新しいことをはじめるとき

 時代は、突然と変わることはありません。子どもの変化も突然と変わるわけではありません。 たとえば、少子化により、また、空き地などで子どもたちは異年齢で一緒に遊ぶ経験が少なくなります。そんな環境は、徐々に変化していきます。そして、その影響は、徐々に子どもの心や身体に変化を及ぼしていきます。では、園で異年齢の体験を多くしようと異年齢児クラスにしようと思います。そのときには、徐々に異年齢時クラスにするのではなく、ある日突然変えざるをえません。そのときに、徐々に変化していくことは、人はあまり気にせず、結果的に大きな違いになったときにあわててその変化を憂えることになるのですが、その対応に対しての突然の変化には抵抗します。また、突然変えることに躊躇し、「どうしよう、どうしよう」と思っているうちに時代はどんどん変化していきますし、「いつかはやらなくてはいけないのだけれど」と思っていいるうちに日は過ぎていってしまいます。

 組織を変えるときには、管理職の決断が必要になります。その決断には、当然、さまざまな抵抗にあいますし、さまざまな困難が待ち受けているかもしれません。そのような目にあったときに、決断したことに確信がないと、変化したことを悔いたり、変化の仕方が急すぎたと反省したり、その決心が揺れ動きます。そうすると、部下たちは、その決断に向けて決心し、取り組み始めているのに、その目的が見えなくなってしまいます。その迷いが、より変化への決断の結果を悪くし、その責任を、部下の取り組みに押し付けようとします。「みんな、理解してくれない」「みんな、取り組んでくれない」と嘆くことになるのですが、実は、管理職の迷いがそんなことを起こしていることが多いような気がします。

 変えようと決断するときのポイントがいくつかあります。哲学者プラトンは、人間には四つの徳があるといいます。英知、正義、自制心、そして勇気です。新しいことを始めるには勇気が必要です。今まではできないと諦めていたことを実行に移す勇気をもつことが大切です。また、やってみようという気持ちは人を若くさせてくれます。次に、いつ変えるかということです。何か新しいことを始めるときに、「キリのいい来月1日から」とか「年度が変わってから」「建物が替わってから」などと思いがちです。ここに大きな落とし穴があります。「何か始めよう」と決めた時に、本当は今日から始めるのが早い。「こうしよう」と何か改善方法を決めた時、すぐやれないのは過去にさかのぼってしまうからです。今日から始めればいいのです。それが、「思い立ったが吉日」ということなのです。たとえば、禁煙をしようと思ったときに、「今の箱を吸い終わったら」「来年から」とか思う人は、意外と禁煙はできません。禁煙した人に聞いてみると、「今からやめよう」と思う人ほどやめられているようです。

 また、何から始めようと迷っている時間の多い人がいます。しかし、迷う時間があるなら、すぐに何かを始めたほうが圧倒的に速いことが多いようです。やる前は、「これぐらいかかるかも。でも、ひょっとしたらもっとかかりそうだ」という気がします。そういう時は、仕事の大半は思ったより早く終わることが多いので、とりあえず始めてみることだと助言をする人がいます。どうしてかというと、将棋の山崩しにたとえています。山崩しの山の中には、どれにも触れていないでスッと簡単に取れるコマがたくさんあります。それをどかすと、次にまたサッと取れるコマがたくさん出てきます。別のコマに乗ってしまって取りにくいコマはごくわずかなのです。山崩しも仕事もやってみないことには何もわかりません。

 はじめることで、次の具体的な課題が見えてきます。それを解決していくことで、思っていたよりも早く変えることができることが多いのです。やらなければならない書類は、やらないで机に載っている時間が長ければ長いほど、心理的にかかる負担だけが圧倒的に増えるのです。