ドイツ報告2012-17

 私の園では、2歳児クラスまでは「ままごとゾーン」という場があります。この「まま」は、「まんま」ということでご飯を表わしています。ということで、「ままごと」は、食事を代表として家庭の中で営まれる生活を子どもたちが模倣して遊ぶ遊びです。子どもたちが目にする大人の生活のなかで、最初に意識的に体験するものがみんなで食事をする場面ですし、次に料理でしょう。ですから、子どもたちは、一つのテーブルを囲んで、皆で食事をする真似をし、それを料理する人のまねをします。
 そして次第に子どもの体験する世界が広がっていきます。家から外に出ていき、いろいろと地域の人と出会うことになります。そして、様々な仕事があることを知っていきます。スーパーに買い物に行き、病気になると医者に行き、お店屋さん、時には母親についてマッサージに行くこともあります。その仕事をまねしようとすることがあります。また、家の中にも、食事、料理だけでなく、父親がいて、いろいろなことをしています。パソコンをしたり、掃除をしたり、時には、家族で車に乗ったり、電車に乗って出かけることもあったり、着飾ってパーティーに行くこともあったり、携帯電話で待ち合わせて居酒屋に行くこともあります。そんな大人の世界をまねしようとします。その時には、子どもそれぞれが役割を演じることになります。それを英語ではロールプレイングといいますが、それをそのまま日本語に訳すと「役割演技」というのですが、子どもの世界では、「ごっこ」と言い、何かになったつもりで遊ぶことです。これら大人の世界を模倣して遊ぶことが非常に重要なことで、この遊びができるような環境を設定してあげることも幼児施設では大切なことです。ということで、私の園では、3,4,5歳児の部屋には「ごっこゾーン」が設置されています。

 しかし、どうしても「ごっこゾーン」には、女の子が真似をするようなものが多くなります。今回、ドイツの園で見たごっこの部屋には、車の運転台がありました。そこには、本物の車のハンドルと、壁にはメーター、そして車の座席が設置されています。職員の車を解体した時に、それを外して持ってきて設置したそうです。その座席に男の子が座って、ハンドルを握って、得意げに運転していました。手には手袋もはめています。そして、なんと後部座席(といっても、重なって座っているだけですが)には女の子を載せています。ハンドルを切ると、後ろを振り向いて、「どうだ!」と言わんばかりに得意げです。ただ、フロントガラスに見立てた壁には、並んでいる車の列の写真が貼ってあるのですが、その車は「みんなこちらに向かって走ってくるので、ぶつかってしまうのに」と思ってしまいました。

 もう一つ、この園で見たごっこの部屋にあるもので感心したものが、建物を設計するために図面を書く机です。本物の設計台のように斜めになっています。そして、その机の正面には、建物の本物の大きな図面が貼ってあります。この机の前に子どもが立って、手に定規らしきものを持って何かを書いていました。いかにも図面を書いているようです。

 このごっこの部屋があるのは、昨日のブログで紹介した0歳児から2歳児クラスまでの園なのです。そんなに小さい子どもたちが、本当に大人のそのような仕事を見たことがあるのかは疑問ですが、また、必ずしも性差を意識したものではないのですが、日本でも、もう少し、お父さんの仕事場的なものがあってもいいかもしれません。