おたのしみ会の考察1

 小学校などの初等教育では、学芸会と呼ぶ行事があるのですが、その名前は、学校によっては学習発表会など別の名前で呼ばれることもあります。それは、以前のブログでも書いたように、「学芸会」という名前は、「学問」と「芸術」ということで、その両方から1文字ずつとったのですが、もう一つの「学問」をとって、その学習を発表するというイメージで「学習発表会」というのでしょう。しかし、これも少しおかしいのは、新しい学習指導要領では、「学芸的行事」から「文化的行事」と改められていますので、この発表会の内容は、学問的とか学習的な行事ではなくなっているのです。

では、このような行事を園や幼稚園では、どう呼んでいるのでしょうか。それは、昨日までのブログでわかるように、小学校の特別活動としての行事ではないということを確認しないといけないと思います。では、どのような位置づけかというと、保育所保育指針と、幼稚園教育要領には、「保育の内容」としてここで行われる幼児教育の内容が書かれてあります。それは、「環境を通しての発達」です。そして、その発達の切り口として5領域が書かれてあります。指針には、「“教育”とは、子どもが健やかに成長し、その活動がより豊かに展開されるための発達の援助であり、“健康”、“人間関係”、“環境”、“言葉”及び“表現”の五領域から構成される。この五領域並びに“生命の保持”及び“情緒の安定”に関わる保育の内容は、子どもの生活や遊びを通して相互に関連を持ちながら、総合的に展開されるものである。」とあります。

ということは、保育園、幼稚園が「生活や遊びを通して」とあるので、「生活発表会」と呼ぶことはあります。「生活」や「遊び」は、子どもたちの普段行われていることですので、それを発表するというのは、生活が学習であると捉え、生活の成果を発表しようとする場合でしょう。しかし、生活の成果は、子どもたちの発達であり、それが5領域に構成されているとしたら、いわゆる秋の学芸会のような行事では、どの領域の成果が中心なのでしょう。私の園では、「言葉」と「表現」の発達を保護者に見てもらおうとする位置づけです。

園を開園して初めての行事を行うとき、私は、その行事についての私の考えを職員に話しました。たまたま、ある職員がその内容の要点を記録し、共有ホルダーに保存してあるのを見つけました。その内容について補足しようと思いますが、とりあえず少しわかりにくい部分があり、また、検討事項が多く、職員に課題を投げかけているものもありますが、それを掲載してみます。

「園長先生よりおたのしみ会について;行事は子どもの発達をみせる。お楽しみ会→言葉、表現の発達面をみせる行事。なので…そのために練習して見せるのではなく、普段の子どもがどこまで発達しているのかをみてもらう。その日間際に練習をするのは、普段の保育をきちんとおこなっていないということ。発達を見せる行事なので、年齢別でみたほうがわかりやすいのでクラスごとにおこなう。台詞の長さ、難しさ、楽器の難しさで個人差をつけていく。

表現:音楽→楽器・歌と劇あそび 言葉:日常会話とごっこ。では、楽器あそびはどう考えるか。年齢によって楽器をこちらで決めてしまうのではなく、自分でやりたい楽器を決めていく。出来るのは個人差がある。普段の楽器あそびでいろいろな楽器に触れていく。自分でやりたい楽器・曲を決めて、自分で決めたものは最後まで練習をがんばるようにする。劇遊びについては、3・4・5歳の劇遊びは職員がみんなで協力していかないと不可能である。練習を見合ったりしていく。」

 このあと、各クラスごとにポイントを話しています。

おたのしみ会の考察1” への9件のコメント

  1. 当然のことなんでしょうが、その行事の意味や目的についてすごく丁寧に話されているのがわかりました。こうしたことを経て少しずつ形ができていくんですね。この考え方に職員さんたちが具体的に肉付けをしていかれる様子を少しだけ見せてもらえたのは、自分にとってかなり勉強になりました。考え方はここまで丁寧に話せないといけないですね。私の伝え方では足りていないことだらけでした。私がわかってなかったのかもしれません。次以降の各クラスごとのポイントを読んでもおそらく同じことを感じるでしょう。できていないことを言い当てられているようで読むのもなかなかしんどいのですが、変えていく余地があるのは楽しいことと捉えます。

  2. 学芸会にしろ、生活発表会にしろ、その語感からイメージするのは、学校や保育所が普段の教育(保育)がいかに充実しているか、子どもを託している保護者に理解してもらうための行事といった印象です。やっぱり学校(保育所)の側に動機の主たるところがあって、子どもは、言い方は適切ではありませんが、利用されているように傍目には見えます。

    だから、子どもたちは、本当はもっと遊びたいのに、その時間を削って練習を強いられます。楽器だって体が大きいから大太鼓、なんて簡単に決めてしまいます。別に、みんながみんな、将来音楽家になれるわけでもないのですから、そんなに一生懸命練習をさせなくてもと思いますが、出来栄えの出来不出来が担任の評価ですから、そうも言っておられません。「お楽しみ会」・・・その名のように、子どもが心からこの保育園での生活を楽しんでいることを、そしてすくすくと育っている様子をありのままに見てもらえばいいのにと思います。

  3.  発表会や運動会など、行事を考える前にやはり原点に変えることが大切だと思いました。原点とはやはり保育指針に書かれていることです。ここでは発表会では5領域の「言葉」「表現」の2つを保護者に見てもらいます。とは言っても実際に行事を企画する際には指針を読みながら企画するのか?と言うとおそらく難しいでしょうね。藤森先生が職員の先生に行事の考え方を話した内容を職員の先生がまとめた物を読む限り、とても私も勉強になりました。次からのブログ、発表会に関しての各クラスのポイントも学ばせていただきます。

  4. 発表会とはいえ、保育園によって目的の受け止め方が違います。しかし、今は行事やというものが例年化してしまい、あまりその目的について考えられることは少ないように思います。係りについた先生がこういったことを改めて文書化し、改めて向き合うことはとても大切なことなのだと思います。一体なにを保護者に伝えたいのか、見せたいのか、そして、見せるために普段の保育からどうつなげていくのかはつねに意識できるように働きかけることも大切ですね。行事というのは今の保育では毎年通る課題のようなものになっています。しかし、その目的やねらい、そもそもの意味を考えると普段の保育の道筋の振り返りにもなります。そういう位置づけで活動を保育していかなければいけませんね。

  5. 体調を崩し、2013年のおたのしみ会当日お休みしてしまいました。何とも情けない限りです。子どもとスタッフ皆さんのハイパーコラボを見られなかったのは誠に残念な限りです。体調管理の大切さを身に染みて味わいました。体調崩すなら、なるだけ何もない時にしなければなりません。さて、今回から「おたのしみ会の考察」が始まります。私は1年以上遅れてブログにコメントしておりますから昨年のこのブログの存在については知っていて、職員会議でも先生方に是非読んでおたのしみ会について理解を深めていってほしいと思い、これら年末まで続く考察ブログを紹介しました。みなさん、読んで下さったことと思います。そして、私も遅ればせながら、コメントを一つ一つ入れながら、「おたのしみ会」理解を深めていきたいと思います。次回からの具体的な考察から様々な学びが得られると思うと嬉しくなります。私たちの行事への取り組みが意味のある取り組みであるように、当ブログを振り返り読むことによって、私たちの思いを新たにして、実行に移していきたいものです。

  6. 「学芸会」とか「生活発表会」という言い方より、子どもの発達を保護者に見てもらう上で、“言葉と表現”という明確なポイントを決めること、また、普段の保育の様子や日常を通して行われる会であること、なによりも、子どもが自ら選んでその役に責任を持ちながら“楽しむこと”ができる「おたのしみ会」という名前の方がしっくりきますね。そして、まさに「音」を「楽しむ」と書いて「音楽」です。子どもが普段どのように音と関わり、言葉で表現しているかがよく理解できる会になっているのですね。現在、表現ゾーンを拡大・充実し、子どもが様々な楽器により関われるような環境にしています。そこからは、毎日楽しそうな音と会話が聞こえてきています。

  7.  現在のおたのしみ会へと確立されていったその発端を知ることができる大変貴重なブログであると思います。大まかな枠組みを提案し、それを職員が具体化していく。それをイメージする形にできるという職員への信頼と共に、信頼する職員がいるという確信があってできることと思いました。そしてその形は、職員の彩り方によって如何様に変わっていっても構わないという余白すら感じられます。
     行事を変えると一言に言ってもその土台となる部分が成立していなければできるものではありません。保育園を変えたいといっても職員の賛同が、トップの賛同が得られなければ前に進むことは難しいと言わざるを得ないかと思います。大義やそもそもを理解すること、人を信頼すること、信頼出来る職員と共に歩むこと、など一言には言えないものを感じた次第です。

  8. 学芸会が「学問」と「芸術」を合わせた言葉だったとは知りませんでした。新宿せいが保育園においてのおたのしみ会は5領域の中でも「言葉」と「表現」の発達を見てもらうことを目的としているのですね。そして、職員さんが書いた行事の要点がよくありましたね。(笑)「そのために練習して見せるのではなく、普段の子どもがどこまで発達しているのかをみてもらう。その日間際に練習をするのは、普段の保育をきちんとおこなっていないということ」というのは先生がよくおっしゃっていますね。個人的にはこの部分は見守る保育の特徴の1つのように思います。

  9. 自分は、おたのしみ会についての考察のブログを遡りながら読み進めていきましたが、最後にこのブログを読むことで、おたのしみ会についての考え方が自分の中に入っていくのを感じました。
    子どもが普段の生活の中で、楽しみながら行っている表現や言葉の領域を、自分たちの選んだ役や楽器を通して伝えていく、まさに〝おたのしみ〟の会ということなんですね。
    そして、子どもたちが楽しみ、見ている保護者も楽しむためには、もちろん職員も楽しみながら行っていかなければならないと思います。
    そのために藤森先生がおたのしみ会についての考えを示したものを、職員が共有ホルダーに保存しているということからも職員も楽しんでいるということが伝わってきます。
    相手に伝える楽しさも味わえるおたのしみ会は、みんなで楽しむものだということを改めて思いました。

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