ブランド

 最近の銀座は、大きく変わってきています。それは、西のブランド集積地である「表参道」に対して、東のブランド集積地区としての「銀座」では、続々とブランド店がオープンしています。毎年訪れているミュンヘンにも、ブランド通りがあります。バイエルン州立歌劇場のある広場から延びている「マキシミリアン通り」です。また、イタリアのローマ旧市街の中心にあるスペイン広場にあるスペイン階段の正面に延びる「コンドッティ通り」も、ブランド通りです。この正面には、フェンディ本店もあります。ミュンヘンのマキシミリアン通りは、さほど人が歩いていません。店の中も、なんだか閑散としています。また、ローマのコンドッティ通りには、かなり前に訪れたのですが、そのときは、かなり混雑していました。しかし、多くは、日本人でした。どうも、日本人は、ブランド品が好きなようです。

 最近の、銀座もかなりの通行人がいて、ブランド店には多くのお客が入っています。しかし、最近は客層が変わってきているようです。銀座でブランド品を買っているのは、中国人が多いようです。店の表示も、日本語よりも、韓国語、中国語のほうが目立ちます。
 先月13日付の報道によると、北京市で、世界贅沢品協会(略称WLA)と中国国際貿易促進委員会が主催する10年に一度のイベント「グローバル贅沢品上位100ブランド公式発表大会」が開催されたようです。この大会は、贅沢品業界の「オスカー授賞式」などと呼ばれていますが、世界から集まった約100の有名ブランドの「番付」が発表されます。WLAが発表した過去10年間の中国に関する公式報告をみると、2011年12月末現在、中国ぜいたく品市場の年間消費額は126億ドルに上り(プライベートジェット、船舶、高級車の消費を除く)、世界全体の28%を占めたようです。中国はすでに日本を抜いて、世界最大のシェアを誇るぜいたく品消費国家となっています。

 この消費を目当てに、各国のぜいたく品企業の中国進出の歩みはますます拡大し、世界中の注目を集めているようです。現在の人民元の上昇傾向、ユーロの下落傾向に伴い、国際市場における中国人消費者の購買力がますます高まっており、WLAの予測によると、昨年のクリスマスシーズンから今年の春節(旧正月、今年は1月23日)期間までの中国人の海外でのぜいたく品消費金額は57億ドルに達して、過去最高を更新すると見込んでいます。

 中国人の海外における消費力は、ずいぶんと旺盛のようです。しかし、この中国人の旺盛な贅沢品消費は、先進国をはじめとする世界経済の救世主になりましたが、中国自国の経済にとっては、むしろ大きなマイナス要因であるといわれています。なぜなら、本来、工場の建設や設備の更新、拡大再生産など経済発展に投入されるべき資金は、贅沢品の購入に充てられているからです。しかも、ぜいたく品購入は、所得格差が広がっている証拠です。1人当たりの国民所得は世界100位以下、2010年都市住民の1人当たり可処分所得は1万9109元、農村住民の1人当たり純収入は5919元で、現在の為替レートで計算すると、それぞれ約3057米ドル(22.9万円)と947米ドル(7.1万円)にすぎません。しかも、中国では依然として膨大な数の絶対貧困者を抱えており、その数は農村部だけでも1億2800万人にのぼるといわれています。ということは、富の一極集中が起きているということです。

 少し前に書いた中国におけるプレゼントの考え方ですが、世界一の贅沢品消費国は世界一の汚職大国を創り出す恐れがあるといわれています。そんなことから、贅沢品の多くは官僚が横領・着服した公金で購入されたり、他人から賄賂として受け取ったりするものなのです。ですから、贅沢品消費量の急速な増大は腐敗汚職の度合いが急速に進行していることをも意味しているといわれています。

 かつての日本が通ってきた道である「持てる喜び」を一度は味わいたいのでしょうね。