かむ

保育園、幼稚園の子どもの悩みの一つに「ひっかき」「かみつき」という行動があります。すべての子どもが発達上通る道ではなく、それをする子は、一部ではあるのですが、他の子に危害を加える行為ですので、問題になりますし、なぜか、その行為が子どもの中で伝染し、「ひっかき・かみつき」する子が広がっていくことがあります。また、問題になるのは、子ども集団がある場では、その行動をなかなか止めることができないからです。それは、全くその気配がなく、仲よく遊んでいたり、一人で遊んでいるかと思うと、突然目の前の子をかんだり、ひっかいたりします。しかも、かむ場所は、所構わずです。

そんなひっかき、かみつきですが、私はある傾向がある気がします。それをする年齢に特徴があります。先日、区内の保育園の看護師の集まりの中で、その話題が出たところ、私の園の特徴が出たということで、私の園の看護師が聞きに来ました。それは、私の園で、ひっかき、かみつきが起こる年齢は、0歳児クラスであることが多いのです。そして、1,2歳児なるにつれてその行為は消えていきます。それが、他の園では、1,2歳児で起きるというのです。どうしてでしょうか?と聞きに来たのです。

以前、ブログでも書いたことがありましたが、危機管理の原稿を幼稚園の園長先生と一緒に書いたことがありましたが、ひっかき、かみつきの項目をどちらが書くかという話になった時に、幼稚園の先生は、「それは、私たちが書きます。だって、それは、3,4歳児の発達上の行為であるから。」というのです。幼稚園では、ひっかき、かみつきは3,4歳児のころによく起きることだというのです。その時、その行為は、発達上の問題ではあるけれど、年齢の問題ではなく、子ども同士がかかわり始めたときのストレスとか、他人とかかわるうえでの自己表現ではないかと思ったのです。私の園では、いま、0歳児から子ども同士がどのようにかかわるのか、その中でどのような力を学んでいるのかを課題にしています。ですから、0歳児で起きるのです。多くの保育園では、たぶん、1,2歳児くらいから子ども同士を関わらせ初め、幼稚園では、3歳児で初めて子ども集団を体験するからでしょう。

私の子どものころは、あまり「かみつき」など聞いたことがありませんでした。たぶん、各家庭で、きょうだいで子ども集団を体験していたからでしょう。きょうだいの中で、物を取り合い、自分の思い通りに行かないことを学び、遊びを邪魔された経験をたくさんしてきたからです。では、かつては、そういう経験を家庭でしてきたとなると、家庭でひっかき、かみつきをしていたかというと、きょうだいげんかはしていましたが、突然、かんだり、ひっかいたりはしていなかった気がします。なぜならば、家庭の中で行われた人とかかわる経験は、異年齢であることが多かったからです。物の取り合いは、異年齢で行えば、下の子は我慢することが多かったり、上の子は譲ってあげたり、年長児として我慢したりしていました。きょうだいでの生活は、集団に入るときの練習だったのかもしれません。

では、どうして、子どもは、ストレスが起きると人にかみつくのでしょう。それは、生きるものが持っている攻撃的行動の一種であると解説できます。それと、面白い考え方があります。これは、私の考え方ですが、今、食事において必要なことの一つに「咀嚼」というかむことがあります。ひとは、かむことで「集中力を高め、同時にストレスを緩和する」効果があると言われています。「人間は不快な音を聴くと、脳の扁桃体と呼ばれる部分が反応して活動が変化します。ところが、ガムを噛みながら不快な音を聴くと扁桃体に変化は見られなくなり、ストレスを緩和しているものと考えられます。スポーツ選手がガムを噛みながら練習に励んだり、試合に臨んでいるのは咀嚼することで集中力を高め、ストレスを緩和するためなのです。」ということが、何かの本に書いてあったことを思い出しました。

 子どもは、カーッときたことを収めるために「かむ」という行為をするのかもしれません。

かむ” への5件のコメント

  1. 子どもの「かみつき」ひとつをとっても、普段接している子どもたちの年齢や保育の手法によって子ども理解が異なるというのは、とても興味深いですね。子どもの発達という命の営みの本質をとらえることの難しさを感じます。0歳の頃早期に現れる「かみつき」は、他の子どもと関わり始めた通過儀礼のようなものでしょうか。自他認識ができつつある赤ちゃんが、ヒトとして初めて経験する対人ストレス。でも“ともだち”と一緒に遊ぶ楽しさをおぼえると、そんなストレスも自然に消えてなくなるのかな。

    心配なのは、家庭で先回り育児で“王様”扱いで育てられた子が、幼稚園で自分の思うようにならなくて起こす「ひっかき」や「かみつき」。「あの子が痛いでしょ」と言葉で注意しても「発達」がさせる行為だから、そうそう簡単に治らないような気がします。子ども本人の責任ではないのに、「問題児」扱いされるのは気の毒ですね。少子化時代にあって、幼稚園の存在意義がとかく論議されますが、心ある先生方は、せめて『0・1・2歳児の保育』を読むなり、新宿せいがを見学するなりして、乳幼児のありのままの発達の姿から子ども理解を深められたらいいのにと思います。

  2. ひっかきやかみつきの起こる時期が0歳児であったり1,2歳児であったり3,4歳児であったりというのは、まさに子ども同士の関わりの体験がそこに影響しているということがよく分かりますね。極端な違いだからこそきちんと整理をして捉え、その違いが何によるものかをこうして明らかにすることが大事なんだと思います。0歳から子ども同士の関わりが重要であること、少子社会であるからこそこの関わりを丁寧に考えなければいけないことなど、いつも言われていることをいつもとは違う感じで受けとることができました。また、かむ行為が子どもにとってどのような意味があるのかという藤森先生の解釈も興味深いです。目の前で起きていることに対してどこまで考えを深めることができるかのヒントももらえたように思います。質問力とか観察力を高めなければいけませんね。

  3.  私は幼稚園でしたが友達に噛みつく友達はいなかったと思いますし、私自身もケンカはしたものの、人に噛みつく行為はいませんでした。ですので、初めて保育園で働いたときに、子どもが噛みつく行為を見て、とても驚いたのを覚えています。ただ、なぜ「噛みつく」のか?と聞かれると疑問に思います。友人に物を取られ不快な気分になった時は、ひっかいたり、噛みついたりするのでなく、叩いたりして自分の思いを発散した方が手っ取り早いですし、わざわざ面倒な「噛みつき」はしなくてもいいと思います。それを「噛む」行為について、原点を考えると自然と理由が分かってくるのですね。野球選手でガムを噛んでいる選手を見ますが、集中力を高めるというのは知っています。そしてもう一つがストレスを緩める為と言うのは初めて知りました。そうなると赤ちゃんも物を取られたストレス、不快な気分を発散するために、本能で噛む行為をするのですね。

  4. 噛むという行為にたくさんの意図や理由があるのだと思います。野球選手が集中するためにガムをかむ動作がストレスを軽減するためというもう一つの理由があったんですね。保育園の子どもたち特に乳児といわれる子どもたちは確かに噛みつくことが多いです。その理由はほとんどが物の取り合いから来るものが多いですが、小さくなればなるほどその理由がわからない噛みつきもたまにあります。それはこういったストレスから逃れるための手段なのかもしれませんね。ただ、やはり今まではなかったことがここで出てきたということは時代の流れや環境の違いが大きいのだと思います。子ども集団をもつ保育機関だからこそ、考えを深める必要があると思います。

  5. 私たちの保育園に見学に来られる保育士さんたちの質問にも「かみつき」への対応をどうしているか、というものがあります。私たちの園にもたまにありますが、それほど気にならなくなっています。先生たちが適切な環境を用意しているからでしょう。ということは、「かみつきで大変なんです。どうしたらいいでしょう?」と仰る背景には「かみつき」を許してしまう環境があるから、ということになるのだろうな、と思いました。私も家庭では「かみつき・ひっかき」の経験がないのですが、それはやはり「異年齢」で育っていたからということには納得がいきます。ドイツ・ミュンヘンのコープのことを思い出しましたが、0歳から6歳までが異年齢で生活していると、かみつきやひっかきということは皆無またはかなり少なくるのでしょう。かみつきがストレス解消の方法だとすると、かみつく対象がお友達ではなく、何かかめるようなものがあればいいのかな、と思います。そういえば、自分の子どもの頃、鉛筆をかじっていたことを思い出しました。というこは、私自身、小さいころはかみついていたのかもしれません。私の世話をした叔父や叔母に今度会ったら聞いてみようと思います。

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