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人間は、社会を形成して生きていく生き物であることは、ブログで何度も取り上げましたが、その中で生きていくためには、社会の一員となる能力をつける必要があり、その能力は、社会という機能が重要になっていきます。ということで、こんなことが言われています。「ヒトの脳は、他者からの助けなしに発達することはできません。養育者か食べ物や身の安全確保してもらうだけでなく、絶え間ないコミュニケーションによってくりかえし情報を与えてもらい、他者について、社会について、さらにはその社会に特有な文化について、時間をかけて学ぶ必要があります。親などの養育者を初め、様々な他者とのかかわりがあって初めて、社会脳が発達するのです。」

 ヒトは、他の人とのかかわりの中で様々なことを学び、身に着けていきます。例えば、味覚は、他人がおいしそうに食べるのを見ることで豊富になることがわかっていますし、においの区別は生まれながらついていますが、いいにおい、嫌な臭いは、他人の反応の経験から学んでいくと言われています。ということは、例えば、テレビで、ある食べ物を「おいしい!」と言いながらおいしそうに食べている映像を何度も見ることで、おいしいかもと思い始め、そのものが好きになるはずです。ただ、本当に味覚を変えるには、そのモデルが、自分が信用している人とか自分が好きな人の方がその効果はある気がするので、全く知らない人がテレビでおいしそうに食べても影響は薄いかもしれませんが、もし好きな俳優がおいしそうに食べているのを見たら、かなり影響するでしょうね。

実は、そのような効果から、食品業界では、多額の広告宣伝費を使っているようです。アメリカでは食品業界の年間広告予算の4分の3以上がテレビ広告に注ぎ込まれているようです。中でもファストフードの広告が占める割合は95%にものぼるようです。これは、販売作戦としては非常に効果的である半面、子どもにとっては非常に危険なことだと思います。それは、子どもに食習慣や好みが発達しはじめる頃に、先回りをしてその存在感を印象付けようとするからです。そのために、アメリカでは、子ども番組の最中に宣伝を繰り返すだけではなく、人気アニメとコラボレーションしてさまざまな商品を開発したり、番組内に登場させたり、CMにキャラクターを登場させたりするのです。

子どものころに作られた味覚は、その後の生活の中の食の主流になってしまいます。それ自体が危険というよりも、食品業界が売りたい商品というものは当然利幅の大きいものです。儲けが多い食品は、肥満につながる商品や間食を推奨するといった肥満の原因となるような食べ方に関するものだといわれています。それは加工度が高く、高カロリーな食品ほど、利幅が大きくなる傾向が強いからです。ですから、宣伝されている多くは、コンビニ食品かファストフードか、甘いお菓子かのいずれかです。

いま、アレルギーを起こす食材と離乳食との関係を調べていますが、同時に、テレビからCMで流れてくる食材と、その後の子どもたちが好む食材との関係も調べる必要があるようです。日本では、まだそれほど問題になっていませんが、平均的なアメリカの子どもは2歳までに朝食用のシリアルを好むようになり、3歳から11歳までの年齢層ではスナック菓子とデザートを好む子どもが全体の24%、キャンディを好む子どもが全体の17%にのぼるという。一方で果物や野菜を好む子どもはわずか3%しかいないと言います。その結果、アメリカでは2000年に7人に1人の子どもが肥満に分類され、肥満成人の割合は体重超過とあわせ47%にも達してしまっています。

実際の他の子どもたちの食べている姿を見るよりも、テレビの中で作られた子どもの食の姿を見る機会が多いのは、問題です。