進級

 今朝から、新聞、テレビでは橋下さんの発言が、世間を賑わせています。それは、橋下大阪市長の教育改革案として、昨日の夜に行われた大阪市教育委員会との意見交換会で、「一定の学力に達しない小中学生への留年システム導入」を提案したからです。これまで、義務教育での留年制度は、法的には可能なものの、ほとんど運用されていません。しかし、教育委員会側から「フランスでは昔から、小学校で留年、進級させないということをずっとやってきた。子どもの学力がそれでついたかというと、どうも違うようだと」と反論がありました。ここで例に出されたフランスでは、小学校を「エコール・プリメール」といって5年生まで、中学校は「コレージュ」といって4年生まであり、いずれも義務教育ですが、成績が悪かった場合、上の学年に上がれない、いわゆる留年という制度があります。OECD(経済協力開発機構)によると、フランスでは15歳になるまでに、36.9%の子どもが留年を経験しているといいます。
 私は、毎年ドイツに行っていますが、ドイツでも留年することを「ステイ」といって、その学年の内容が習得できない場合には、その学年に留まって、確実な習得を目指しているのです。ですから、いわゆる「飛び級」といって、該当する学年から上の学年にいることを含めて、当該学年に相当する年齢に子は、5年生では3分の1しかいないと言っていました。私は、確かにこのような制度は、なかなかいいと思いました。それは、日本のように、その学年の内容がきちんと習得しないで、年度が変われば全員が次のステップに進んでしまわずに、将来必要である基礎的知識を、きちんと習得させようということでは非常に意味があります。この考え方は、多くの国が持っています。
 「PISAから見る、できる国・がんばる国」という報告書に中でも、日本の教育への取り組みの中で、他の多くの国と違う、最も常識的な原理に反している点をこう指摘しています。「クラスの人数は、西洋の基準からすれば大きく、1クラスの生徒が35名から45名もいて、ほとんどの授業がクラス全体を対象としている。他の多くの国々と比べて教授工学もほとんどなく、教具の種類もわずかしかない。生徒は、能力別グループに分けられておらず、優秀な学生のための特別なクラスもなければ、例外的に認められて一つ上やそれ以上の学年に進級するような生徒も存在しない。同様に、生徒は問題があっても留年することはない。」ここでは、留年、飛び級がない日本の教育システムの現状を報告しています。また、「特別な教育を必要とする多くの生徒も、不均一な通常のクラスに割り振られる。教員の仕事は、生徒のすべてがカリキュラムに遅れずについていき、カリキュラムを何とか成し遂げているかを確認することである。」
 生年月日だけによる学年という区分けは、「特別な教育を必要とする多くの生徒も、不均一な通常クラスに割り振られる。教員の仕事は、生徒のすべてがカリキュラムに遅れずについていき、カリキュラムを何とか成し遂げているか確認することである。」というように、日本では、よく不均一な生徒に同じような学力を付け、次の学年に送り出していることに感心します。しかし、その中で、「落ちこぼれ」がうまれ、大学生になってもアルファベットがいえない、掛け算九九が言えない学生がいるという現状jになってしまっています。
では、橋下さんが言うように、その子達を留年させればいいのでしょうか。それは、どうも罰するというようなイメージがします。また、子どもたち側からも、成績の悪いことを罰せられるというイメージを持ちます。ドイツでは、乳幼児教育から異年齢で過ごし、小学校入学も弾力化されており、インテリの親たちは、わが子の小学校入学を1年遅らせるケースがあります。日本では、個の確立ができていません。
今、日本で留年を実施すると、様々なところに問題が起きてきてしまう気がしています。

進級” への5件のコメント

  1. 留年というシステムについてですが、このシステム自体が悪いとかではなく、留まることが誰にとってどんな意味で必要なことなのかということを理解したうえでなければ、ただ単に「このシステムでやっていきます。学力が到達していなければ…」とやってしまうと結局子どもがしんどい思いをしてしまうということになりかねないと思います。何故外国ではステイと呼んでいるのか、それは何のためなのか、その考え方で今の教育に目を向けると改善すべき点はどこなのか。そういったことにも注目してもらいたいと思います。乳幼児教育から、個に対しての考え方を遊びや生活の中で学んでいけるようにするところから変わっていってほしいものです。で、自分としてはそのための実践を丁寧に続けていくだけです。結局どんなことが起きても私のすべきことはいつも変わらないんだと確認できました。

  2. 相変わらず、橋下市長の鼻息も荒く、次から次と話題を提供してくれます。私は、彼の考え方、行政の無駄や組合とのなれ合い体質の打破については是としますが、新自由主義的な競争原理を教育に導入するのは反対です。戦時中のように、教育が国家や政治の道具にされると大体ろくなことがない。独裁者とは、最初は改革者の仮面をかぶって、巧みに危機感を煽り大衆の人気を集め、権力を掌握するのは歴史が証明している。

    大阪での学力低下や留年問題、これは教育委員会との駆け引きの材料にされているのはないか。子どもの置かれている現実という問題がここからはすっぽり抜け落ちている。教育委員会の側に、安易に落第させると子どもの学習意欲や自尊感情が損なわれるという主張がありますが、授業に落ちこぼれたまま進級しても、学習意欲は減退するばかりです。荒れる学校の現状は変わりません。落第の是非を問題にする前に、落ちこぼれを絶対に出さない教授工学や教育システムを論じてほしい。でないと、橋下市長につけ入られる材料をいつまでも提供し続けることになる。

    また、フィンランドを取り上げる。この国の教育の良さは、生徒間、学校間の学力差がないことだ。私立はなく、どこの学校もほぼ一律に同じレベル。エリート校も落ちこぼれ校もない。学校内にも能力別クラスもなく、どのクラスも同レベルで、同じクラス内でもできる子とできない子の差が極めて小さいのが特徴だ。一クラスの生徒が25人以下の少人数で、一人一人に目配りができる。少しでも遅れ気味な子には、特別授業が用意される。「できない子」に合わせて底上げするのがフィンランド流だ。だから、時には「飛び級」の子も現れる。日本のように、落ちこぼれに対し、何ら対策を打てていないのに、ゆとり教育をあらため、教える内容や授業時間を増やしても、逆に事態を悪化させるだけだ。

  3.  橋本さんの発言は私もテレビで見ていました。聞いた瞬間は、面白いなと思いましたが、ただ日本で実施すると、確かに様々な問題が起こりそうですね。街頭インタビューで一年生の子どもに「一年生をもう一回できるなら、やりたい?」と答えたところ「やりたい!」と元気に答えましたが、そのあと親がすかさず、「大好きなお友達と遊べないよ?お友達が一人もいないよ?」と子どもに問いかけると、その子は「やっぱりやだ」と言いました。どうも留年という響きがまず悪いような気がします。私もドイツの「ステイ」と言う考え方を聞くまで「留年」=「落ちこぼれ」という認識が正直ありました。おそらく日本人のほとんどの人は留年に対して悪いイメージしか持っていないと思います。大学生もなってアルファベットが書けない、掛け算の九九が言えないなど、想像ができませんが、実際に起きている問題を考えると、何もしなくても進級でき、社会人になれるという、システムは冷静に考えると恐ろしいですね・・・私の職場に、掛け算が出来ない人が来たら、どうすればいいか困ってしまいます。

  4. 今回のブログを読んでいて思い出しました。私が高校2年生のあるクラスに所属していた時、留年して私のクラスにいる一学年上の先輩を。それから大学の語学の授業の時、やはり一学年上の方で、私の出身県内では常にトップを走っていた高校出身の方を。「留年」という言葉をその当時知っていましたが、それが果たしてどういう意味合いを持つ語であるかは考えてもみませんでした。それから、前の園にいた時、ニュージーランドの高校生が遊びに来ていました。その中の一人は「飛び級」によって一学年飛び越えて大学入学が決まっていました。日本のアニメをこよなく愛するNZの学生で、日本でアニメをテレビで観るのが夢だったと語っていました。「飛び級」についてはNZでは始めたばかり、と言っていました。さて、「留年」ということを考えると、生徒も親も「学ぶ」ということがどういうことかわからない我が国では、差別や蔑みの対象とはなっても、子どもたちの将来を豊かにするものにはならないような気がします。まずは乳幼児教育の見直しをしっかりとやってからでないと学校における「留年」「飛び級」はうまくいかないでしょうね。

  5. 大阪の橋本市長の留年発言は確かに疑問を感じます。日本の今の教育の方法や価値観ではまだ難しいのではないかと思いました。ドイツのような「ステイ」という考え方で留年をするのであればとても有意義なものになると思いますが、どうも日本の教育社会では「落ちこぼれ」という意識はとても根深いもののように感じます。それは「個の確立」ができていないとうのが大きんですね。教育界全体をみても、子どもたちの尊重すべきものや受け入れ方が、テストにかかっているのがとても、大きいように思います。いろいろと子どもたちが社会に向かって、どういた能力が必要かを考えることが必要とされていきますね。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です