誕生表

 成長の喜びは、人の成長を喜ぶ前に、自分自身が成長していることを実感した時に喜びを感じます。子どもたちが、自分が成長したと実感するのは、初めて何かができたときがあります。本人は意識していないかもしれませんが、初めて歩いた時には、周りの大人は感動しますが、当の本人もとてもうれしそうであり、自慢げな表情を見せます。そして、その喜びを何度も味わうように、また、そのできるようになったことを確実にできるようにするために何度も繰り返して行います。そんなときに、よく大人は「また、やって!」と怒ることがありますが、赤ちゃんにとってはとてもうれしいのでしょう。成長した喜びを、十分に味あわせてあげて欲しいと思います。

 もう少し大きくなると、成長した喜びは、誕生日を迎えた時かもしれません。私のところにも、「今日、私、誕生日なの!」「おめでとう!いくつになったの?」「六つだよ」というような会話を今日もしました。とてもうれしそうです。きっと、家では、誕生パーティーをやったり、誕生日プレゼントをもらうでしょう。子どもにとっては、誕生日は、うれしいものです。

 園では、多くの園では、保育室には誕生表が貼ってあり、毎月、誕生会をやっている園が多いと思います。昨年、ドイツに行ったときに、小学校を見学しました。3年生の教室の壁面には、誕生表が貼ってありました。小学3年生でも誕生日を祝っていることがうかがわれます。そして、クラスには、ちょっと豪華なイスが置いてありました。それは、たぶん、誕生日を迎えた子が、その椅子に座れるのでしょうね。ただ、きちんとさせること、きちんと座ることを求める日本と違って、なんだか温かく感じます。

 そういえば、数年前に、ドイツの幼稚園で誕生会を見学することができました。誕生会というより、お集まりのときに、その日が誕生日の子がいたので皆でお祝いしたのです。その日のお集まりは、屋外で、みんなで円く座ります。その中で、誕生日を迎えた子は、主役席に王冠をかぶって座ります。その席は、金色の布がかけられています。そして、その両脇には銀色の布がかけられている椅子があります。そこの席は、誕生日を迎えた子が選んだ子が座ります。先生は、まず、子どもたちが座っている真ん中に花火を置きます。そして、誕生を祝う歌をみんなで歌います。次に先生は毛布を持ってきて、その中に誕生児を寝かせ、その子の年齢の数だけ上に持ち上げます。胴上げのようにです。そして、いつものお集まりに戻ります。

 では、私の園ではどう考えているでしょうか。まず、見直したのが、「誕生表」です。3月末、園に遅くまで残って新年度の準備をする中で大変なのが誕生表作りです。そのモデルが保育雑誌に掲載されていることもあり、色画用紙を切ったり、貼ったりしてずいぶんとかわいく作ります。しかし、そのほとんどは、1年間の子どもたちの誕生表です。ということは、その誕生表を1年間貼っておきます。年が変わるころには、色あせて、ボロボロになって、ほとんど誰にも見向きもされなくなってしまいます。あるとき、職員に「この誕生表は、どんな時に見るの?」と聞いてみると、「担任が、来月は誰が誕生日だろうと確かめる時」と言うので、「だったら、紙切れでもいいんじゃないの?」と言うことになり、誕生表をつくるのはやめてしまいました。しかし、子どもにとって、もうすぐ自分の誕生だということを、ワクワクしてカレンダーを眺めて楽しみに待っているということはあります。

 どんな誕生表がいいのでしょうか。