身近なものの価値

 昨日のブログの旧六合村の取り組みを見ると、少し前に有名になった同じような村おこしを思い出します。それは、徳島県・上勝町での地域おこしです。家の周辺でいくらでも見つかる、ありふれた存在に過ぎない野山の花・枝葉を「つまもの」として商品化し、高級料亭などに安定供給する仕組みづくりに成功した話です。これは、「葉っぱビジネス」と呼ばれ、過疎化が進む地域活性化の好事例として、私も以前ブログで紹介したと思います。

 この取り組みは、様々な本になっています。タイトルを見るだけでも、なかなか面白いと思います。「葉っぱで2億円稼ぐおばあちゃんたち―田舎で生まれた「元気ビジネス」成功法則25 」(小学館 2008/01 ビーパル地域活性化総合研究所)「そうだ、葉っぱを売ろう! 過疎の町、どん底からの再生 」(横石 知二 著)「いろどり おばあちゃんたちの葉っぱビジネス」(立木 さとみ 著, 編集)などです。そして、なんと、ついに映画化され、今年の秋に公開予定だそうです。タイトルは本と同じで「そうだ、葉っぱをうろう!」だそうです。

 レストランや料亭で出される料理に添えられる南天やもみじなどの、料理の高級感を演出するいわゆる「ツマモノ」は、料理人自らが採集するなど、個別に用意するものでした。こうした慣行を破り、日本ではじめてツマモノの流通ビジネス、いわゆる「葉っぱビジネス」にしたのです。この葉っぱを上勝の産業にしようと思いついたのは、株式会社いろどりの代表取締役、横石知二さんです。1980年代、上勝町の人口は年々減少し、主な産物であった木材や温州みかんは輸入自由化や産地間競争が激しく、伸び悩んでいまあした。さらに1981年には2月2月には、マイナス13度という異常寒波が上勝を襲い、ほとんどのみかんが枯死。売上は約半分にまで減少してしまいます。

横石さんは、そんな中、軽量野菜を中心に栽培品目を増やすことで農業再編成をし、さらに季節に関係なく栽培できる椎茸に着目し、年間売上約5億円にまで成長させていきます。さらに彼は、人口の半数を占めるお年寄りが活躍できるビジネスを模索し、ツマモノビジネスを開始したのです。それを思いついた時のきっかけを彼は、「ある日、すし屋さんで、隣の女性たちがツマモノのもみじの葉っぱを”わぁきれい。持って帰ろう”とハンカチに包むのを見たんです。そこで葉っぱを売ろうと思いついたんです」と語っています。昨日のブログではありませんが、「わあ、きれい!」とよく思いますし、あまりにきれいだと私も持って帰ります。しかし、それだけでは何も起きません。それからビジネスチャンスをつかむのです。

横石さんは、月給の全てを注ぎ込んで料亭に通いツマモノの意味、価値、使われ方などを徹底研究し、実際に農家の人たちを料亭に連れて行き、現場を見せることでやる気を促していきます。彼は、こう言っています。「大事なのは農家を補助金で優遇することではなくて、産業を作って応援すること。だからいろどりは農家を優遇するんじゃなくて、農家のおばあちゃんやおじいちゃんの役割を作ったんですよ。役割を与えたことによって、みんなすごく能力が高くなった。自分で色々考えて行動する人と何かを与えられるのを待っているだけの人の顔は全然違う。昔はみんなお地蔵さんみたいな顔をしていたのに、今はみんな笑顔」

あまりにも身近な存在だからこそ、その価値が当事者はなかなか見えないことが多い。そして、現状をしかたないものとして嘆き、変わっていこうともしない。保育の価値は、ずっと保育だけをしているとなかなか見えてこないかもしれませんね。そして、変えようとしないかもしれませんね。