遠足5

 私の園の遠足は、「地域を知ろう」ということであり、「地域の人々と触れ合おう」という目的があります。そのテーマによって、最初の年には「園の周りの地域を知ろう」で、園の周りの地域めぐりを、問題を解きながら親子で回ります。問題は、子ども向けではないのですが、保護者が、地域を知ることで、子どもたちと一緒に散歩するときの会話を提供しようという趣旨です。そして、私は出発のときの挨拶で「子どもたちが大きくなったときに、“私はこのような町で育ちました”と誇って言えるようにと思ってこのような企画を立てました」と保護者に説明します。

この遠足は0歳児から全園児で行うのですが、コースを、0歳児は近くを回り、年長児は遠くまで歩くと計画するのですが、以前、終わってからのアンケートをとると、「物足りなかった」とか、「遠くまで歩かされたので疲れた」とか、「階段があってバギーでは困った」というような苦情が、年齢に関係なくあったために、コースは選択にしました。事前にコースを選んでもらいます。ポイント必修五つで10時出発が「らくらくコース」、ポイントが必修の五つと残りのポイントの中であと三つ廻り、坂ありで9時40分出発が「普通コース」、すべてのポイントを廻り、階段ありで9時20分出発が「ハードコース」です。そして、ゴールにはどのコースも11時半までに到着することというルールをつくります。

最初の年は園の周りをチェックポイントにしたのですが、意外と保護者は自分たちの住んでいる地域を知らないことにびっくりしました。たとえば、園の隣にある「おとめ山公園」では、いたるところに問題がありますが、一番大切な「おとめ山とは何という由来でついた名前でしょうか?」という問いについて、その由来についての看板もありますし、問題は三択にもかかわらず知らない人が多いのには驚きましたし、その由来を聞いて感心する保護者も多かったのには、やはり問題のように、また、クイズのようにゲーム感覚で解いていくことの意味を感じました。答えは、「徳川の狩り場だったために、一般の人の出入りを禁止していたため、御留め山からおとめ山になった」というようにとても歴史があります。ですから、ほかのチェックポイントでは、こんな問題も出ました。「おとめ山賛歌の歌詞「?と遊ぶ」は何が遊ぶのでしょうか?」とか、「この公園内にある弁天池には色々な生き物がいます。3つ答えてください。」などが問題になります。また、そもそもの「この地域は“落合”という地名がついていますが、何が落ち合う場所なのでしょうか?」ということも意外と知らないようです。

このようにチェックポイントでは、問題を解くだけでなく、製作するポイントもあります。この年の製作は、ウォークラリー中に枝を見つけてもらい、その枝を使って製作ポイントで写真の額を作ってもらい、スタート時に親子写真を撮りすぐにプリントしてゴール時にその額に写真を貼ってあげるというものでした。あと、途中のポイントには、水分補給ポイントも用意されており、そこでは、紙パックの飲み物を配ります。

このような地域を使っての遠足は、その準備段階から職員は地域を取材で廻りますし、地域の人と触れ合います。しかし、まだ、この年はこの地域に来たばかりですので、積極的には触れ合わず、ボランティアの参加もありませんでした。地域の人を巻き込んでの遠足は3年目に実現します。それは、この年と次の年の企画があってのことでした。

遠足5” への7件のコメント

  1. なるほど、ゲーム感覚で歴史等を学んでいくというのがいいですね。単に暗記のようなものになってしまっては面白くありませんが、地域を知るという大切な活動も楽しさから入ることでずいぶん捉え方も変わってくるいい例だと思います。また保護者との行事でも選択性を取り入れることでそれぞれが安心して楽しむことができるようになっている配慮も参考になります。今考えている保育は子どもたちだけに通じることでなく、大人の生活にも生かすことができる、そんなものだということも確認できました。地域との関わりについても段階があって、それをひとつひとつ進めていくとが大事なんだということもわかります。このような具体的な取り組みから大事にしている考え方が伝わるような、そんな行事のあり方を目指さなければいけませんね。

  2. 江戸時代の新宿は、江戸の西のはずれののどかな農村地帯でした。当時の落合周辺の神田上水は、江戸でも有数の蛍狩りの名所。『江戸名所図会』(落合蛍)を見ると、人々は竹の葉をつけた竿や団扇を使い、田んぼの畦や小川の岸辺で螢を追っています。捕らえた螢を入れる虫籠をもっている人もいます。この図絵には、こんな記述があります。

    「この地は蛍に名あり。形大いにして光も他に勝れたり。山城の宇治、近江の瀬田にも越えて、玉の如く又星の如くに乱れ飛んで、光景最も奇とす。夏月夕涼多し。此地の蛍狩は芒種の後より夏至迄を盛りとす。游人暮るるを待ちて、ここに逍遥し壮観とす。夜涼しく人定まり、風清く月朗らかなるにおよびて、始めて帰路をうながさん事を思い出たるも、一興とやいわん」

    もう一枚の『江戸名所図会』(落合惣図)をよく見ると、おとめ山が描かれています。氷川神社、田島橋、東山稲荷神社、薬王院も確認できます。ということは、新宿せいがは大体このあたり・・・。タモリさんなら、高田馬場駅を出発して、道の高低差を観察しながら下って、落合周辺の神社を回って歴史散歩。おとめ山公園で、将軍様の鷹狩について薀蓄を傾けるところでしょう。タモリさんは、坂道もお好きらしいから、次回ブラタモリでは、「新宿・下落合」をぜひ取り上げてほしいものです。

  3.  おそらく自分の地元で似たような遠足があると、私も新宿せいがの保護者の方と同じような反応をするでしょうね。灯台下暗しというか、自分の地域の事を一番知っているのは自分ではない場合は多くあります。ただ、新宿せいが保育園が6年も地域を知るウォークラリーを行い、まだそれだけ地域の知らないことが残っていることに驚きます。おそらく、それだけ歴史が深いのもそうですが、やはり職員の先生達のアイディアが豊富なんでしょうね。子ども達が大人になったときに自分の地元を、私はこのような町で育ちました、と誇って言えるように願いを込めて企画した遠足、とても大切なことです。最近のブログのお陰で遠足という行事の考え方が、少しずつ自分の中で理解できそうです。

  4. 「“私はこのような町で育ちました”と誇って言えるよう」な子どもたちに是非育ってほしいと思いますね。そして遠足のコースが「選択制」であることはいいですね。子どもがこの年齢だからあっちとかこっちではなく、親子が自分たちで決める、まぁ、お父さんやお母さんの思いが尊重されるので、「やらされ」感はなくなります。但し、時間は制限されていますから、限られた時間の中でコースを歩き回りきる、ということが求められます。時間配分をどうするか、どう効率的に回るか、・・・親子でいろいろなドラマが演じられます。こうした親御さんや子どもさんたちの姿が見られるのもこの「親子遠足」の面白いところです。職員さんたちが用意するクイズもなかなかのもので、なるほどと感心させられます。職員さんたちはこの遠足のチェックポイントクイズを作成することにより「地域を知り、地域の歴史を学ぶ」ことになっているようです。座学で暗記させられることなく、親子遠足の準備をしていく段階で、「若いのによく知っているな」ということに自然となっていくようです。制作もよく工夫されています。テーマに沿ったもの、楽しく気軽に親子で作れるもの、そして後々まで使えるもの、それからあまり費用がかからないもの、・・・子どもたちはもちろんお父さんお母さんおじいちゃんおばあちゃん、みんなで作って楽しんでいるようです。いろいろなことが有機的に繋がっていることを感じますね。

  5. そういわれてみると、私自身自分の育った地域の歴史など小学校の社会の時間に勉強したくらいで、あまりわかっていないような気がします。海外の日本好きな方から「最近の若い日本人は自分の国のことを全く知らない」などテレビで言っていました。確かに興味や面白そうでなければ調べたりもしないかもしません。ですが、小さいころに保育園のイベントとして親と周り、勉強としてではなくクイズ形式で地域に関する問題が出れば楽しかった思い出として記憶に残りそうですね。そして、子どもたちには大きくなって“私はこのような町で、このような保育園で育ちました”と誇って言ってくれるとうれしいですね。

  6. 年々、その進化が出るのはとてもいいことですね。保護者に伝える前に保育園自体が地域と繋がることで認知され、協力してくれるようになることは今、言われている地域とのつながりがとても密にでき、子どもたちの関わる環境が広がっていくとおもいます。また、自分の住んでいる地域のことは意外と知らないことが多いですね。ときに地の人にその地域の由来や特色、産物や歴史を聞いた時、自分の無知さにとても驚くことが多いです。保護者のかたも同じように新たな知識を知る機会になるでしょうし、クイズにすることで子どもと会話できるようになっているのはコミュニケーションの場としても有効になってきますね。「“私はこのような町で育ちました”と誇って言えるようにする」いまそういった気持ちのある人がどれくらいいるのかと思います。首都圏に人が集まり、田舎から人が減っています。もしかしたら、そういった気持ちを持つ人はすくなくなっているのかもしれません。それは自分の地域の良さを知らないまま大人になっているというのもあるんでしょうね。地域と園との繋がりをどうもっていったらいいのか、その手段として、遠足があるというのもとても勉強になりました。

  7. 先生の出発時の挨拶、「子どもたちかま大きくなったときに、私はこんな町で育ったと誇って言えるようにと思ってこのような企画を立てた」と説明したとありますが、私も保育園時代にそう思える遠足だったらよかったのになと思いました。
    また、チェックポイントの問題を作るのも楽しそうですが、まずは作る人がその地域のことを知らないといけませんね。それを準備の段階で地域を歩くと学んでいけるし、地域の人とも触れ合うことができますね。しかし、初年度は積極的には触れ合わなかったのですね。地域の人を巻き込むまでに、どんな企画があったのか楽しみです。

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