来年のキーワード

 先日、ある市の市議会議員さんの勉強会で、ある市議さんにこう質問されました。「これから、時代が変化していく中で、どうしたらよいか?」という質問です。その質問に対して私は、「時代を読むことはできない。ですから、自ら時代をつくり、それを発信していったらどうか。」と答えました。それは、P・F. ドラッカーの「チェンジ・リーダーの条件―みずから変化をつくりだせ! 」という本に書かれていることです。この本には、「今日のような乱気流の時代にあっては、変化は常態である。変化はリスクに満ち、楽ではない。悪戦苦闘を強いられる。だが、この変化の先頭に立たないかぎり、企業、大学、病院のいずれにせよ、生き残ることはできない。急激な構造変化の時代にあっては、生き残れるのは、自ら変革の担い手、チェンジ・リーダーとなる者だけである。したがって、このチェンジ・リーダーとなることが、あらゆる組織にとって、21世紀の中心的な課題となる。チェンジ・リーダーとは、変化を機会としてとらえる者のことである。変化を求め、機会とすべき変化を識別し、それらの変化を意味あるものとする者である。」

 このような意味からすると、キーワードは、「イノベーション」ということになるのでしょう。「いかにして新しい価値を創造するか」ということが来年の課題になりそうです。イノベーションということについて以前ブログで取り上げましたが、今、保育界では、乳幼児教育を学校教育に組み入れるか、児童福祉として守るかという岐路に立っています。私は、どちらに組み入れるかというのではなく、新しい「乳幼児教育」という新しい価値を創造すべきだと思っています。乳幼児期に大切にするべき教育は、学校教育でもなく、児童福祉でもなく、その時期だけで大切にするべき教育があるはずです。それを制定するのはまだ早いということも言われていますが、それどころか、今がその時期であると思っています。一体化や、引っ張り合いをして、守ろうとする労力を、創造することに使うべきだと思っています。

 ドラッカーは、『イノベーションと企業家精神』(ダイヤモンド社刊)の中で、「企業家はイノベーションを行う」と規定し、イノベーションとは、富の創出能力を増大させるものであり、「供給に関わる概念よりも需要に関わる概念、消費者が資源から得られる価値や満足を変えることと定義することができる」と言っています。これを今の保育界に当てはめ考えてみると、供給に関わる概念というのは、園側にとっての補助の在り方、制度、システムなどを検討することからその存続を考えるということです。そうすると、どうしても改革は避けようとします。今まで、何となくうまくやってきたのに、どうして 変えるのか、変える必要があるのか、変えたらどうなるのかという疑問や不安が生まれ、それは、他から与えられる結果であることが多いので、どうしようもなく、変えることに反対することになります。

 しかし、変えることを前提にせず、今利用している子どもには、どのようなことが求められているのか。今までどのような結果を生んでいるのか、どのように時代が変わってきたことで、子どもたちの環境がどの様に変化し、その変化によって、どのようなことが新たに必要になってきたかをきちんと検討していきます。それが、需要に関わる概念となります。もちろん、ドラッカーはイノベーションを供給側、需要側のどちらの概念で捉えるかはケースバイケースだと言っていますが、新しい需要、市場を創造するものという考えが強いようです。