要求に応える

 子どもの発達を支える面として「要求に応える」ということがあり、特に乳児期の発達を考えるうえで大切にされているものが「要求の発達」と言われています。その要求の整理として、一昨日のブログで紹介した「生理的要求」「探索・探究の要求」「同調・共感の要求」があるとされています。この要求に応えるために、親と子、養育者と子、保育者と子という二者の関係が問われてくるのです。
 先日、知人から紙おむつのCMが送られてきました。そのタイトルが「Friendship Day」というもので、二家族の赤ちゃんの出産日を、特別な日として描いていきます。母親とともに父親も病院に行き、二家族とも出産後の赤ちゃんを母親のもとに連れて行き、その後、父親もいとおしく、頬ずりしながら赤ちゃんを抱きしめます。数日たった赤ちゃんを両親にガラス越しに見せるために、看護師さんが赤ちゃんをベビーベッドに連れてきます。その映像にかぶせて「ベビーベッド」という文字が映し出されます。そして、赤ちゃんをベッドの端に寝かせます。すると、そこに「二人のための」という文字がかぶさります。すると、看護師さんが、同じ日に生まれたもう一人の赤ちゃんを連れてきて、ベッドにお互いが向き合うように寝かせていき、両親が見ているガラスのカーテンを開けます。赤ちゃんを見つけた両親は、抱き合い、喜びを表します。そこには、向き合った赤ちゃんが、まだ目が見えないながらも、少し笑顔で向き合い、相手の手を触り、相手の指をしゃぶる赤ちゃんの姿があります。それをじっと見つめる二家族の両親。そして、画像が消え、「My first Friend」という文字が現れてCMが終わります。

 このCMは、海外のものですが、実際に出産後の赤ちゃんを二人向き合わせることをしているのか、CMだけのためにそうしたかはわかりませんが、向き合った赤ちゃんが、相手の手を触り、相手の指をしゃぶる姿には、感動を覚えます。二人の赤ちゃんは何とも落ち着いていて、幸せそうに見えるからです。この映像は、私がまさに最近の課題である「子ども同士のかかわり」の原点を見た気がするのです。

 乳児期の要求に三種類あげられ、その要求に対して二者関係のあり方が言われていますが、子ども同士の関係の中には要求が生まれないのかということに疑問を持ちます。例えば、同調・共感的な要求は、乳児においても子ども同士の関係があるのではないかと思っています。それゆえ、模倣しようとする行動が生まれてくるのではないでしょうか。私が、ブログで続けて書いていた「共感脳」は、かなり早い時期に育っていくことが最近分かってきているということは、赤ちゃんの要求を、二者関係だけで語ることを見直さなければならないと思うのです。

 保育者が、要求に自らかかわることで、どう応えていくかだけが保育実践ではなく、このCMのように、赤ちゃん同士を隣に寝かすこと、他の赤ちゃんを見せること、少し上の赤ちゃんと触れ合わすことなども、乳児保育では必要になってきます。そして、これらの保育が、少子社会では家庭内では難しくなってきていることを踏まえ、どのような家庭支援を行うべきかを考えないといけない気がしています。

 どうも、最近、幼稚園に入園してくる子の中におむつが取れていない子が多くなってきたというのは、母親の怠慢ではなく、さまざまな要求を、二者関係からだけ応えようとして、他の子どもを見たり、かかわったりする経験をないということも理由のような気がしています。