理想の自分

 子どもたちの発達で重要なのは、「自発的な活動」です。いくらよい環境を用意しても、自らその環境に働きかけていかなければ、その環境は、子どもたちに作用しません。同じように、リーダーになるための学習も、最も大切なことは、「自発的学習」です。それは、現実の自分と理想の自分を意識的に向上させ、強化していく努力であるとゴールマンは言います。そのためには、まず、「理想の自分」のイメージをはっきりと想定し、「現実の自分」を正確に知ることが必要です。理想に向かって、今の自分はどうなのかということがきちんと押さえられてならば、変化のプロセスと達成までのステップをきちんと把握することができ、それができれば、自発的な学習は効果的かつ持続的なものになると言います。

 そのモデルを、組織コンサルタントのリチャード・ボヤツィスが、リーダーシップ育成の研究の結果、開発しました。そこには、五つの発見があるとしています。この発見を経て、リーダーに必要なコンピテンシーを身につけます。そして、この学習は、繰り返し行われ、また、行きつ戻りつ、ゆっくりと、時には急に進んでいきます。そして、新しい習慣を時間をかけて練習していくうちに、それが新しい自分の一部になっていきます。習慣やEQやリーダーシップ・スタイルが変化すると、夢や希望や理想像も変わっていき、学習のサイクルは続き、リーダーは一生かけて成長していくと言います、

 その第1の発見は、「理想の自分」です。自分は、どんな人間になりたいのか?人生や仕事に何を求めるか?それをはっきりと描くことです。そして、自分の目指す姿が見えてくると、リーダーシップ能力を向上させたいという意欲が湧いてくると言います。それは、向上への熱意と希望を掻き立て、こんなんで険しい努力を支えるエネルギーとなります。そして、その情熱は部下たちの意欲をも掻き立てます。このエネルギーには、長年の習慣を変えるための大きなパワーが必要になります。思考や行動の習慣を変えるには、何十年も繰り返し強化されてきた神経回路を変えなければなりません。だからこそ、継続しうる変化を達成するには、自分の理想に向かって進んでいこうとする強い決意が必要なのです。

 人は変化することに臆病になります。変化することに不安を持ちます。いろいろな理由をつけて、変化を避けます。人間がやる気や希望を起こさせるのは、前頭葉前部の左半分です。その部分が活発に働くと、理想を達成した時どんなに素晴らしい気持ちになるだろうという想像が働いてやる気が出てくるのです。そして、障害を乗り越えることができるのです。反対に、先の不安ばかり気にしていると、前頭葉前部の右半分が活発に働きだして、悲観的になり、意気消沈してしまうのです。

 この時に気を付けなければならないことがあると指摘します。それは、親や配偶者や上司や教師が、「○○になりなさい」と言うとき、それは彼らの目から見た理想像であって、「あるべき像」を押し付けていることになるのです。それを受け入れれば、当人は箱に閉じ込められることになってしまいます。組織でも同じだと言います。会社が個々の社員の夢や成功を無視して、「昇進と出世こそすべて」という前提で働くならば、職場が社員に「あるべき像」を押し付けることになってしまいます。そうした状況が続くと、理想像はぼやけはじめ、夢が見えなくなってしまいます。

「あるべき像」と「理想像」を取り違えて納得できない生き方をしてしまわないように、リーダーは、自分の理想像を見出すステップが重要になってくるのです。

理想の自分” への6件のコメント

  1. 理想の自分についてですが、幸いなことに自分の場合は理想とするロールモデルを見つけることができたので、割と苦労することなく理想を見つけることができました。しかも実在する方なので、お話しする機会などを通じて自分には何が足りていないかを考える機会も持つことができています。これって本当に幸せなことだよなあとつくづく感じています。自分と比べてものすごく遠くにいると感じる人なので、追いつけたなんて感じることは全くなく、そのおかげでまだまだ頑張らねばと自然に意欲が湧いてきます。このサイクルがいいんですよね。ロールモデルを見つけ、そして敬意と示して行動することで自分がよく理解できることは、自分が学んだ一番大きなことかもしれません。このことの大切さは、機会があれば人にも伝えていきたいと思っています。

  2. 幕末の英雄坂本竜馬は、幼い頃は寝小便癖があり、気弱で泣き虫。今で言ういじめられっ子だった。猛女と言われた姉の乙女の鍛錬で一人前になった竜馬は、ある日仲間と共に脱藩する。理想の自分を求める旅立ちだったのだ。千葉道場で剣術の技を磨き、勝海舟を生涯の師と仰いで志士として頭角を表していく。のちに大政奉還の偉業を成し遂げた時、西郷の「あなたは何をなさるつもりですか」と聞かれた竜馬は、「世界の海援隊でもやりますわい」と応じたという。彼の目に映った自分の理想の姿は、維新の功労者として祭り上げられた自分ではなく、七つの海を股にかけて貿易によって人と人を結びつける「世界の坂本竜馬」だったのだ。竜馬のようなEQコンピテンシーに優れた人物が数多くいたからこそ、幕末維新が成功できたのだ。

  3.  卒園式のときに子ども達は将来の夢を発表します。未来の自分の姿を想像しているからこそ発表できるのだと思いますが、今回のブログのテーマと似ている気がします。ただ自分の将来を具体的に考えるようになった時に重要なのは、現在の自分かもしれません。自分の能力はもちろん、特技、長所など今の自分をしっかりと把握することで、より具体的に「理想の自分像」に近づける気がします。またモデルになる人を見つけるのも大切かもしれません。スポーツをしていて憧れの選手のようになりたいと思うと、その選手の事を調べたり、プレーを見て研究し、いかに憧れの人に近づけるか研究すると思いますが、それも同じかもしれません。人生において尊敬する人が出てくると思います。その人の考え方や生き方など、知って、自分も近づこうと努力します。これも「理想の自分」になるための方法かもしれません。

  4. しっかりと目標を持ち、理想像を持った上で、自己理解をすることは大切なことですね。学習のサイクルが続くということは自分が成長していくためにとても必要なことですね。自分自身このサイクルを持ち続けることができるようにしていきたいですね。「あるべき姿」と「理想の姿」とありましたが、その二つの違いは自分自身その目標を目標としてみているか、そうではないかという部分にあるように感じました。意欲があるからこそ、理想を持っている人はそれに見合った成長は当然あるのだろうと思います。いっぽうあるべき姿を求められる人にとってはきっと重荷になることが多いでしょうね。自分自身やはり目標もあれば、理想像も持っています。そこに行き着くことはできないでしょうが、それでも追い続けていきたいと思います。

  5. 理想の自分、これはいつも頭の中にあることです。こういう自分になりたい、ああいう自分になりたい、その時々で、自分の理想像がいろいろと出てきます。こうしてコメントを作成していると、なかなか文章がうまく出てこない自分を発見します。そして、自分の考えたことを上手に文章化できるような自分になりたい・・・と考えたりします。そういった意味では、自己評価が重要ですね。自分自身について、それ以上でもそれ以下でもなく認識し判断することが必要です。「〇〇な人になりなさい」、ということをあまり言われずに育ってきたので、私自身良かったと思います。理想の人間像を押しつけられるほど嫌なことはありません。反発したくなります。「理想の自分」、これはやはり自分で探し求めていくしかないのです。その際、モデルにできる人がいると自己探求の旅も五里霧中から視界良好へと変わってきます。人間関係の結び方如何で「理想の自分」に出会えるかどうかも決まってきますね。

  6.  〝最も大切なことは、「自発的学習」です。それは、現実の自分と理想の自分を意識的に向上させ、強化していく努力であるとゴールマンは言います。そのためには、まず、「理想の自分」のイメージをはっきりと想定し、「現実の自分」を正確に知ることが必要です。〟やはり自分は恵まれている、と思うのは理想とする人の傍で働くことができているからです。現実の自分というのは、本当に日々痛いほどに知ると言いますか(笑)未熟な自分になんとも丁度良い(?笑)機会が一日の中にふんだんにあり、それは直接的な言葉ではなくても目の前の子ども達から教えられ、チームの先生方から教えられ、とてもたくさんの自分の未熟さの発見の毎日だと改めて思います。それでも楽しく仕事ができるのは、同時に励まされ、勇気付けてくれる子ども達、先生方の存在があるからで、こうして藤森先生のブログに触れ、この感謝の気持ちを改めて思い出せるこういった機会に巡り会えることも、やはりとても恵まれているのだと、感謝の気持ちがまた改めて湧いてくる次第です。

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