面しても、浮足立つことがありません。何よりも重要なのは、メンバー同士が感情レベルで結ばれていると、仕事がより意味のある目標になります。仕事がうまくいった時の高揚した瞬間を共有しあう歓びは、何にも代えがたいものです。こういう気持ちに後押しされて、集団は一人では到底不可能な目標を達成することができるのです。そうした集団をリーダーがつくり上げるかです。

 今日、来月開園する園の園長が来ました。そして、こう質問されました。「開園するにあたって、経験年数が様々で、年齢も様々で、今までの園での実践も様々な職員集団で保育にあたるときに、まず、何をしたらよいか?」ということでした。それに対して、私は、「まず、職員がお互いに信じあうことです。」そして、「明確な保育理念を園長が示すことです。」と答えました。いくら考え方がそれぞれ違っていても、決して子どもを悪くしようという気持ちから保育しているわけはないのです。その人が、自分の経験から考える「子どもにとって」良いと思って保育をしようとしていることを信じることです。その気持ちにまず共感してあげて、その気持ちを実現していくための方法を、理念に戻ってもう一度一緒に考えることです。まずは、それぞれの思いの共鳴を起こすことだと思っています。

 一方、不協和感を抱くリーダーシップのもとでは、人々はいつも感情がかみ合わない印象を抱くことになります。共鳴しているかどうかは、笑い声がバロメーターであるとしたら、不協和感のバロメーターは、怒りや不安や不機嫌な沈黙であると言います。アメリカで千人以上の労働者を対象にした調査によると、小場で怒鳴り声やそれに類する口論を目撃したことのある者は42%、自分自身が同僚を怒鳴りつけた経験のある者は30%近くに上ったように、職場における不協和状態は、決して珍しいことではないようです。確かに、不満を心にとどめるよりは、表明した方がいいということはありますが、怒りに任せて不満を口にすれば、有毒な感情が渦巻く事態になりかねません。

 言い争いをしている人間の生理的反応を測定した研究によれば、嫌悪や侮辱を含む不快な感情のメッセージを投げつけられた人間は、強い感情にハイジャックされた状態に陥るようです。