楽観

 私は、職員からよく「大丈夫!」というと言われています。職員が不安になって相談を受けたときに、「大丈夫!」「本当ですか?」「うん、大丈夫!」と念を押すことが多いようです。すると、職員は、「なら、大丈夫だろう」と踏み出します。楽観も希望と同じで、後退や挫折があっても最後はうまくいくだろうという強い期待を維持できる能力です。楽観等定義は、困難に直面した時に無気力や絶望や抑うつに陥らないよう自分を守る体制を意味するそうです。そして、この現実に裏付けられた楽観は、希望と同じように、人生に恩恵をもたらしてくれます。楽観的人間は、失敗の原因を変更可能な要素と受け止め、次回は成功できるだろうと考えますが、悲観的な人間は、失敗が自分のせいだと思い、性格だから変えようがないと考えてしまいます。この考え方、捉え方の違いが人生に立ち向かう姿勢を非常に大きく作用します。ここで楽観的というのは、何もしないで、どうにかなると思うことではなく、悲観的という反対で、新しい行動計画を立てたり、誰かに援助やアドバイスを求めたりと、希望を捨てずに積極的に対処することを言います。

 この楽観は、希望とおなじくらい学校での成績に影響を及ぼします。それは、成績が悪かったときに、悲観的にならずに頑張り続ける能力が必要だからです。挫折に耐える能力が、実際の成績に左右するからです。この、物事を楽観的に見るか悲観的に見るかは、生まれつきに気質もありますが、経験のよっても変えることは可能なようです。学習可能なのです。その根源は、「自己効力感」と言います。

 日本の高校生は、他国と比べ自己肯定感が低く、将来に不安を感じ、自分の力で社会が変えられないと感じている傾向にあるといわれています。この「自己肯定感」とは、「自分は大切な存在だ」「自分はかけがえのない存在だ」と思える心の状態のことを言います。この自己肯定感は、幼少期の生活・教育環境によって大きく左右されると考えられており、教育上の重要な要素だと考えられています。一方、人が何らかの課題に直面した際、こうすればうまくいくはずだという期待(結果期待)に対して、自分はそれが実行できるという期待(効力期待)や自信のことを「自己効力感」といいます。

スタンフォード大学の心理学者アルバート・バンデューラという人がいます。彼は、モデリングと呼ばれる社会的学習理論を提唱したことで有名ですが、その彼が、「自己効力感」という能力を考えました。それは、その行動を実際に始めるかどうか、どのくらい努力を継続するか、そして困難に直面したときにどのくらい耐えられるか、ということを決定づけます。そして、この自己効力感を高める方法として、成功体験や、自分と同じような能力の人間が努力して成功しているのを見る体験や、励まされたり、心身の状態が良好なことを挙げています。こうして高められた自己効力感は、より大きな目標を目指して冒険をしたり、挑戦したりする意欲が出てきます。そして、挑戦した結果、困難を乗り越えて達成できることによって、より自己効力感は高まっていきます。バンデューラは、「自分の才能に対する自信は、才能そのものに大きな影響力を及ぼします。才能は、一定不変ではありません。才能がどこまで発揮できるかは、状況次第で大きく変動します。自己効力感の強い人間は、失敗しても立ち直ります。彼らはうまくいかないかもしれないことを心配するよりも、うまくいかなかった場合どう対処すればよいかという視点でアプロ―チします。」

私の園での「チーム保育」は、この自己効力感を感じるることができ、自分の能力に自信を持ち、それを発揮してもらおうということがその目的の一つです。