ドイツ報告2012-22

 そろそろドイツのほかの特徴のある園を紹介します。24日の午前中に訪れた園は、3?6歳まで60名の園児のいるキンダーガーデンでした。15名ずつ4グループです。普通、ひとグループは25人ですが、この園のひとグループの人数が少ないのは、この園は、インテグレーション幼稚園ということで、ダウン症や水頭症の子どもが各グループに一人ずつ在園しているからです。スタッフは、各グループ2名で、他に園長、給食、経営スタッフ、実習生各1名、合わせて12名います。障害児がいることで保育者の加配があるわけではなく、人グループの人数が少なくなるのです。ということは、障害児に誰が付くという対応をするわけではありません。

このことは、意外と大切なことかもしれません。というのも、少し前に出版された小西氏の本で「障害児の理解」の中で、障害児をトレーニングし、改善するのは子ども同士であるようなことが書かれてありました。そんなことで、障害児だけ分けて保育するのではなく、すべての子どもを違いとしてみて、一緒の場を共有することが重要なのです。加配をして、担当の職員が一人で一人に付くというのは、別に保育していることと近くなってしまうことがあります。また、このドイツの園では、子ども達に社会性を持たせるための保育プログラムが工夫されています。それは、障害を持っている子どもも社会の一員であるという意識をほかの子どもたちにも日々の生活の中で気づいていってほしいのです。この園の保育プログラムは、自分のことを自分で出来るようにし、責任、義務としてルールは守らなければならないこと(暴力を振るうことがないように)を伝え、逆境に負けずに乗り越えていける力をつけることを目標にしていました。

ユネスコがインクルージョンという概念を広げて展開している「すべての子どもにすべて教育を!」を目指しています。その意味からも、障害児のいるこの園では、イギリスのロンドンで20年前に始まったEC(子どもセンター)的な機能を図っていました。現在、このような機能を持った園はミュンヘンでは3か所あるそうです。それは、この園に障害児が在園しているだけでなく、この地域には比較的低所得の家庭が多かったり、10代の保護者が多いそうです。そのため、子育てアドバイスとしてファッシング衣装づくり(子どものカーニバル用の服作り)や人形作りの講習会を開催したり、園の行事に参加してもらい、親育ちを図り、お母さんの自尊感情が高まるような活動をしているそうです。また、地域への1日園を開放し、園の紹介をしていたり、社会教育士も週1回来園するそうです。障害児がいるから、低所得者の子がいるからといって園を閉ざすのではなく、かえって、広く公開をし、園を中心に地域、保護者ともに子どもたちを見守っていこうという試みを感じることができます。

 この園の中の装飾、掲示物からもこの試みを感じる部分がありました。園の玄関には、職員の紹介写真、クラスには担任紹介の写真があります。まず日本では見られないですが、職員紹介の写真の前にいる先生は横に寝転んで撮っています。日本だとみんなきちんと椅子に座って撮るかもしれません。こんな姿で写真を撮るということは、子どもたちが寝転んでいても注意はできないでしょうね。また、担任も、雲梯にぶら下がっています。席に紹介した小学校の担任の写真は、よく観光地にあるような顔だけ出すボードから顔を出している写真でした。こんな遊び心が厳格と思われるような施設でも発揮できるのですね。それが、先生と子どもの関係を表わしています。