遠足7

 遠足の話題が続いて申し訳ありませんが、各保育園、幼稚園では行事への取り組みが課題になっています。行事を通して保護者に普段の保育の成果を見てもらうことが多いために、どうしても保護者が感動する行事をしようとしてしまうことが多いからです。そのために、職員だけでなく、子どもにもかなりの負担をかけてしまうことが多く、また、一つの行事が終われば、付議の行事の準備に入り、1年の保育がただ行事に追われるようになってしまっている園も見られます。保護者は、すばらしい保育の成果を見て感動する前に、そこに行くためにどれだけ子どもたちに肉体的にも精神的にも負担をかけているかを考えてもらいたいと思う園もあります。逆に、子どもに負担をかけないようにするために、すべての行事を止めてしまっている園もあります。果たして、行事は保育にとってはいらないものなのでしょうか・

 そんなこともあり、最近出した書籍「食育」に続いて、夏頃には「乳児保育」についての本、それに引き続き、来年初めには「行事」についての本を出そうと思っています。そのために、少し、行事について再考しようと思い、また、園での取り組みを紹介しながら、行事にはどのような意味があるのか、行事を日常的な保育にどうつなげていけばいいのか、子どもにも職員にも負担がなく、行事を楽しむことができるのには、どのようなものがありえるのかなどを私の園の実践から考えてみようと思っています。そこで、行事について、いろいろとブログに書き込んでいるのです。

 そう思って整理をしていると、いろいろなことが見えてきます。地域をめぐる遠足によって、園が地域とのつながりをより深く持つようになりました。そのつながりが普段の保育に厚みを持ってきます。5回目の遠足では、各ポイントにボランティアさんを中心に受け持ってもらいました。それは、その年の年間テーマが「森」であることもあり、職員の知識だけでなく、それぞれの専門家を活用することで、より面白く子どもたちに体験してもらえます。

 たとえば、「野鳥の森にはどんな鳥が住んでいるのかな?全部で8つあるよ。」というポイントには、鳥類保護連盟の方にいてもらい、鳥のポスターをみながら、該当するとりを親子で考えてもらい、解説してもらいます。そして、「この羽はなんの鳥の羽根かな?」というといには、本物のすずめの羽根をみせてくれました。そのほかにも本物のいろんな鳥の羽根をみせてくれ、また、興味のある親子には本物の巣やカモの片腕など、とりのおもしろい話をしてくれました。また、違うポイントでは、植物に詳しい地域の人が、「日向と日陰、どんな植物があるかな?当ててみよう」ということで、アロエとドクダミのどっちがどっちか当ててもらうポイントでは、「自然の森では、植物はそれぞれ生態に適した場所にはえている。そのようにして、日陰と日向に分かれ互いを守りながら共生している。それが、自然に成り立っている…人社会でもそうなったらいいね。」みたいな話をしてくれました。また、園の裏にある「ホタル舎前」では、地域に蛍を復活させた方に、「ホタルのあかちゃんに会いにいこう?ホタルのあかちゃんってどんな形?」ということで、本物を虫めがねで見せてもらいました。

 そのほかにも、「森の中にあるミクロな世界をのぞいてみよう?コケってどんな形かな?」では、虫めがねでコケをみたりその周辺のものをみてみたり、「ミクロな世界を顕微鏡でのぞいてみよう?すきなものをみてみよう?」とか、「箱の中に入っているものを触って当てよう。」では、ミラクルボックスの中に入っているものを触って、何が入ってるかを当てたりしました。

 体験ポイントでは、地域の郵便局の協力で、「葉っぱの葉書でお手紙をだそう」ということで、タラヨウの葉っぱに子どもが手紙をかいて、保護者は台紙に宛名・住所を書き、ふくろに入れてポストに投函したら、郵便局の人からポストの消しゴムのプレゼントと葉っぱのシールをもらうというコーナーがありました。

 地域の人の協力で、どんどん企画は膨らんでいきます。また、子どもたちの体験も豊富になります。

遠足7” への7件のコメント

  1. 乳児保育の本も楽しみですが、行事の本というのも非常に興味があります。ここで書かれているように、子どもに負担がかかってしまうくらいなら行事はやめた方がいいのではないかと考えたこともありましたが、でも負担をかけているのは行事そのものではなく、その取り組み方だということに気づくことができました。子どもが様々な行事を楽しみにしていますし、実際に楽しんで取り組みます。だとすると、そこをうまく活用していろんなことに対して興味関心がさらに増すように、普段から意識している社会を知るための体験がさらに豊かになるように、活かすことを考えるべきだと。社会を知る、体験することが子どもに必要なことと考えると、地域の人にも協力してもらえるように進めていくことは欠かせないですね。しかもゲストではなくスタッフとして関わってもらうことがどれだけ子どもたちにとって意味のあることかを知ってもらうことも大事なことなんだろうと思います。

  2. ついに遠足シリーズも第7回に突入です。ただ新宿せいがの遠足に感心するだけでは、問題の本質に迫れない。行事が多いとか子どもに負担をかけているという表面的なことではなく、行事の在り方ひいては園の保育そのものが問われている。

    平成19年に出された私保連の新しい保育指針への提言の中に、こんな一文があります。

    ≪保護者と保育者の関係が、ともするとサービスの利用者と提供者という関係に傾きがちな状況にある今、保育とは保育者と保護者が協同して子どもを育てる営みであることが強調されなければならない。そしてそれが現実のものとなるためには、保育の目標と保育の実際、そして子どもの状況に関する理解が、両者の間でできうるかぎり共有されなければならない。そのための方法が様々に模索されるべきで、そのことが指針においても示される必要がある。子どもを中に挟んで、共に悩み、また成長の喜びを共にすることを通して、共有するものを広げて行けるはずである。≫

    この提言が、新指針に反映されたか定かではありませんが、長らく保育所保育が「家庭での養育の補完」であったために、サービスとしての保育の成果を利用者にお見せするための「行事」が必要だったわけです。運動会も発表会も子どものパフォーマンスをいかにうまく見せるかに園は苦労してきました。決して子どもの成長・発達のための行事ではなかったのです。

    この私保連提言の中の京都大学の鯨岡峻先生の書かれた一文が、これからの保育所保育のあるべき方向性を示しています。

    『保育の場は、子どもたち一人ひとりが、周囲から主体として受け止められ、主体として育っていく場である。そして保育は、保育者と保護者が共同して子どもを育てるという基本姿勢の下に営まれるものである』

    保育者と保護者が共同して地域社会と連携して子どもを育てる?新宿せいがの遠足の実践には、この精神が息づいています。

  3.  食育の本の次は乳児、そして行事についての本が続々を出るのですね。とても楽しみにしています。
    さて、幼稚園、保育園生活の中で行事というのは切っても切れない物です。私が幼稚園の頃は遠足、運動会、発表会など行事は楽しみなイベントの一つでした。おそらく、私が通っていた幼稚園はとくに鼓笛や運動などに特別力を入れているわけではなかったので、楽しめる程度で収めていたからかもしれません。運動会の前になると、保護者を感動させる為に、子ども達は毎日猛練習をしている園もあるでしょうね。ここまでくると子どもに達成感を、と言いながら本心は保護者の感動の為に行うもの、それは間違っていますね。当たり前ですが・・・。行事とは普段なかなか体験できない事を体験したり、一人ひとりの子どもの成長を見たりなどをする事が大切だと思いました。本当に新宿せいが保育園の遠足の取り組みは参考になりますし、勉強になります。

  4. 『乳児保育』『行事』の本、楽しみにしております。遠足については今回で7回連載となかなか長寿?ですね。おかげで「遠足」についての知見を深められました。ありがとうございます。私は子どもの頃から「行事」があまり好きではありませんでした。理由は単純です。楽しくなかったからです。子どもながらに行事の準備には辛いものを感じていました。辛い理由は、なぜこうした行事をやるのか、それは何のためか、わからずに、言われるままに取り組んでいたからです。保育園には「行事」があります。「達成感」とか「協力」とか「学習」とかいろいろな意味づけがなされますが、何かが決定的に欠けていると思っていました。しかし、この欠けているものを前面に押し出すことも結構大変です。「教育」の二文字が出てきて、妨げるのです。ところが、今はその「欠けていたもの」が根底にあり全面に出てきているのです。つまり「楽しむ」ということです。子どもたちが楽しむ、ということですね。親子で楽しむ、子ども同士で楽しむ、先生と楽しむ、地域の人と楽しむ。地域のボランティアの皆さんは楽しんで子どもたちに関わってくれますね。楽しく学ぶ子どもたちの姿は何物にも代えがたいものがあります。そして彼らは力を発揮していくのですね。楽しむjことが最高の学習、そして教育です。

  5. 「食育」に続き、「乳児保育」「行事」と出版されるのですね。楽しみです。私は幼稚園で過ごしていましたが、その時の行事がどうだったかと思い出そうとしたのですが、正直それ程覚えていませんでした。ただ運動会と夕涼み会は何となく楽しかったのだけ覚えています。私は今でこそ保育園で働いていますが、以前は違う職業だったので、他の保育園や幼稚園のそういった行事のことは全く知りませんでした。ですが、藤森先生からのお話しを伺ったり他の保育園を見学させて頂いたりする事で様々な行事のあり方があるのだなと学ばせて頂きました。新宿せいが保育園では、地域やボランティアの方を巻き込んで行事を行う事でものすごいパワーを感じました。行事のあり方をもう一度考え直し、参加した全ての人が楽しい行事を考えていきたいと思います。

  6. 地域と繋がることで保育に厚みが出るというのは必要なことですし、そこまで保育の幅を広げることは子どもたちの体験や経験にとっては非常に必要なことですね。どうしても保育者は保育に沿った書籍やサイトなどで情報を集めますし、持っている知識も保育のものが多いです。しかし、地域の人やボランティアの方は逆に保育の知識がない分、純粋に自分の持っている知識と子どもたちの体験に焦点を当てて企画を立ててくれるので、保育者が思いつかないものを見せてくれます。保育者自身もそういった人の繋がりを通じて刺激を受けることが多いですね。地域とつながることは子どもたちだけでなく、保育園をも育ててくれるということに気づかされます。

  7. たしかに、先生と出張に行くと、どの園も行事の悩みが多い印象です。ブログにも書かれていますが、その悩みの内容も様々ですね。
    新宿せいがの親子遠足には、地域との繋がりを持てるような役割がありますね。そして、その繋がりが保育へも良い影響を与えています。地域の人も保育園の先生の1人のような気がします。地域に限らず、色んな人がいて、その人の得意なことをするだけで、子どもたちの体験は豊富になりますね。

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