日本の食

 少し前、牛肉を生で食べて死亡事故が起きました。また、今回も牛肉の放射能汚染が問題になっています。畜産農家は大変ですね。昨日は、のんびりと草をはむ牛を南阿蘇で眺めることができました。仕切られた狭い場所に押し込められ、ただ脂肪を霜降りにするような餌を与えられ、肉を軟らかくするために運動もあまりせずに育てられているよりも、このように、広い中で、のびのびと育っている牛を見ると、なんだか心がなごみます。
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しかし、日本は、多くの牛肉を輸入しています。私は、もしかしたら、和牛の分くらいを日本人は牛肉を食べればいいのかもしれないと思うことがあります。仏教伝来後明治になるまで、日本では、一般に人たちの間では肉食の習慣を持ちませんでした。それに対して、欧米人は、何万年も肉食をつづけてきました。とうぜん、体は、そのような食生活に適するようにできています。また、その習慣は、必ずしも宗教的な理由からだけでなく、国土の自然が関係しています。日本では台風も含めて多量の雨が降り、夏には太陽が照りつけるため、そこで育つ植物は繊維の硬くなります。その植物は、牧畜に向かないのです。反面、この気候風土が日本人を、米や雑穀、野菜などをつくられる農耕民族にしました。また、国土が狭い日本では、その土地の有効利用を考えます。牛1頭を飼うには1ヘクタールの牧草を必要としますが、その1ヘクタールから収穫できる米は30俵から160俵で、12人から64人の人間を養うことができると言われています。つまり日本は、牧畜よりはるかに効率のよい米という食糧をつくる条件を備えているのです。
 このような条件の中で、日本人はあまり肉を食べませんでしたので、当然、肉を食べるような体にはなっていません。最近、身の回りの若い人に痛風の人が増えました。必須アミノ酸から成る優れた蛋白質でも、過剰に摂りこまれた分は排泄されるか、さもなければ肝臓に負担をかけるアンモニアの原料になります。しかもそのアンモニアは肝臓で尿素になり、これを排泄するにはたくさんの水を使わなければならず、排泄が不十分だと尿素から尿酸がつくられ、これが結晶状のまま関節周辺の軟組織に蓄積されて、あの激痛を伴う痛風を引き起こすのです。また、肉を食べると当然、肉に含まれている燐酸や硫酸が血液を酸性にするので、これを中和させるために歯や骨のカルシウムを溶かすことになります。肉食の欧米人に骨粗しょう症や骨の多孔症、骨のわん曲が多いのはそのせいだと言われています。
 また、牛乳が日本に渡来したのは七世紀のころだと言われていますが、あまり広がらず、その後、江戸時代にもオランダ人が持ち込みましたが、やはり日本人の食生活の中に定着しませんでした。いずれにせよ、日本人を含め東洋人は牛乳を飲まない民族であったことは、遺伝子が証明しているそうです。それが、第二次大戦後、牛乳の栄養価は高く評価されて、学校給食に欠かせなくなりました。しかし、私たち日本人の小腸には、乳糖を分解する酵素であるラクターゼが欠如しています。乳糖とは哺乳動物の乳の中にあります。このラクターゼを乳児は持っていますが、離乳期になると消えてしまいます。しかし、欧米人には大人になっても、このラクターゼが小腸内に残っているので、老人になってからでも牛乳を飲めるのだそうです。それに対して、日本人の食物アレルギーの半数近くは、牛乳および乳製品のせいだという研究報告もあります。
 このように、急激な食生活の欧米化に対して、石塚左玄は口癖のように、「健康を保つには生命あるものの全体を食べることだ。野菜は皮をむいたり、湯がいたりせず、魚なら骨やはらわたを抜かず、頭から尻尾まで食べよ。食物に陰陽の別はあっても、生きているものは、すべてそれなりに陰陽の調和が保たれているのだから、その部分だけを食べたのでは健康長寿は望めない。自然界の動物たちの食べ方をよく見るべきだ。彼らは人間のように包丁を用いたり、味付けをしたりはしない」と言う、日本人が古来食べていた食事を勧めます。
 ここにも易経の世界が生かされています。

日本の食” への7件のコメント

  1. 日本人と欧米人はもともと体が必要とするものが違っていることを忘れて欧米に習った食生活をするとどういうことになるか、だいたいわかりそうなものですよね。その土地でとれたものを食べることの意味はそこにあると思います。冷蔵庫や冷凍技術のない時代を想像してみると、長く食品を置いておくことや遠くでとれたものを運ぶことなどはほとんど出来なかったはずです。その土地でその時にとれるものを食べ続けてきたのが、近代になって急激に変化しています。その変化をよく理解した上で食について考えることが、ますます重要になってきていると思っています。

  2. 「神様、仏様、稲尾様」で有名な元西鉄の稲尾和久投手は、昭和36年、140試合のうちに実に78試合に登板して、42勝を挙げました。先発でも中4日か5日が当たり前の今からすれば驚異的な活躍です。その稲尾さんの伝記によると、驚くことに肉をほとんど食べていないのです。大分の別府で漁師をしているお父さんが、魚や干物を送ってくれたのをおかずに、ご飯を自分で炊いて握り飯にして食べていたそうです。江戸時代の飛脚も、玄米のおにぎりと野菜で長距離を走る持久力をつけたと云います。マラソンが日本のお家芸と言われるのも、伝統的な食文化のおかげかもしれません。元々穀物を主食にしてきた日本人の腸は長く、肉類、乳製品向きではないようです。あまり食べ過ぎるとアレルギーや大腸がんの原因になるという説もあります。行き過ぎた食の欧米化は日本人の寿命を短くする。気をつけましょう。

  3. 私は、基本的には、牛肉を食べる習慣がありません。焼肉屋に行って牛肉のカルビやロースを食べることはありますが、家庭で食事する時は豚肉です。「和牛の分くらいを日本人は牛肉を食べればいいのかもしれないと思うことがあります」・・・これは卓見です。私もそうだと思います。まぁ、最近では焼肉屋に食べに行くこともなくなりました。そうそう、最近飲めるようになったのが牛乳です。少し前までは牛乳を飲むとすぐにお腹にきて、とても大変でした。それがこのところは全くそういうことがなく、普通に飲めるようになったから不思議です。それから我が家の食卓に焼き魚が登場するようになりました。秋刀魚です。本当は全部食べられればいいのですが、はらわたの部分は駄目でした。家畜の肉より魚の肉のほうがおいしいと思える年齢になりました。

  4.  牛肉のユッケを食べて死亡した事故は全国の生肉を取り扱っている飲食店に大きな影響を与えたと思います。実際に私がよく行くレバ刺しが美味しいお店は、あの事件から生肉を出すのを止めていました。少し残念です・・・。一人暮らしになってから、まず肉を食べる機会はかなり減ったと思います。とくに牛肉を食べるのは焼肉屋かチェーンの牛丼店くらいです。ただ今回のブログを読んでいくと、日本人はそもそも肉を食べる習慣は無く、米や野菜を自分達で栽培し、それを食べる民族ならば、体もそのように作られていると思います。私の園でも食物アレルギーがある子は、だいたいは牛乳などの乳製品が多いです。以前からアレルギーがなぜ乳製品が多いのか不思議でなりませんでしたが、謎が解けたような気がします。だからと言って牛乳を禁止というのは、どうかと思うので、まずは日本人が古来の食べていた食事を知っておくだけでも、大切な事だと思います。

  5. 学校給食では必ず「牛乳」が出ていました。ですが、私はおなかが弱かったので、すぐ下すことが多かったんですが。もしかしたら、ブログに出てきたラクターゼのせいだったのかもしれませんね。日本人が欧米食を食べることで弊害も出ているんですね。海外の人と日本人の体系やそのほかの体の部分は大きく違いますし、それだけ食生活や文化も違うことでしょうから、なにかしらの弊害はあるでしょうね。他の文化を経験するのも大切ですし、いいところを取り入れるのは大事です。しかし、全部を受け入れてしまうのはすこし文化がなくなるようで寂しいことですね。日本も日本のその土地の食べ物をもっと知ることは大切ですね。

  6. 日本の国土を考えると牛一頭育てるより米をそだてるほうが効率が良さそうなのは何となくわかります。ですが、育てた時の差がそこまであるのには驚きました。記憶が定かではありませんが、昔に比べて現代人にアレルギーの原因が多いのは生活環境もありますが、元々の日本人が食べ続けてきた食生活から変わってきたのも原因だと言われているそうです。地産地消という言葉もありありますが、やはり保育でもその土地や地域に合った出来る事をやって行くのが大切ですね。

  7. でも肉を食べないとパワーがつかないよ。 
    特にパワー系のスポーツは肉を食べないと筋力がつかない。
    木村政彦の驚異的な馬力だってあの時代に肉をたべてたからじゃないかな。 

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