赤ちゃんの世話

 上野動物園のパンダの赤ちゃんは残念でしたね。生後1週間が過ぎると、その生存率は大幅にアップするそうで、まずそこまでが一つの区切りのようです。今回、赤ちゃんは母乳が気管に入ってしまい、肺炎を起こしたようですが、人間でも食べ物や飲み物が気管に入ってしまうことがあります。しかし、その時には、むせることによって吐き出そうとするのですが、まだ、そんな力がなかったのでしょうね。

 それにしても、赤ちゃんはとても微妙です。その赤ちゃんを、赤ちゃんからの能動的な働きかけによって大人は面倒を見るのですが、基本的に何をすることが面倒をみるということなのでしょうか。もちろん、衣食住が大切ですので、心地よく、清潔な衣服、栄養のある食事、快適な住まいが保障されることは基本です。しかし、この衣食住が満ち足りれば、赤ちゃんは成長していくのでしょうか。赤ちゃんの世話をするということはどういうことをすることなのでyそうか。

 「社会脳の発達」という本の中で千住さんは、「ヒトの脳は、他者からの助けなしに発達することはできません。養育者か食べ物や身の安全確保してもらうだけでなく、絶え間ないコミュニケーションによってくりかえし情報を与えてもらい、他者について、社会について、さらにはその社会に特有な文化について、時間をかけて学ぶ必要があります。親などの養育者を初め、様々な他者とのかかわりがあって初めて、社会脳が発達するのです。」

 この研究はとても重要なことです。なぜならば、現代は、さまざまな他者との関わりを持ちにくい時代だからです。家庭に母親しかいないとなると、その母親は料理や掃除など家事に追われ、赤ちゃんは、絶え間ないコミュニケーションをとることができにくくなっているからです。かつては、母親が家事をしている間には、祖父母なり、きょうだいなり、近所のおばさんなどから話しかけられました。現在、わかっていることからだけしても、そのような状況の中では社会脳が育ちにくい環境のようです。

 また、こんなことも言っています。「ヒトの社会も、ヒトの脳の特性に基づいて構築されています。ヒトが自然にコミュニケーションを行い、教えたり学んだり、協力したり取引したりできるのは、ヒトの脳が自発的に対人相互作用やコミュニケーションに必要な情報を読み取り、素早く反応できるからです。そういった自発的な社会的認知に困難を抱える自閉症者は、社会的な行動を行う上で大きな困難を抱えてしまいます。」

 一昨日のブログ書いた「乳児の自発性」は、自分から何かをするということですが、その能力は、自分一人で、この世界で生き抜く力ではなく、社会で他者と協力して生き抜くために必要な行動なのです。他人との関係を築くために、自発的な社会的認知が必要なのです。ということで、「ヒトの脳機能について理解を深めることは、ヒトの脳が構築している社会を理解するうえでも重要な視点を与えてくれます。社会脳研究は、こういった脳と社会との相互作用、そのダイナミクスを知る上で、今後も重要な研究分野であり続けるでしょう。」と千住さんは言います。

 私は、赤ちゃんを育てるのに必要なことは、衣食住同様に、社会という機能が必要だと思っています。ヒトは、その社会の中で多様な人々との出会い、その中でコミュニケーションをとり、関係性から社会脳を育てていく、社会的生き物であると思っています。