つゆ

 最近の異常気象は各地に被害をもたらし、なんだか心配になります。また、最近は、各地に行くことが多く、日本全国に仲間の園があります。それはうれしいのですが、ニュースでその地方の被害状況が報告されると、大丈夫だろうかと心配になります。

 日本は四季があり、その自然はとても素晴らしいのですが、それぞれの季節にはそれぞれ心配な気象現象があります。最も心配なのは、台風でしょう。そのほかにも、大雪、雷、最近では竜巻などがあり、今回九州を中心に被害をもたらしているのは「梅雨」という気象現象を起こしている梅雨前線に湿った空気が流れ込んだものと言われています。

 梅雨のころに咲く花というといろいろとありますが、この「つゆ」からとったわけではありませんが、今日、園の周りを歩いていて「ツユクサ」を見つけました。この花は、人家近くで普通に見られる雑草で、いろいろな所に咲いています。この草の名前の「つゆ」は、「露を帯びた草」からきているそうですが、日本では古くからどこにでもある草で、それでいて、その花は染めることができるほどあざやかな青色の花をつけるために、和名は非常に多くあります。「植物和漢異名辞林」という書物には、37もの別名が載っているとのことです。
古名では、「ツキクサ(着草)」と言いますが、それは、昔は布や和紙を染めるのに使っていたことからです。しかし、中国から藍染めなどの技法が輸入されると、光や水に弱いツユクサ染めは衰退しました。しかし、逆に、水に溶けやすい性質を利用して、友禅などの染色の下絵を描く染料として利用され、「藍花」「青花」ともいわれました。友禅染で下絵書きに使われる「青紙」とか「青花紙」と呼ばれる紙は、ツユクサが突然変異で大型化した「オオボウシバナ」の花汁を、美濃紙に何回も塗りつけて乾燥させたものです。この紙を小さく切って小皿にのせ、水で湿すと青い色がにじみ出てきます。それを筆に付けて布に下絵を描くわけですが、これで描いた下絵は、水に入れると、きれいに色が流れ去って跡が残らないので、好都合なのです。また、蛍を飼うときこの花を籠に入れることから「ホタルグサ」、ほかにも「移草」「月草」「鴨頭草」「縹草」「帽子花」などがあります。

梅雨のころに咲く花で有名なものに、花の色がよく変わることから、「七変化」「八仙花」とも呼ばれる「アジサイ」がありますが、このツユクサのあざやかな青色の花も、朝、まだ露が残っているうちは青々と咲いていますが、強い日光が当たるようになると、しなびてしまいます。それは、この花は午後になると花弁の中がどろどろに溶け、成分は吸収されて次の花へ回され、色素は水に簡単に溶け、日光にも弱いので、すぐに色褪せてしまいます。そのように、色が変わっていくことから、万葉集ではその特徴をとらえて、「人の心と同様に「朝(あした)咲き夕べは消(け)ぬる鴨頭草(つきくさ)の 消ぬべき恋も我はするかも」と詠まれ、「移ろいやすいもの」として歌われています。

 この花の学名を「Commelina communis」と言いますが、ツユクサ属というCommelinaは、17世紀のオランダのコメリンさんという植物学者の名前に由来しているそうです。おもしろいものには、この花の形がなんとなく「ミッキーマウス」に似ているということで、「ミッキーマウスの木」とも呼ばれています。今度、ミッキーマウスに似ているのか、よく見てみようと思います。