おたのしみ会の考察8

 園における「おたのしみ会」の一つの目的が、保育所保育指針の「表現」の領域においての発達を保護者に伝えるとしたら、「音楽に親しみ、歌を歌ったり、簡単なリズム楽器を使ったりする楽しさを味わう。」ということにあり、決して、保育者が作った譜面通りに曲を演奏することや、上手に演奏することが目的ではなく、まずは音を感じとる楽しさを味わうことが大切なのです。合奏をする子どもたちは、それほど全員がピタッとそろっているわけではないのですが、自分で感じとった自分のリズムによって、楽しそうにならしています。

最近、講演などで紹介している0歳児の赤ちゃんの動画があります。それは、3人の赤ちゃんが、ビーズを中に入れたペットボトルをそれぞれが持って、それをマラカスのように振っている映像です。その映像の驚くべき赤ちゃんの行動は、それぞれのボトルを、何をきっかけに振りはじめているかです。なんと、他の赤ちゃんが振っているその音を聴いて、その音に合わせて自分のボトルを振ってリズムをとっているのです。なんと、赤ちゃんから3人で合奏をしているのです。ヒトは、どうも生まれながら自分ながらのリズムをとることを知っているようです。もちろん、最初のそれは表出ですが、次第にそれを表現することを学んでいくのが音楽リズムかもしれません。それは、子どものリズムに、まず保育者が共感することで、その子の自己表現が伸びていき、自分が感じたリズムを誰かに伝えたいと思うようになっていくのです。それが、「おたのしみ会」なのです。

では、合唱はどのようにとらえればいいのでしょうか。ヒトは、歌うことから言葉を話すようになってキトという説を以前のブログで紹介しました。また、泣くことによって、息継ぎを覚え、歌ったり、話したりすることができるようになるということも書きました。そして、それらは、母親からの言葉がけ、歌いかけが重要になります。最近、生後1年までの赤ちゃんの 音声言語や音楽の聴取弁別能力や表出傾向について研究がされています。志村氏の講演の中でも紹介したことですが、親が歌いかける行動は 赤ちゃんの成長に応じて変化し こうした歌いかけを赤ちゃんはとりわけ好むことが明らかになっています。また リズムについては成人よりも鋭敏にそのパタン聞き分ける可能性も示されているようです。これを私たちは、私の園の現場で体験したのです。

これらの研究から、志村氏は、講演の中で、ぜひこれだけは声を大きくして言いたいことは、合唱を子どもたちがする際に、「元気よく」とか、「正しいメロディ」でとか、「皆、合わせて」と歌うことを求めることはしないようにということだそうです。それは、保育者が、赤ちゃんに歌いかける場合にも言えることで、「語りかけるように歌いかける」ことで、赤ちゃんは音楽を味わい、さらに表出から表現しようとする力を備えていくのです。そして、その表現力が、「感じたことや考えたことを自分なりに表現することを通して 豊かな感性や表現する力を養い 創造性を豊かにする。」とあるように、豊かな創造性を育てることになるのです。ただ、上手に歌わせること、上手に合奏することは幼児にとってはあまり意味のないものであるにもかかわらず、どうしても保育者は、練習に熱心になるのでしょうね。

しかも、表現は、「自分なりに表現することを通し」と書かれているように、表現には個が強調されています。「みんな揃って!」ということは、表現ではないのです。