笹の葉

 一昨日、年長児と一緒にプラネタリウムに行ってきました。園の近くには平成22年4月、東京都から公益認定を受け、「新宿区民をはじめ都民に対して、歴史、文化、芸術、スポーツなどの生涯学習の機会を提供し、区民等の自発的な参画と相互交流を深めること」を目的に「公益財団法人新宿未来創造財団」が作られ、そこが運営するコズミックセンターという施設があり、そこにプラネタリウムがあります。年1回、区内の保育園、幼稚園は招待されるのですが、毎年私は都合が悪く1度も行ったことがなかったのが、今年は付き添いで行くことができたのです。

プラネタリウムのプログラムは、当然今の時期ですので、「夏の大三角形」の星の紹介と、「七夕物語」です。そして、最後には、皆で「たなばたさま」の歌を合唱します。権藤はなよ/林柳波作詞・下総皖一作曲の「ささの葉さらさら のきばにゆれる」という有名な歌です。この歌は、昭和16年発刊の「うたのえほん・下」に発表された文部省唱歌です。 この歌が発表された昭和16年当時の日本は、国民学校令が公布され、小学校は国民学校、小学生は少国民と呼ばれるようになり、お米が配給制となり、町には軍歌が流れ、戦争色一色でした。そんな時期の歌ですが、戦争中であることを忘れるような、子どもの世界を表しているので、いまだに歌い継がれているのでしょう。

この歌の歌詞の最初にある「ささのは」ですが、考えてみると、なぜササの葉に短冊を飾ったのか不思議になります。かつてブログで「葉の効用」について書いたことがありました。その時に、富山の「ます寿司」のことを書いたのですが、ます寿司には、主に「隈笹」が使われています。隈笹には防腐効果・殺菌効果があるため、昔から包装する際に使われたりしていました。それは、笹の葉に含まれている揮発性の物質のフィトンチドやサリチル酸には抗菌・殺菌作用があるので、生活の知恵として昔から食中毒予防に使われていたようです。「ちまき」や「笹だんご」も笹で包んだのはそのような理由からです。その笹の葉の効用を利用して、お弁当などのおかずの仕切りや、寿司の境に使ったりしていました。その時の笹は、ぎざぎざに切ったので「切り笹」と言いますが、板前が包丁で細工した者です。しかし、残念ですが、最近は、ビニールで作られたものがほとんどです。また、笹で巻いたり、笹を下に敷いたりして使われています。また、清酒をササとよぶ場合があります。それは昔、酒の腐敗を防ぐためにササを酒樽に入れたことに由来しているそうです。また、笹の葉は胃薬や口臭防止薬にもなります。

このような効用があるからかもしれませんが、笹には精霊が宿っていると信じられていました。土地に新しい建物を建てる際に土地の穢れを清めるために“地鎮祭”を行いますが、必ず四方に笹を立て、しめ縄を張り巡らせます。また、年末に寺社で行われる“すす払い”にも笹ほうきが使われます。また、宮崎県高千穂の岩戸神楽では、天の岩戸に姿を隠した天照大神を誘い出すときにも笹の葉を使います。そのほかにも神式の葬儀などでは今も竹や笹を立てますが、それは、笹は神聖な植物とされてきたからです。

「七夕」を「笹の節句」と呼ぶこともありますが、それは、祖先の精霊が宿ると信じられている「笹」に札をさげ豊作を祖霊に祈るお盆の行事の一つだったようですが、明治政府の神仏分離令によってお盆と切り離されてしまったそうです。

 園に立てられた「笹」の木の葉が、「軒場」ではありませんが、風に吹かれて「サラサラ」と音を立てています。