貢献

 人を悩ませるさまざまな感情があります。それは、人類が生き抜くための力でもあり、人類を滅ぼしてしまうほどの感情でもあります。そのために、人類はそれをコントロールし、それを乗り越える感情や知恵を持ってきました。その知恵は、人類が生き延びるための生存戦略であり、その知恵をもう一度見直す必要があります。というのは、その知恵は、必ずしも、誰でも持っているものではなく、生まれつき備わっているものでもなく、生きている中で、学んでいくものもあるのです。最近、うつ病患者が多くなったというのは、うつになる原因が世の中に多くなったということと同時に、それを乗り越える力が弱まってきたということもあります。その例からだけもわかるように、自ら自らの感情、情動をコントロールする力が弱まってきていることから、さまざまな現象が起きています。

 私の園の理念は、「共生と貢献」です。実は、この二つは、人類が感情をコントロールするときに有効的な行動でもあるのです。今まで様々な感情をコントロールするために気晴らしそするなど具体的な例を出しました。それは、タイスなどの調査で分かっていることですが、私は、その中のキーワードの一つに「一人」よりも、「他の人と」の関係で軽減されることがあります。自分自身を見つめることも他者との関係の中で行われますし、また、人からの多角的な評価が必要であり、一人きりでいるよりは、人の中で癒されることも多く、逆に、ストレスが多いけんかなどでも、子どものころから体験することで、それを調整する力が付きます。人は、他と共生していく生き物であり、それゆえにたと共生することで感情をコントロールすることができるのです。この共生は、私の園では、「他のものとの共生」ということで、共生する相手は他の人だけでなく、自然とか、身の回りのとの環境との貢献も含まれます。ですから、自然の中で癒され、木漏れ日の中での散歩は気分を落ち着かせます。

 もう一つ、「貢献」がありますが、これもとても人類にとっては重要な行為です。例えば、抑うつ状態からの脱出策として効果があるものとして「助けを必要とする人々に手を差し伸べる」ということがあるようです。抑うつは、自分についてくよくよ考え込むことがよくないのですから、苦悩を抱えている他人に共感を寄せて、自分自身から関心をそらす活動が効果的だからだと言います。リトル・リーグのコーチをする、ひとり親家庭の子どもを援助する、ホームレスのための炊き出しをする、タイスの調査の中では、こうしたボランティア活動に身を投じる行為は、気分転換として非常に効果的だったそうです。ただ、これを実行している人は非常に少なかったようです。

 以前、ブログでも紹介しましたが、なぜ人類は高齢者を生かしているかというかということが研究されています。多くの生き物は、生殖機能がなくなった時には、死んでしまいます。それに対して人類は、その後も何年も行きます。その主な理由は、高齢者に子どもの面倒を見てもらっていたからだという説が有力です。それは、「おばあちゃん説」とも言われる考え方で、そのために、面倒を見、感謝されることで免疫力が高まるということもわかっています。人は、他人に貢献することで、自らの免疫力を高めるのです。それは、情動をコントロールするうえでも、非常に効果的だったのです。

 これらの力を、知恵をつけることが教育の目的であり、それはEQという知性であることが提案されているのです。

貢献” への6件のコメント

  1. うつ病の時は生命エネルギーがマイナス状態ですから、利他的な行動に駆り立てるのは少し酷みたいです。そうしないと治らないという思い込みがかえって患者を追い込むことがあるので要注意ですね。「できないことはさせない」が原則です。ともかく休養です。

    また、うつ病は気質の病気です。完璧主義で悲観的な考えの強い人がかかりやすので、『がんばらない』生き方、たとえば『いいかげんがいい加減』といったゆる?い考え方を習性にすることです。(これは自分の経験から)100点満点の人生はありえない。せいぜい70点で上出来。“70点しか”という減点法ではなく、“70点も”という加点法の発想がおすすめです。悲観主義は何の得にもなりません。

    『EQこころの知能指数』の第14章「気質は変えられる」によると、前頭葉の右側が活発な人は悲観的な性格、左側前頭葉が活発に働く人は陽気な気性の人が多いとの実験結果があるそうです。生後間もない赤ちゃんでも同じ傾向がみられるというから驚きです。しかし、たとえ遺伝的に臆病な傾向を見せる子であっても、母親の子育てが適切であれば何の心配もいらないのです。

    『赤ん坊が泣いたからと言ってすぐに駆けつけて抱きあげたりしない両親の愛情に見守られて不安に対処する練習を重ねるうちに、赤ん坊は自力で不安な場面を乗り切ることを学習していく』

    『不安に過剰反応する子どものために良かれと思って挫折や不安をすべて取り除いてやる母親は、逆に子どもの不安感をひどくしているのです』

    現代病ともいわれるうつ病。ここまでうつに苦しむ人が増えた背景には、誤った母親の子育ての影響があるのではと思います。もっとストレス耐性(心の免疫力)を大事にする保育を提案することが求められています。

  2. 共生と貢献の理念はここまで広がっていくんですね。保育とは生き方の基礎を作っていくものでもあると思っているので、そのことから考えるとほんとに大切な理念なんだと思います。乳幼児期に他者と関わる体験のばをきちんと用意し、そこで必要な関わりを繰り返し、他者と関わることを楽しいと感じられるようになってもらうことがどれだけ大事な力となっていくか。そのことを正しく理解したいですし、それを広く伝えることももっと力を入れていきたいと思います。ここで新宿せいが保育園の理念が出てくるとは思っていなかったので、藤森先生はどこまで先を見ておられるんだろうと驚いています。しっかりとした軸があるというはこういうことを言うんでしょう。

  3. EQという知性はまさに「生きる力」ですね。また、それをより成長発達できるようにすることが教育というのは言い換えれば「人格形成」というものの本質なのかもしれません。「共生と貢献」ということが今回出てきました。その内容はやはり人間が生きていく上で人との関わりがいかに必要かということが言われていますが、それ以上に実に興味深いことは「人を助ける」ということが「自分を助ける」という行為にもつながるということです。今までの情動のブログでは負の連鎖ということが出てきましたが、逆に正の連鎖というかより良い状況にするための人の関係にも触れられています。ポジティブに物事を見る人はこういったことができているのかもしれませんね。最近の人は情動のコントロールがうまくできない人が多いといいます。そういったなか、教育の考え方が世界では大きく変わってきているというのはこういった情動の内容がより問題になってきたからなんでしょうね。日本でもやはり同様の部分が問題になっている状況です。いったい今の子どもたちにどういった発達が必要なのか、本当に今の学校の勉強した必要なのか、教育の転換は必要なのか。いろんな問題がありますが、その意味や新しい考えを整理し、理解することは必要ですね。毎回、臥龍塾ブログでは多くの勉強をさせてもらっています。

  4.  新宿せいが保育園の理念である「共生と貢献」何度か聞きました。これは新宿せいが保育園の理念でもありますが、社会に生きる上でも重要なことだと思いました。何度もブログでも言われているように人は一人では生きていくことは難しいですし、そもそも人類はお互いに協力して生き延びてきました。また人だけでなく自然からも助けを得ています。前回のブログの「うつ病」にしても一人ではなかなか解決できなくても、他の人が手を差し伸べる事で解決できます。保育園、幼稚園、そして学校の理念がありますが、一つの理念から、こんなにも話しが広がり、それが園単位でなく人の生き方、もしかしたら今の日本に必要な考え方かもしれません。

  5. 園にお世話になる時、園の理念が「共生と貢献」といことを知り、驚きました。私がずっと内に秘めていた目標がそのもずばっと表現されていたからです。「共に生きる」は、私たち人類が自らを絶滅に導き得る「核兵器」を手にして以来の、実は人類の今日的課題なのです。そして、「貢献」。私はこの「貢献したい」という思いは私たちの誰の心の中にでもある本来的心情・意欲だと思っています。小さい子たちができる範囲で手伝いをしたがる行為、ぼくがやる、わたしがやる、という態度を私は「貢献」そのものだと思っています。誰しも人の役に立ちたいと思っているはずです。小さい子たちがやりたがる行為もその「貢献」心の現れでしょう。将来の世界を作り上げていく乳幼児が集う保育園というところの理念としてこれ以上適切な理念もないだろうと思い、この「共生と貢献」という理念を頂き、日々暮らしていける有難さにただただ感謝するだけです。「わたしはわたし、その私が私と皆のための社会をつくる」。私たちが社会的存在であることを示しています。「共生と貢献」によって今回のブログで述べられていたように私たち自らの感情をコントロールできるようになります。ひいては「うつ」の問題も解決していきます。「人は、他人に貢献することで、自らの免疫力を高めるのです。」とあり、人のためと思って行う貢献が実は自分の免疫力を高めことにつながっているわけです。「貢献は人のためならず」ですね。

  6.  園の理念である言葉に触れることができて、嬉しく思います。共生と貢献という言葉をしっかりと理解して毎日の保育にあたること。実はとても大切なことなのだということを改めて感じた次第です。
     〝人を悩ませるさまざまな感情があります。それは、人類が生き抜くための力でもあり、人類を滅ぼしてしまうほどの感情でもあります。そのために、人類はそれをコントロールし、それを乗り越える感情や知恵を持ってきました。その知恵は、人類が生き延びるための生存戦略であり、その知恵をもう一度見直す必要があります。というのは、その知恵は、必ずしも、誰でも持っているものではなく、生まれつき備わっているものでもなく、生きている中で、学んでいくものもあるのです。〟冒頭の文章は、この度生臥竜塾で報告したい内容そのもののように思えて、改めて、新宿せいが保育園で育まれているものの大きさを感じます。これからも新入園児が、そしてその保護者が新宿せいが保育園と出会い、その輪の中に入ってきます。どんな子どもであれ、どんな保護者であれ、この輪の中に入れるというのは、ツイているとしか言いようがありません。全ての出会いを縁と感じ、目の前の子ども達、人達を大切にしたいと思います。

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