CSR

保育園や幼稚園が地域の核となるとか、地域へも貢献するようにとか、地域支援をするようにと言われて久しくなります。それは、その存在がとかく地域の迷惑施設になることが多く、直接的な顧客だけに歓迎される施設になりがちだからです。そうではなく、地域にとって有益な施設になることで、様々な部分で協力をしてくれ、また、子どもたちは地域で生活するために、地域との連携は必要です。では、企業は、なぜ「一般社会」「コミュニティ」にまで広げなければならないのでしょうか? 一般社会にいるすべての人が顧客に転じることを見込めるわけではありませんし、明らかにターゲット外の人たちもいるでしょう。こうした人たちの間にWinを生みだしても、すぐにビジネスにつながるわけではありません。それでも小暮氏は、企業が「将来の顧客を作るために」という目的を越えてコミュニティにWinを作ることには意義があると思っているようです。

「社会的なベネフィットを提供することは、純粋にコミュニティに歓迎されることであり、その結果コミュニティに企業の「ファン」が増えることになる。短期的に顧客に転じることがなかったとしても、こうしたいわば「応援団」を持つことは企業にとってもベネフィットをもたらすからです。」と言っています。このような考え方で「コミュニティにWin」を本業と結び付けて計画的に実施し、効果をあげてWinの累乗を作り出している企業が「ユニクロ」での実践例だと言います。
「ユニクロ」は、「服は使い捨てるものではない」という考えのもと、着なくなったユニクロの服を回収し、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)などとパートナーシップを組んで、世界中の難民キャンプなどで配布しているというのがこの活動です。ユニクロで衣類を購入した際、袋の中に「300万着足りません。」という「全商品リサイクル活動」を行っています。ファーストリテイリングはこれをCSR活動の一つと位置づけているのです。このCRS活動とは、corporate social responsibilityの頭文字で、企業の社会的責任のことです。このCSR活動は、ユニクロに限らず、様々な企業が取り組んでいます。検索してみると、最初のペーだけでも「アサヒビール」「清水建設」「TOTO」「Sony Japan」「フジテレビ」「ファミリーマート」「三菱商事」「NTT西日本」「資生堂」「富士通」と並んでいます。それぞれの企業では、そのためのホームページが作成され、その活動を紹介しています。

ユニクロが取り組んでいる「全商品リサイクル活動」の一つとして、こんな活動を紹介しています。「アフリカのある地域では衣服の配布場所を移動クリニックにしています。医療の重要性に対する理解がまだ浅く、また家父長制度が強く残る現地において、特に女性が遠い距離を歩いて医師の診察を受ける機会は多くありません。そんななか、この衣服の配布は診療を受けようという動機づけの役割を果たしているのです。そして受診に来れば、医療・診察の重要性を説明され、理解することができるというわけです。」この取り組みは医療に対する人々の理解の底上げを図り、確実にコミュニティにWinを作っています。

 同時に、この活動を、「通常では出店できない地域でユニクロを知ってもらえる」機会であり、「民族、宗教などで異なる衣服の嗜好やニーズを知る」機会であるとも捉えているのだそうです。これをマーケティングリサーチと捉えると、ファーストリテイリングの本業にとっても非常に重要な活動であることがわかります。

 一見遠回りのように見える取り組みも、企業にとっては、非常に有用な取り組みであることがあるのです。目の前の効果だけでなく、もっと長い視点、広い視野をもつことが必要です。