郷土菓子

 昨日の宿は、鹿児島県霧島市です。ここに来る途中でいただいたのは、「かからん団子」です。私は、それは、今まで見たことも聞いたこともないお菓子です。最初遠くから見たときには、なんとなく柏餅のようでしたが、葉が柏の葉のような形ではありません。また、柏餅のように1枚の葉を折り曲げて餡をはさんでいるのではなく、2枚には出案をくるんでいるようです。この団子は、鹿児島、特に屋久島の郷土和菓子のようです。鹿児島の人からすると、

 「ふるさとの味」だそうです。昨日、いただいたのは、中に餡の餅が挟んであるのですが、本当は、新春のころ、よもぎの新芽をもち米の粉で練りこんで作るのですが、ほかにも白餅や小豆餅、あんこ、餡が練り込まれた餡餅など作り手によって様々だそうです。その中身を、「かからんの葉」で包み、蒸した団子のことです。
 「かからんの葉」「かからの葉」とは、別名「サルトリイバラ」とも言います。サルトリイバラは、日本では北海道から九州まで幅広く分布し、朝鮮・中国・インドシナなどにも分布します。名前は、バラのようなとげがサルが引っかかってしまうという意味のように、衣服に引っかかってしまいます。茎は緑色で堅く、勢いの良いものは地面から垂直に立ち上がって低木などにからみつきます。茎が巻き付くのではなく、マキヒゲで所々で固定させていきます。この根茎は民間薬でニキビ、腫れものやできもの、むくみの利尿作用があると言われ、また、殺菌作用もあり、これで挟まれた団子は痛みにくく、ほのかな香りがあるので、包んで蒸すと なんとも言えない香りがつきます。

 かから(ん)の意味は、サルトリイバラの名前の由来と同じく、茎の棘に触るとあぶないということで、「さわるな!」と注意を促します。この「触るな」を鹿児島弁で言うと、「かかるな!」となります。鹿児島では、触って欲しくない時などには、「かからんでー」とか言いますので、これが語源となり「かからの葉」と言うようになったようです。

 明日は、熊本に移動します。熊本名物は、「いきなり団子」です。サツマイモの輪切りを餡でくるみ、だんご粉、小麦粉、塩、砂糖をで作った薄皮でくるみ、蒸して作ります。サツマイモと塩味の効いた小麦団子生地の素朴な味に人気があります。熊本県は古くは肥後の国と云われ、火の国とも云われてきました。昔から阿蘇外輪山の山麓一帯は美味しいカライモであるさつま芋の産地として有名な地域でした。いきなりだんごは、各家庭で、お母さんやおばあちゃんが作る「自家製おやつ」でした。昔の「いきなり団子」には芋を団子生地で包んで蒸しただけの簡単なものだったそうです。
 
 いきなり団子の由来としては、「いきなり団子」の「いきなり」が熊本弁の「簡単に」という意味になるのでそう呼ばれたとか、サツマイモをそのまま輪切りにしたということから「生成り」が「いきなり」と呼ばれるようになったとか、短時間で「いきなり」作れるという意味、熊本の一部地域では今でも片付けが苦手な人を、いきなりな人というので、転じてざっとしていることを意味し、ざっと作れる菓子との説もあります。熊本は益城町の方言で「ざ-っとしとる」とか「ええころ加減」ということを「いきなるか」と言うからともいわれています。ずいぶんと由来の説があるのですね。

 郷土には、名前の由来、その材料、作り方などに特徴のある食べ物があります。それを食するのも、さまざまな地域を訪れるときの楽しみかもしれません。