現地化

 私は、あまりミネラルウォーターは買いませんが、東北大震災の直後は、水道水に放射能が含まれているということで、園ではずいぶんと買いだめをしました。また、その後の台風や大雨で断水になるということでも買いだめをしました。まず、その時には、とりあえず水が必要ということで、どんな水でも購入したのですが、自販機にはいろいろな種類のミネラルウォーターが売られています。どの種類が売れているのでしょうか。

ドイツに行くと、まず空港のスーパーで買うものはミネラルウォーターです。ドイツの水道水は他の国よりは安全で、そのまま飲むことができますが、日本人は、普段からのあまりの清潔主義で、大事をとって水道水は飲まない方がいいと注意されます。そこで、滞在中はミネラルウォーターを飲むのですが、その多くは、Volvic、Vittel、Contrex、evian などフランス産のものです。特に日本人の口に合うのは、軟水のVolvicです。また、ドイツ人は炭酸入りの水が好みの人が多いので、気をつけないと炭酸入りの水がレストランなどでは出てきます。ただ、ほとんど水は有料ですので、それより安いビールを飲むことが多いのですが。

自販機で販売しているミネラルウォーターの中で「いろはす」が、一気にシェアを拡大してきました。それは、なぜでしょうか。どのような戦略があったのでしょうか。ダイヤモンド・オンライン メールマガジンの11月06号に社会貢献とビジネスを両立させるしくみ「Winの累乗」を提唱するNPO、テーブル・フォー・ツー代表の小暮真久氏が、「本業を通して社会にいいことを成し遂げる」ための実践例として「いろはす」の成功例を通して紹介しています。小暮氏が提案する「Winの累乗」とは、「自社を取り巻くすべてにおいて『Win』を作り、それをどんどん増やすことが、グローバルにビジネスを成功させることにつながる」といいます。

コカ・コーラ社の「いろはす」は、ミネラルウォーターとしては後発ながら、発売されるやいなや加速度的にシェアを伸ばしました。それは、「不景気だから物は売れないというよりは、むしろ不景気であるがゆえに、消費者はサービスの提供側の論理で動かされることはなく、本当にほしいものが出てくるのを待っている。」と言います。そのためには、当然ながら従来の商品開発からの発想の転換が必要になってきます。通常、商品やサービスの開発をする際、「顧客(のニーズ)を知る」「製品・サービスの設計をする」「顧客に届ける」という3つの段階を経ます。これを見直すことが必要であると言います。まず、「製品・サービスの設計をする」ということは、グローバルに展開する企業の事例でよく言われることですが、製品を設計するといった時にまず考えるべきなのは、「現地化(ローカライゼーション)」だと言います。食品や調味料なら同じ製品でも提供する地域によってレシピを少しずつ変えたり、化粧品やシャンプーなどのトイレタリー製品なら処方を変えたり、といった具合です。

 しかし、現地化を徹底すれば、顧客を幸せにし、ひいては「ずっとこの製品を使いたい」と思ってくれるような、長く愛される製品づくりにつながるのかということに小暮氏は疑問を持ちます。私も、同じようなことを思っています。保育園、幼稚園の在り方を考えるときに、地域カリキュラムを考えるべきだという考え方がありますが、私は、どの地域にでも成り立つ、共通のカリキュラムをきちんと作るべきだと思います。その上で、それを実行する時の方法や、戦略は地域によって違うかもしれません。共通のカリキュラムは、決して独自性を損ない、見学の精神を揺るがすものではありません。独自性を生みだす源なのです。

 もうすこし、「いろはす」の戦略から考えてみます。