おたのしみ会の考察16

 「おたのしみ会」のプログラムには、表現と言語の発達過程が書かれてあり、当日までの取り組みが書かれてあります。3歳児のコメントには、一昨日紹介したもののほかにこんなことが書かれてあります。まず、発達過程として「童話や詩などを聞いたり、自ら表現したりして、言葉の面白さや美しさに興味をもつ。」とあり、それに沿った取り組みとして「劇中で動物さんたちが言う“しずかに しずかに”というセリフは、絵本を読んでいる時に子どもたちがふと口に出した言葉をそのまま取り入れたものです。また、劇中に出てくる“こそこそ話”のシーンは、話す方も聞く方もとっても楽しそう!お友達の耳元でこそこそとささやく可愛らしい姿にぜひご注目ください。セリフを忘れちゃったり、恥ずかしくなったり…そんな姿も3歳児さんらしい成長なのです。」

 それが、4歳児のコメントは少し変化してきます。発達のポイントには、「絵本、童話などに親しみ、その面白さがわかって、想像したり自ら表現したりして楽しむ。」となります。三歳児の劇のもとになる絵本を、おたのしみ会が近づくと子どもたち自ら探し始めます。しかも、なんとその年のテーマも理解していて、そのテーマに沿ったものを探します。そんな姿が、取り組みコメントに書かれてあります。「3歳さんのときは『がらがらどん』やったんだよね!…おたのしみ会が近づく雰囲気を感じて、子どもたちから話題がもちあがりました。「こんなのがいいな?」「森でしょ、うーん?」考える姿、ひらめく顔、どれも顔つきがいい!「何か絵本探しとくね!」なんて積極的な声も。」

 そして、絵本の楽しみ方も変わってきます。発達に書かれているように、「その面白さがわかって」その絵本にのめりこんでいきます。その結果、その絵本を劇にして表現することをしていきます。取組みコメントには、その経緯がこう書かれてあります。「去年は読み聞かせてもらうことが多かった子どもたち。だんだんと文字が読めるようになり、自分で読める嬉しさ、友だちと一緒に読む楽しさ、年少さんに読んであげる自信をそれぞれに感じています。そんな中で劇が“しんせつなともだち”に決まり、クラスの友だち同士でまわし読みが始まりました。すると、“この役がいい!”“こんなのもいいんじゃない?”と、絵本に出てくる役だけでなく、他の森の中の動物たちを自分たちで提案して、きつねを仲間に入れました。ちなみに、出てくる野菜は保育園で育てているものと一緒。自分たちで蒔いた種からどう成長するのか、そこにも期待感を持っています。」

 この取り組みは、発達の中の「その面白さがわかって、想像したり」する姿です。絵本をきっかけに、子どもたちはどんどん想像力を膨らませていきます。それは、普段の経験、体験の中からの想像力です。そこには、普段からの保育者の働きかけと、環境構成が影響してきます。そして、コメントはこう続きます。「役が決まると、やる気まんまん!けど今年は、舞台に立つのは子どもたちだけ…。信じるのは自分と友だち!?「せーの!」と声を合わせたり、誰かがリードしたり、友だちの様子を見ながら合わせたり。友だちと気持ちを合わせて一緒にやる、ちょっと難しいけど楽しい!ドキドキするけどやりたい!そんな気持ちで取り組んでいる4歳児さんです。」
 
ここにも、発達の「自ら表現したりして楽しむ。」姿があります。きちんとそれぞれの時期の発達過程を大切にし、その今を大切にする保育が、このような成長を促していくのです。

おたのしみ会の考察16” への9件のコメント

  1. こんなのがいいな?」「森でしょ、う?ん?」「何か絵本探しとくね」
    こんな言葉が子どもたちの中からポンポン飛び出すなんて、月並みですが凄いとしか形容詞が見つかりません。前頭葉がしっかり働いて、創造性や協調性が表われて、共感力や発想力が全開といった感じです。やっぱり乳児からの育ちが違うからですね。

    著名な小児科医の榊原洋一先生が、著書の中で子どものラットを使ったこんな実験を紹介しています。

    ≪グリーノウは、乳離れした子ラットを三つの異なった環境で育てた。一つは「隔絶された環境」と呼ばれるもので、小さなかごに1匹だけを入れて飼育した。二つ目は「社会的環境」と呼ばれるもので、やや大きめのかごに数匹の子ラットを入れて飼育した。そして三つ目が「複雑な環境」と呼ばれるもので、第二の社会的な環境よりもかごは大きく、障害物やおもちゃなど子ラットが興味を引きそうなものがかごの中に入れられていた。その結果、期待通り、複雑な環境で育った子ラットの神経細胞の樹状突起は、隔絶された環境や社会的な環境で育った子ラットに比べて20%も多く枝分かれしていたのである。≫
    (「子どもの脳の発達 臨界期・敏感期」)

    ラットと人間を同一視できないかもしれませんが、乳児期にマンションの一室で母親と二人で生活する子どもと、家庭的な育児の代替としての保育で育つ子どもと、異年齢集団の発達差を生かした保育とでは、自ずと子どもの育ちに違いが出てくることは想像できます。子どもの発達を促すのは、大人との信頼関係(愛着)を基盤にした、子どもどうしの複雑な関わりとそれを保障する環境が必要だということです。脳科学が見守る保育の正しさを証明しています。

  2. 劇の元になる絵本を自分たちで探すだけでなく、ちゃんとテーマを踏まえた上で探しているということに驚かされました。そしてそこで決めたことを表現するのを楽しんでいる様子もコメントから伝わってきます。こんな風に成長し変化していくことを促し、それを保護者に伝えることが保育や行事の目的であることがよく分かります。そのためにも子どもの持っている力を理解しておくことも必要ですし、その理解のもとでどのような保育を行っていくかを示し、保育者が共通理解しておくことも大事になってきます。そんなことを一緒に考えることのできる関係がもっと広がってくれば、保育はもっと楽しくなってくると思うんですが、なかなか簡単なことではないですね。

  3. 劇を作る上でそのテーマになる絵本や題目を見つけることは意外と大変だと思います。しかし、それを子どもたちが自分で見つけてやってみるというのはとても素晴らしいことですね。なかなかできることではないとは思いますが、そこには普段から絵本に親しめる環境や保育者との関わり、友だち同士の関わりや今までの卒園児などの様子などいろんな要因があったからこそ、こういったことができるのだと思います。今回のお楽しみ会のことでもあまり保育者の動きや働きかけもあまり出てこず、あくまで環境構成をした上で、ことを見守っていることがやはり子どもたちの姿に映し出されますね。それほど子どもたちの可能性を信じているということや環境づくりがうまくかみ合っているということを感じます。そして、保育者はそのなかで子どもたちの様子をしっかりと見つめ、向き合っているので、「自ら表現して楽しむ」という部分につながっていくのではないでしょうか。

  4.  新宿せいが保育園の先生方が書かれた、本番までの取り組みが書かれた文章を読んでみると、子ども達が本番までどういう経緯で活動してきたか、またその時期の発達などを、とても分かりやすく説明していると思います。そして私がこれらの文章を読んで学んだことは、保育士が発表会までに行ってきた環境構成や子どもとの関わり方です。やはり発表会前になると、担任は何をしようか考え、決まったら小道具を作るのに追われ、そして子ども達に教えたり・・・バタバタ焦っている印象がありますが、基本的にどのコメントも子どもが主体になっている文章です。子ども達が絵本を探したり、登場人物を考えたり、そして文字が読め、絵本を自分で読めるようになると、その楽しさから自分で役を決めたり、台詞も考えて見たりなど、子どもが自発的に発表会を組み立てている姿が見られます。「自ら表現したりして楽しむ」という事は、こういう事なんですね。

  5. いわゆる「読み聞かせ」が発展していき、劇として「おたのしみ会」のステージに乗る様子を想像できます。取り組みコメントの冒頭に「去年は読み聞かせてもらうことが多かった子どもたち。だんだんと文字が読めるようになり・・・」の部分に「読み聞かせ」の意味が書いてあるように思います。文字が読める前に、あるいは文字を読もうと意欲する時、「読み聞かせ」は大いに力を発揮するのだろう、と思います。読み聞かせをする先生たちもこの子どもたちの意欲を信じて読み聞かせを行っているとやがて文字が読めるようになった時「自分で読める嬉しさ、友だちと一緒に読む楽しさ、年少さんに読んであげる自信」を子ども一人ひとりに保障していくことになるのでしょう。このことがビデオやDVDで子どもたちに映像を見せるのとは大きく異なる「読み聞かせ」の効用だと思います。こうした発展を保障しない「読み聞かせ」にどれほどの意味があるのでしょうか?セリフや役決め、そして本番での呼吸の合わせ方、と子どもたちによる様々な工夫が見て取れる「おたのしみ会」の様子です。保育者の先生たちが子ども一人ひとりに寄り添い、発想やアイディアを汲み上げ、全体をプロデュースしていく様子に専門性を実感できます。「きちんとそれぞれの時期の発達過程を大切にし、その今を大切にする保育」、このことを今回のブログから学び取ることができました。

  6. 絵本を自分で読むことから、みんなに読んであげるに変化したり、自分だけの考えだけではなく、友だちとの兼ね合いも考慮しながら話を進めたりと、多くの発達が遂げられてきました。その発達を、子ども自らで感じて、相手に“見せる”とか“見られる”といった表現体験から、そうすることへの「楽しさ」が味わえます。その楽しさが、子どもたちをますます成長させていくのだろうなぁと感じています。劇中に「出てくる野菜は保育園で育てているものと一緒」といったように、話を絵本や紙芝居の筋書き通りにやるのではなく、子どもたちが自ら体験したことを通して、劇遊びとしてストーリーを再構築して表現しているのが特徴でもあり、素晴らしいことだと思います。

  7.  子ども達の力、恐るべしです。テーマに沿った絵本を選ぶというのは本当に驚きですが、今のらんらん組の子ども達を見ていてもあの子なら言うだろうなという子が何人も挙がる為、それは年代によるものではく、4歳児に見られる発達のものと言えるのかもしれません。逆を言えば、それだけの力があるにも関わらず、その力を眠らせたままにしている、または押さえ付けている環境があるということでしょう。新宿せいが保育園の子ども達が特別なのではなく、子ども達皆にこの力があるということを、保育者や保育園経営者は知るべきであると思います。
     保育園で育てている野菜が劇の中に登場します。保育者の日々の取り組み、環境構成で子ども達の視界の広さが変わってくるのだと思うと、自分の枠組みをどんどん広げていかなければ自分がわいらんすいの担任になった時には追いつかないぞと勝手に想像してしまいました。

  8. 4歳児になると、絵本、童話などに親しみ、その面白さがわかって、想像したり自ら表現したりして楽しむようになるのですね。読み聞かせをしても、聞く側に回っていた3歳児が4歳児になると、文字が読めるようになり、自分で読める嬉しさ、友だちと一緒に読む楽しさ、年少さんに読んであげる自信をそれぞれに感じることができるのですね。

  9. 子どもたちが園のテーマを理解し、そのテーマに沿って絵本を選び、さらに、一人で読むからみんなで回し読むという姿になるということで、おたのしみ会に向けて、子どもたちが楽しんでいる様子が浮かんでくるようなコメントですね。
    そして、絵本にない配役まで登場するという、想像して創造するというようなことまでもしてしまう4歳児さん、自分のボキャブラリーがなく、上手く表現できませんが、すごいの一言です。
    出てくる野菜も子どもたちが実体験したことからストーリーを考えていき、演じる。表現の楽しみ方を存分に味わえる内容ですね。

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