FC方式

 日本における保育所には、矛盾するかのように思える大きく二つの機能があります。それは、設立に関係します。この設立の経緯は、その名称はさまざまですが、多くの国でも同じような経緯があります。ヨーロッパの産業革命の進行が進み、女性労働者や貧困階層が出現します。そのことにより、女性が子育てに専念することが難しくなりますので、保護を失った乳幼児の養護の必要性が生まれてきました。日本においても、女性が子育てを専門にすることが困難になり、学齢前の乳幼児を保育する託児施設や、貧困のため親の保護を失った乳幼児を保育する施設が必要になり、保育所が設立されていきます。

 そのような意図で作られていった保育所ですから、各地に工場内託児施設ができたのもわかります。と同時に、戦争が始まり、出征軍人家族や遺族を対象にした戦時託児所や、戦争終結後においての託児施設、そして、保護を失った貧困児を対象の施設へと移っていきます。その経緯から、保育所は、児童福祉法に根拠法を持ち、厚生省が管轄することになったのです。それが、現在、貧困家庭は少なくなり、また、企業所内託児所の機能は薄らいできました。それに反して、女性の社会進出のために家庭内育児が困難になり、その状況が保育に欠けるという事で代わりに乳幼児を保育する施設へと変わっていきました。しかし、その施設は、あくまでも親のためということになります。

 しかし、一方、子どもの権利条約に、「児童に関するすべての措置をとるに当たっては、公的若しくは私的な社会福祉施設、裁判所、行政当局又は立法機関のいずれによって行われるものであっても、児童の最善の利益が主として考慮されるものとする。」とあるように、子どもに関する施設は、どのようなものであっても「子どもの最善の利益」を考慮すると書かれてあります。いわば、親のための施設であるよりも、子どものために何がよいかを考慮する施設であるべきとされました。託児施設から、乳幼児教育の場となっていったのです。

 そうなると、保育の仕方が、内容が変わる必要があります。その過渡期にどの国でもぶち当たっています。先日の日経新聞に、イタリアで、フランチャイズチェーン方式で保育園を展開する会社が注目されているという記事が掲載されていました。日本で待機児解消がどの自治体も問題で、企業参入も是認され始めています。その状況は、イタリアでも同じようです。記事には、こんなことが書かれてありました。

 「イタリアの保育園の多くは市町村営でその数は不足している。0?3歳児のうち、公立の保育園で預かっている割合は約11%(2010年)、自治体が補助金などを出している民間の保育園を合わせても約14%(同)にしかならない。こうした保育園に入るためには優先順位があり、所得の低い家庭の子供などが優先され、共働きで所得の高い家庭の子供は入るのが難しい。以前は祖父母が面倒を見てくれたが、最近は高齢者も自分の生活を優先し、あまり預からなくなったようだ。そこで自治体は短時間だけ預かる施設、週何日かだけ預かる施設、自宅で預かるシステムなどを許可するようになった。ただ保育士の確保が難しかったり、経営ノウハウが乏しかったりして、保育園の数はあまり増えていない。」

 こんな状況の中で、平均所得が高く、共働きの多い北部で15の保育園を経営する「子供の惑星」という会社がFC方式で全国展開を目指しているというのです。その事業内容は、保育士の確保、開園許可の取得などを支援するようです。この事業の目指すところは、創始者のクリスティーナ・マルビーニ氏によると、「働く女性が安心して子供を預けられる保育園を増やしたい」と語っています。

 このコメントを見てもわかりますが、「子どもが集団の中で、将来の生きる知恵を身に付けていくような保育園を増やしたい。」とは言わないのは、どの国でも同じようですね。