二つの種

子どもが持っている「好奇心いっぱい、身のまわりにあるもの、起こること、なんでも知りたいことばかりです。何でもさわって、しらべてみたくてたまりません。」という行為は、人類にとって非常に大切な特性です。このような力は、人類はどうして持つようになったのでしょうか。それを持つことはどのような意味があるのでしょうか。

「私たちの祖先はサルである」ということはずいぶんと前に間違いであることはわかっています。いわゆる人類が猿人から進化したということではないということです。では、人類の進化のなかで私たちが習ったのは、ジャワ原人、北京原人、明石原人などの「原人」と呼ばれるヒト族がいました。また、その後地球上には、私たちの直接先祖であるネアンデルタール人という「旧人」がいます。さらに進化したヒト族としてクロマニョン人という「新人」がいます。

ということで、人類は、猿人から原人、そして、旧人、新人と進化して、今の私たちに至ったのだと習いました。しかし、次々の遺跡や骨格が発見されるにつれて、その理論が覆されてされていきました。それに伴って、原人、旧人、新人という呼び方もおかしいと言うことになっています。たとえば、旧人と呼ばれていたネアンデルタール人は、約20万年前に出現し、2万数千年前に絶滅したといわれるヒト属の一種であり、私たちの祖先であるホモ・サピエンスとは同じ時代を生きているのです。

ネアンデルタール人とホモ・サピエンスは、60から50万年位前に枝分かれした最も近い種で、共に居住地を探してアフリカから旅立っていきます。その後、それぞれがそれぞれの環境の中で生き残るための進化を遂げていきます。ネアンデルタール人は、寒冷地であるヨーロッパに行きます。そこで、次第に体温を保ちやすくするために頑丈な骨格になり、分厚い筋肉を備えていきます。アメリカのストーニー・ブルック大学のシェイ博士は、「ネアンデルタール人はとても強い人類でした。もしいま、彼らが生きていたら、全員オリンピックで金メダルを取っていたでしょう。物を引き裂く力や押す力が特に強く、ホモ・サピエンスの使う倍の太さがある槍を武器に、野牛やマンモスを次々に倒していったのです。男性だけでなく、女性も狩りに参加していました。しかも子どものときから活動的で、5歳になれば自分で獲物を捕らえていたと考えられています。」と言っています。また、肌の白は白く、髪は赤毛が多くなります。太陽の紫外線を浴びることによって体内にビタミンDが合成されるのですが、高緯度地域は年間の日照時間が短いため、それが合成されにくく、“くる病”になる可能性が高くなるために、少しの紫外線でもビタミンDが合成できるように肌が白くなったと言われています。

 このネアンデルタール人が、氷河期になり、南下を余儀なくされます。一方、私たちの祖先であるホモ・サピエンスは、アフリカにとどまり、やっとイスラエルに北上していきます。当然、この二つの種は同じ地でぶつかります。しかし、調査の結果、この二つの種は、特にぶつかることもなく、お互いに干渉しないで生活したようです。しかし、なぜか、ホモ・サピエンスは、その地で滅びてしまいます。どうも、協力だけでは生き延びることが出来なかったようです。

 しかし、その後不思議なことがおきます。その地で生き残ったネアンデルタール人はすべて滅びてしまいます。全滅です。そのかわりに、再度アフリカから出発したホモ・サピエンスは、その後世界中に広がっていくのです。その二つの種の違いは何でしょうか。それを探ることは、なんだかワクワクします。