ドイツ報告2012-19

 色で分けられた保育室の内容についてもう少し報告したいと思います。青い部屋は、入り口の案内ボックスによると製作ゾーンのようです。部屋の壁には、一面に合板が貼ってあり、そこに画用紙が貼ってあります。その紙に子どもたちは自由の色を塗ることができます。そのために、絵の具の用意がされ、様々な太さの筆が用意されています。紙に塗られている絵は、特に形があるわけでも、何かを写生したり、何かをイメージして描いたものではなく、自由に色を塗りたくっているという感じです。

 また、ある部屋の隅には、トレース台のように、下から光があたって、その台の上にガラス玉などを置いて、そのガラス玉を通す光や陰などで遊ぶ空間がありました。この部屋の台の上には、三角形をした紙や、いろいろな色で模様が書かれた紙が置いてありました。この自由な絵や、光で遊ぶ遊具は、ともにどうもイタリアのイタリア レッジョエミリア市の幼児教育を参考にしているような気がします。数年前ですが、ドイツの幼児教育は、モンテッソーリ幼児教育を参考にしたり、レッジョエミリア市の幼児教育を参考にしたりと、いろいろな幼児教育を参考にしているということ、レッジョエミリア市には、毎年研修で訪れていることなどを聞いたことがありました。ですから、廊下には、三角形に3枚合わせにした鏡が置いてある園が多く、中で子どもが遊べるようにしています。この遊具は、日本でも随分と置いてある円を見かけるようになりましたが、万華鏡の中にいる感じが味わえるようになっているもので、もともとはレッジョエミリア市の幼児教育の園に必ずおかれているものです。

 この園で子どもたちの描いた絵を見ると、レッジョエミリア市のおける幼児教育の「創造性の教育」を見ることができます。それは、絵を描く際、「見えないものを描く」よう励ましたり、「アイデアがあるなら、それを描いて見なさい」 という 「アイデアの表出としての描画」 の指導を行うのです。そこには、「美的感受性の発達には、具体性、知覚の鋭敏さ、感情の自発性、注意力、観想力、相対的洞察力、理解力が必要である」とイギリスの研究者が提案する内容、美育、美的感受性を大事にする保育です。また、光の台は、レッジョエミリア幼児教育の中では、子どもは、光と影という強烈な対比(contrast)を好むために、影遊びを常に保育の中に出来るように、部屋には、OHP が置いてあり、スイッチさえ入れれば影遊びが出来るようになっています。これを参考にしているのでしょう。

 この影響は、他のゾーンでも見ることができました。レッジョエミリア幼児教育における「見えないものを描く」ということは、「主題の変奏」とも言われ、「子ども達に、音を目に見える絵にし、目に見えるものを奏でる音にすること。こうしたことは、様式を交差した表現と呼ばれており、新しい見解と洞察という光をもたらす」と考えられています。そのために、レッジョエミリア市の多くの園にはドラムセッ トが置いてあって、子どもがそれを叩き、その横で子どもが踊るというようなことをしています。このドイツの園にも部屋のロフトには、音楽ゾーンが設置されているのですが、そこには、レッジョエミリア幼児教育の影響か、叩いて音を出すものが多く置かれてあり、子どもたちがそのリズムに合わせて踊ることができる空間が用意されていました。
 ドイツのカリキュラムや実践には、いいものは取り入れる、真似をするということを躊躇しない勇気があるようです。