運動会の考察11

 運動会の味付けは、テーマによる装飾や、種目の題名だけでなく、毎年行われる種目だけでない、工夫された種目にもみられます。例えば、運動会の最初は「開会式」です。0歳児から6歳児まで並んで行います。ただ、0,1歳児クラスの子は保護者と一緒に入場します。そして、準備体操をするのですが、親子競技もあるために、子どもと保護者がともに体を動かすものにします。そのあと、退場するのですが、退場しながら最初の種目をすることがあります。それは、入場門の作成です。それには、5歳児クラスだけのこともありますが、3,4,5歳児の共同制作の年もあります。絵が事前に書いてある段ボールを積み上げていく年もあり、木に花や実をつけていく年もあります。今年は、森がテーマですので、木に退場しながら実をつけていくというものでした。そして、その実のなる木は、玄関先の装飾になり、実の代わりにオーナメントをつけるとクリスマスツリーになりますし、木としてはお楽しみ会の会場の装飾になります。お楽しみ会では、他に、夕涼み会の木も飾られています。以前にも書きましたが、行事に向けての作り物は、一つの行事だけに利用されるのではなく、その後の保育室の装飾、複数の行事への活用、日常の保育への活用などに利用されます。

 運動会の時の装飾が後に使われる例として、万国旗があります。運動会といえば、万国旗というイメージがあります。それは、世界の祭典ということで、様々な国が集まっている世界を表わしています。園での世界は、様々な子どもたちです。0歳児から6歳児までが集まっていて、子どもたちは、まず自分の身の回りから世界を感じ始めます。そこで、園の運動会の万国旗は、子どもたちの似顔絵にします。0歳児から2歳児までの保護者にわが子の顔を書いてもらいます。3歳以上児は、自分で自画像を描いてもらいます。園全員の顔が運動会に参加するのです。その顔が、最後の卒園式に飾られます。卒園式には、園の代表をして年中さんが出席します。ほかの年齢の子どもたちは参加しないので、顔の絵で参加します。式場の周りには、絵と紅白のお花紙で作った花を交互につるし、紅白幕の代わりに卒園を祝福します

 また、運動会には、表現としてダンスがあります。そのダンスの練習も、園ではかなり時間をとり、子どもや職員の負担をかけがちです。私の園では、小道具同様、ひとつの行事だけのためのものにはしない工夫をします。というわけで、運動会で披露するダンスは、その年のプールに入るときの準備体操の曲に決めます。夏にプールに入るたびに、準備体操をします。それは、運動会の時のダンスの練習になるのです。運動会のためだけで練習はしないのです。

 また、種目の中に、普段保育の中で行われる運動が入ります。それは、「ぞうきんがけ」と「片付け」です。年長児は、毎日昼食の後に食事をした場所の机を片付けて、床をぞうきん掛けしています。それは、腹筋を鍛えると同時に、転んだ時に手を真っ先につく練習と、躓いた時に、足がとっさに前に出るようにするためです。運動会の最後の種目は、年長さんの個人競技ですが、そのときに使用した用具をみんなで協力して片付けます。重いもの、長いものは二人以上で持ちます。そして、片付け終わったら、会場の床をぞうきんがけをします。この雑巾がけについては、ブログで何回か取り上げたのですが、普段の保育の中で行うのも、それを子どもたちが自主的に取り組むための工夫がしてあります。それが、運動会でも発揮されるのです。

運動会の考察11” への8件のコメント

  1. 室内での運動会、雨天の場合に緊急避難的に行われることがありますが、まだまだ一般的ではありません。晴れ渡る秋空に万国旗がはためく中で、堂々の入場行進、体操、軽快な音楽とともに一糸乱れぬ演技の数々、大玉ころがしに綱引き、リレーに玉入れ。それから我が子の一世一代の演技を撮ろうとビデオ片手に場所取りに励むお父さんやお母さん。孫の晴れ姿にうっとりする祖父母たち。

    園もこんな大人を意識するから、保育をしばらく中断して演技の練習や本番さながらの予行演習をします。ともかく大人に見せないといけませんから。こうなると、運動会も子どもの行事なのか大人のイベントなのかさっぱりわからなくなります。暑いさなか、外で練習をしている子どもたちを見ると本当にかわいそうになります。

  2. 行事で作成した物をそこだけで終わらせないようにするためには、きちんとした計画が必要です。さらに一貫したテーマがあるということも重要な点です。計画とテーマがなく行事にのぞんでしまうと、そこで作られた物は間違いなくその後も生かしていくことが難しくなってしまいます。1年間のテーマを持って活動することが様々な面で意味を持ってくると、最近身をもって感じているいるところです。そして普段の保育が生かされた、そことつながっていて、しかもその後につながっていくとなると、やはり行事の目的をどう設定するかが重要になってきます。行事は決して独立した物ではなく、そのあり方には普段の保育のあり方がしっかりと反映されてくるんですね。行事の捉え方や初めの計画がいかに大事か、学ばせてもらっています。

  3.  入場門一つにしても子どもが関わり、更には当日園児が手を加える事で完成するという発想は素敵ですね。どうしても入場行進はただ歩いて入場して終わりという印象がありますが、新宿せいが保育園のように何か目的を与える事で行進する意味も出てきます。また他の行事も活用できるというのも重要な役割です。やはり入場門は運動会が終われば役目も終わるという方程式があると思います。そうではなく入場門も今後の保育や行事に使えるような物にしておくと便利です。藤森先生の話しから何度か聞きましたが年長さんの「雑巾がけ」も普段、子ども達が行っていることを、そのまま運動会に盛り込むことで立派な種目になります。行事の度に子ども達に仕込むのでなく、いかに普段の保育から行事へスムーズにつなげていくことが保育士の役割なのですね。

  4. 行事の装飾をその後の保育で使うことはいいですね。どの部分をとっても自然流れの中で行事に向かうことができるようになっているんですね。ついダンスやお遊戯はその運動会のために取り組むことが多く、運動会前に一気に覚えさせることがありました。どうもそこに違和感がありましたが、プールの準備体操でダンスやお遊戯の動きを取り入れることで子どもたちにも大人にも負担はなくなりますね。普段の保育から発達や運動会という行事につなげていくこと、その後の行事につなげることで一年間の保育がつながっていきます。新宿せいが保育園は行事にもそれぞれ五領域の目的を明確にもっていたのを聞きました。行事一つ一つに明確な目的を持たせることで、普段の保育の何を見せるかがはっきりしていきます。一年間のスパンを考えた保育の見通しを持つようにしていかないといけないですね。

  5. 折角拵えたものが行事が終わるとすぐに取り壊されたり破棄されたりすると、何だかとても空しさを覚えます。なぜなら、その日ために職員さんたちが作り上げてきたり、そのものを作るために材料費等々の費用をかけたりしてきたからです。運動会の入場門になったり、クリスマスや正月の装飾に変身したり、夕涼み会で作成されたものが今度はおたのしみ会で用いられたり、無駄なく使いこなされているのはとても気持ちが良いものです。日常や行事がしっかりと結びつき関連付けられているのは、その場限りの活動を保育者たちが提供しているのではなく、連続した発達に寄り添うかのように、その前後関係の文脈の連続性を示していることと了解できます。食事の後の雑巾がけ清掃を運動会の種目に採り入れ保護者の皆さんにご覧頂く、このことの意義深さは過小評価できません。行事が日々連続した保育におけるアクセントであることをしっかりと認識できますね。

  6. 装飾や体操など、一つの行事のために行っているのではなく、年間を通して、行うことで、運動会のためのといった考え方が変わってくると思います。それが子どもの日々の生活の中でも成長した姿だとも考えられます。
    私の園でも、運動会の時に入場門として作ったものをお楽しみ会、成長展とつながりをもたせていく形に近づけています。年間のテーマ、一つの行事のためではなく、つながりとして、考えていきたいと感じました。

  7. 行事に向けての作り物は、一つの行事だけに利用されるのではなく、その後の保育室の装飾、複数の行事への活用、日常の保育への活用などに利用されるのですね。このブログの中での入場門もそうですが、万国旗もそうの要素がありますね。運動会では、たしかに世界各国の国旗が飾られますが、新宿せいがで、子どもの似顔絵が飾られているのを見て、驚きました。もともと世界の祭典ということで、様々な国が集まっている世界を表わしていたのが万国旗で、どちらかと言うと、オリンピックのようなイメージだったのでしょうか。園での世界は、様々な子どもたちです。0歳児から6歳児までが集まっていて、子どもたちは、まず自分の身近な世界を感じるということですね。

  8. 運動会の事を考え始める職員達から、入場門という器具購入の申し入れがありました。安定した器具に飾り付ければ毎年様々な装飾ができる。背の高い保護者も子どもと伴に入退場できる。分割して組み立てることができるので、運搬も収納もてがるである。… まるで商品カタログに記載されている紹介文です。
    私は不要と考えています。しかし、職員達の意見に耳を傾ける必要もあります。そこで、入場門について一般的に知ろうと考えました。「運動会 入場門 保育園」のワードでサーチエンジンにて画像検索を行ったところ、様々な運動会の入場門の画像が表示されました。勿論、申し入れの有った器具を含め既製品使ったモノも表示されます… とは言っても、大半は手作り入場門の画像です。
    確かに、運動会の為に入場門を作成すのは職員の訴えるように大変です。
    行事で作った道具は再利用できるべきだと言ってましたので、昨年度も卒園式には再利用されていました。しかし今回の件で、行事についての古い認識がまだまだ居座っていることを感じ、保育の中の行事という位置づけについて自身は伝えていたつもりだったということも知らされました。
    このブログを読み返すことで、自身の考えが肯定されているように思え、安心し安定します。
    職員達との話し合いを行い伝えましたが、「見守る保育」の奥深さを改めて感じています。

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