運動会の考察8

 私の園では、毎年、園の「テーマ」があります。そのテーマを切り口によって、子どもたちは様々な体験をします。そして、そのテーマに関係したことをいろいろと知る体験をします。そして、年に何回かある行事の味付けにそのテーマは活躍します。そして、そのプログラムの種目の題名に反映されています。ですから、その題名を見ると、その年のテーマがわかり、そのプログラムは何年度のものかがわかります。「森」がテーマの年の運動会のプログラムは、「あまいかおりにさそわれて」「まるまるもりもりおいしいあき!!」「わが子をたずねて三千里?in にこにこのもり」「もりのたんけんたい」でしたし、「風と光と」の年は、 「風になれ」「光になれ」「ひかりのせかいのぼうけん」「お日さまにむかってジャンプ」「パパ・ママおほしさまとって」「森をこえていこう」などで、「世界」がテーマの年は、「世界にむかって1.2.3」「世界ふしぎ発見!」「ちいさなせかい」「世界の車窓から」「地球の歩き方」といった具合です。
 また、行事によって、プログラムは工夫の仕方が少し違います。運動会のプログラムは、運動会というのは体を動かす行事ということで、動かす仕掛けのあるプログラムを作ります。子どもたちが運動するたびに、プログラムも動いていきます。19年度の運動会のプログラムは、園の周りを太陽が、開会式の時に上ってきて、プログラムが進むにしたがって太陽が天頂にのぼり、閉会式のあたりで沈むようになっています。その年のテーマは、「自然」だったのです。今年は、「森で遊ぼう!」ということで、森で昆虫採集している子どもが網で、プログラムが進行するにしたがって、いろいろな虫を捕まえていくというものです。また、プログラムは、当日だけ使用するのはもったいないということで、そのあとも何かに使えるものの年もあります。そのあと、写真立てになったり、牛乳パックで紙漉きで作り、そのあとハガキになったりします。それは、担当の職員のアイディアです。
 運動会の種目は、毎年決まっています。日々の保育の中での運動遊びは、年齢別ではなく、例えば3,4,5歳児が一緒に、それぞれができる運動をします。しかし、運動会当日は、運動の発達を保護者に見てもらうということで、年齢別に運動を見せていきます。その時の趣旨を、係からの運動会前の保護者へのお便りの第1号に書かれます。ある年のお便りは、こんな文面です。

 「子どもたちは運動会を目前に控えて、毎日楽しくはりきって体を動かしています。本園の行事は日頃の園生活の様子や発達の過程を見て頂いたり、家庭での育児の在り方を提案することを基本に置いています。運動会も同じ考えですので、演目として整える練習はしていますが、この日のためにことさら「見せる」練習はしていません。子どもたちは本来、体を動かすこと自体を喜びます。その楽しみの中で、自然と運動能力をつけていきます。当日は、基本的に日常生活のうちの、一人一人の運動面の発達を見て頂くと同時に、体を動かす楽しさを親子で味わってもらおうというのが趣旨です。そのため、運動会のプログラムは、最初ハイハイに始まり、立ち上がり、歩み、走るという人の運動の根幹をなす「かけっこ競技」からはじまり、個人的な運動能力の発達過程を見てもらう「個人競技」、運動を通して家族みんなで触れ合うことを目的とする「親子競技」からなります。走る、くぐる、登る、跳ぶ、転がる、バランスをとるなど、一人一人の運動能力の発達をじっくりとご覧ください。また、親子で走ったり、汗をかいたりする機会も少ないと思います。親子で思いっきり体を動かし、運動することの楽しさを知っていただけたら、と願っています。」

 この文章は、2年目の担当職員が書いたものです。きちんと趣旨を職員が理解しています。

運動会の考察8” への7件のコメント

  1. 以前にもプログラムを紹介されていたと思いますが、筋が通っているというか、いつもきちんと考えられたものになっているのに感心させられます。テーマがはっきりしていることがこんなにつながりを見せていくものだということは実際に体験して感じていることですが、まだまだ広げていくことができるんだなあと考えさせられました。さらに運動会の趣旨を伝える文章がまたいいです。どの職員の方も趣旨を把握していると、このような文章はもちろんですが、その行事の内容も必然的にまとまってくるというか、軸に沿ったものになっていくのがよく分かります。これは行事に限ったことではなく、日々の保育においても同じことが言えると思います。理念を分かるように提示し、それを元に内容を考え、楽しさを盛り込むためにアレンジするといった、全てのことに当てはまる大事なポイントを教えてもらっているんですね。

  2. 以前、見学者から「保育園の保育理念は?」と聞かれて、「それは企業秘密です」と答えた園長先生の話がありましたが、意外に自園の保育理念をきちんと答えられる園長先生は少ないかもしれません。トップが答えられないぐらいですから、普段の保育は推して知るべし。新宿せいがは、藤森先生の保育理念を、2年目の新人さんでもここまで理解しています。確固たる理念と普段の実践が一致しているから、保育を通して体に染み込むのでしょう。

    保育の延長としての行事は、ことさら「見せる」行事ではなく、子どもの発達の「見える」行事になります。段取りと練習に追われることがないので、こんな素敵なプログラムを創り出す余裕も生まれるというものです。以前『理念なき会社は滅びる』という本がありましたが、理念なき保育園は…これ以上はやめにしましょう。

  3.  新宿せいが保育園の行事のプログラムをいくつか拝見させていただきましたが、アイディアが本当にすごいと思います。私の幼稚園の頃も行事のプログラムはあったと思いますが、ここまで手の込んだ物では無かったと思います。プログラムが毎回、ここまで工夫を凝らした物だと保護者も楽しみでしょうね。おそらく行事の度にプログラムを考えるのは大変かもしれませんが、プログラムを見て保護者の反応を見るのが楽しみであり、それが糧になる気もします。そしてある年のお便りを二年目の職員が書いた文章は驚きました。確か新宿せいが保育園の行事のリーダーは二年目の職員がやると聞きました。おそらく多くの園はベテランが行事のリーダーを行うと思いますが、それを二年目が行うのは想像がつかないでしょうね。しかし文章を読む限り、理念をしっかりと理解した文章だと思います。二年目だからまだ無理・・・ではなく二年目だからこそ大役をやってみることで成長するのかもしれません。

  4. 2年目の職員の書いた文章とは思えないくらい、的を射た文章はすばらしいですね。それも全員が保育の内容を理解し、運動会という行事の趣旨が浸透しているからなのだと思います。日常での保育の中でもこういったことは生まれてくるでしょうし、テーマを通して行うことでよりシンプルに行事の内容もより見えてくるのだと思います。また、毎年考えられたプログラムが作られているんですね。テーマによってそのプログラムの様子や作りが違うのは保護者にとっても楽しみになるでしょうね。毎年いろんな取り組みや競技をすることで、発達に目を向けることができるようにしているのは大切なことですね。とても勉強になります。

  5. 園のテーマがあると、行事が楽しくなりますね。運動会のプログラムにも「テーマ」を意識したネーミングがなされ、なかなかにおもしろい。今年は「季節」がテーマでしたから、プログラムの中の親子競技に「天高くクマこゆる秋」というものがありんました。「天高くウマこゆる秋」の間違い?と思っていたら、実際の競技に「クマ」に扮した職員が登場しました。確か、イタリアクマとフランスクマ?この遊び心には失笑しました。そして、今回のブログにある通り、プログラムについて「運動会というのは体を動かす行事ということで、動かす仕掛けのあるプログラムを作ります。」が基本となります。このアイディアがまた素晴らしいですね。先生たちのアイディア発揮ぶりにはほとほと感心させられます。それでも、各行事に触れて、ブログから当該記事を引っぱり出し、しっかりと落ち着いて読み、行事の意味と在り方等について振り返ることは必要ですね。

  6. テーマに添ったものを味付けのように加え、本来の趣旨となる部分は、しっかりと根をつけ、揺るがないものとなっている、保護者へ対して、運動会という行事の趣旨をしっかりと伝えることができる取り組みだと思います。
    このような意味でやっているというのをいくら職員間で共通理解しても、それを保護者へ伝えなければ意味をなさないと思います。保護者へ発信が、子どもの健やかな成長の糧になると考えれば、必然的な行為にならなければならないと思います。保護者へ発信する意味をもう一度、考えたいと思います。

  7. 保育園に毎年テーマがあることに、最初は驚きました。そして、そのテーマを切り口によって、子どもたちは様々な体験をし、テーマに関係したことをいろいろと知る体験をするのですね。さらに、年に何回かある行事の味付けにそのテーマが活躍する。運動会のプログラムは、運動会というのは体を動かす行事ということで、動かす仕掛けのあるプログラムにしてあるのですね。子どもたちが運動するたびに、プログラムも動いていくという仕掛けは面白いです。そのプログラムも毎年テーマに合わせて色んなものが出てきてすごいなと感じます。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です