航海術と天文学

 日本では、海に囲まれている割には、航海術はあまり進んでいなかったのでしょうか。茂在寅男氏が、「古代日本の航海術」(小学館ライブラリー)の中で、『古事記』や『日本書紀』にみられる理解できない船の名前や地名などを、古代ポリネシア語で次々と解明しています。その結果、海は、文化の流れの障害物ではなく、むしろハイウェイであったことを立証しています。ということは、もっと日本でも航海術が進んでもよさそうですが、遣唐使の時代を見ても、日本ではずいぶんと遅れていました。しかし、当時の中国は、かなり進んでいたようですが、日本では、それほど外洋に乗り出すことがなかったからのようです。
人類は、古くから外洋に乗り出していきました。その時の航海など長距離の移動には、夜空の星に関する知識は欠かせないものでした。星をはじめとする天文学は、人類は生活の必要性から進んでいきました。今回、日本では、さまざまな自然災害に襲われていますが、人類は、その災害から逃れるすべだけでなく、自然を生かす工夫もしてきました。ナイル川の氾濫によって、土地を豊かなものにするために、古代エジプトでは、星の観測によって季節を正確につかみ、はんらん期の予測をしていましたし、農作物の植え付けや収穫に役立てていたということがわかっています。そのために、古代の人々は、夜空の星が1年の時間の流れとともに規則正しく運行していることを知り、季節や方角を知り、宇宙に関わりを持ってきました。
私が、小学1年生の担任した時に、4月の初めの授業に、「大人のいうことや、書物に書いてあることではなく、自分の目で確かめたことをまず信じなさい!」といいました。そして、「大人は、地球は丸いというけれど、見てみても、どこが丸いかと思うでしょう。どう見ても平らにしか見えないでしょう。地球が丸いというのは、もしかしたら、大人の作戦かもしれないよ。でも、何かの時に、あれっ?と思ったら、よく見てごらん。そうしたら、だんだん本当のことがわかるから。」それは、「8歳ころが脳の臨界期と言われ、それ以前は、子どもは実際に体験したり、五感を使って物事を把握し、その中で探究心や好奇心をつけることが大切である」ということがわかっていますが、その頃の私は、まだ20歳代で、それほど勉強をしていなかったのですが、子どもたちと過ごす中でそれを感じていたのかもしれません。
当然、古代の人は、地球は平らで、宇宙は傘のようなものがかぶさっていると思っていました。しかし、なんと古代ギリシャに紀元前190年頃に生まれたとされるヒッパルコスという天文学者がいました。彼は、精密な観測と三角法を利用し、天球における星の位置や太陽や月までの距離を驚くべき精度で測り,星座表を最初につくり、1000個以上の恒星表を作成し、春分点移動(歳差)を発見したりして、古代天文学を体系化したのです。
今日は、秋分の日ですが、海王星の日でもあります。1781年の天王星が発見されたのですが、その軌道がニュートンの天文力学に合わないのは、どうも、その外側にさらに惑星があるためだと考えられていました。そのためいろいろな科学者が天王星の軌道の乱れ等を元に未知の惑星の大きさや軌道・位置を計算しました。イギリスでは天文学者ジョン・クーチ・アダムスが、フランスでは天文学者ユルバン・ルベリエが計算をし、その存在を予言しました。ついに、ドイツの天文学者ヨハン・ガレが1846年の今日9月23日、ベルリン天文台での観測で海王星を発見したのです。ルベリエが計算としたものと発見された位置の誤差は1度しかありませんでした。

航海術と天文学” への5件のコメント

  1. 真理を探究する科学者の心得の第一は、藤森先生のおっしゃるように、「大人の言うことや書物に書いてあることではなく、自分の目で確かめたことを信じること」かもしれません。それにしても、『名古屋大などの国際研究グループが光速より早いニュートリノ発見!』というニュースには本当に驚かされました。すべての理論物理学が拠り所にしていたアインシュタインの特殊相対性理論の大前提を覆すような大発見。光速で動く物体は時間が止まった状態ですから、それよりも早いニュートリノは時間を巻き戻してさかのぼれるかもしれないというんです。これが本当ならタイムマシンも可能になると云います。また、4次元空間以外の「余剰空間」の存在も証明されるかも。宇宙旅行でこの空間をくぐってワープするというSF小説の夢も実現する?ニュートリノが宇宙航海の概念を変えてしまうかもという夢のような話です。ただし、あのスーパーカミオカンデの鈴木洋一郎教授は「別の機関による検証実験で、結果を確かめることが大事だ」と慎重な発言。昭和62年に小柴昌俊先生が、ニュートリノを検出した実験で、超新星爆発で出た光とニュートリノがほぼ同時に観測されたことを引き合いにして、「両者の速度に違いがあるとすると、ニュートリノは光よりも1年は早く地球に到達していなければおかしいことになる」とも語っています。このニュースを聞いて、タイムマシンで自分の人生をやり直したいと思ったのは果たして私だけでしょうか(笑)?

  2. 「大人のいうことや、書物に書いてあることではなく、自分の目で確かめたことをまず信じなさい!」と言ってくれる大人の言葉って、子どもにとってはとても貴重なんだろうなあと思います。与えられる知識や情報を疑うことなくそのまま信じて覚えることが当たり前のようになっていますが、何を信じるのかということも自分の体験を通して自分で作り上げていくことなんですよね。失敗を繰り返しながらでも自分自身でそれを作り上げいていき、大人は子どものそうした姿勢をサポートする、そんな環境が意外と少なかったりします。8歳までは知識を注ぎ込むより好奇心や探求心をつけることの方が大事と教わってから特にですが、何をそんなに急いでいるんだろう?と感じてしまうことが多い日本の教育が現実にあります。これが自分の考えなんだ、これが自分なんだと信じられるようになることを、もっと大事にすべきだと思います。

  3. いろいろなことがわかったり発見されたり、そしてそれらがメディアによって伝達されて私たちの知ることとなります。しかし同時に私たちが知らないままでいる大発見もあるそうですね。いずれにせよ、これからどんなことが解明されていくのか、とても楽しみです。「自分の目で確かめたことをまず信じなさい!」と1年生に向けて藤森先生が言われたことは大人となった私たちにも必要な態度、心構えでしょう。「何故だろう」「どうしてだろう」、こうした問いかけから逃げずに考え行動し答えを探し求める大人でありたいなと思います。それよりも大事なことは、子どもたちのセンスオブワンダー世界をなるだけ保障する、邪魔しない、ということでしょう。私たちは私たちの世界が存続しうるように21世紀の叡智の出現を待ち望んでいるのです。

  4.  今でさえ、日本の技術は世界に誇るほど高いものを持っていますが、遣唐使の時代は中国の造船、航海術の技術は日本より進んでいるのですね。中国で外洋に乗り出そうとしている人、エジプトで農業をしようとしている人達は自然としっかり向き合っているのが分かりました。今回のようには洪水や台風が起きると、交通網が麻痺し、大きな被害をもたらしました。当時も同じくらい自然災害はあったと思いますが、今みたいに衛星からの映像がない分、夜空の星を見て季節や天気を予測するなど、自然と上手に付き合っていたのですね。

  5. 古代の人は昔から、自然の脅威を回避するために自然のことをより理解しようと務めたんですね。特に航海に関しては大きな海という自然の中に人間が挑む訳ですから、それだけ宇宙や自然をより研究することが必要だったんでしょうね。自然が生活に影響することが分かると人間は自然をより研究していきます。それだけ自然が研究課題としてとても重要なものだったのと、なによりも興味深かったからでしょう。色々なことを知ろうとすること、研究しようとすること、その好奇心や探究心は人間が繁栄をすることが出来た一番の要因だともいます。子どもたちにも知ることの楽しさ、試すことの楽しさを実感できる様にすることが教育なのかもしれないですね。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です