食習慣

今、昨年発行された私の著書「MIMAMORU」の英語版の10月発行を目指して進めているところです。その中は、たとえば「Chapter 1 Ideals of MIMAMORU Childcare」というような目次ですが、外国の書籍はあまりイラストや写真がなく、内容も難しく、論文を読んでいるようです。特に、専門書などは、文字がびっしり書かれていて、難しいのですが、日本の専門書、特に保育者のための本などはイラストが豊富で、カラフルで、漫画などもあります。文章の少なく、その内容は易しく書かれています。また、保護者向けの育児書にしても、漫画などで表わされ、面白おかしく読むこともできますし、具体的な写真も多く、ちょっと見て参考にしやすくできています。
アメリカで出された「アメリカ人のための食生活指針」は、学校、家庭、地域の連携が提案されているので、この本を実際に買っていくのは多くは、医師であったり、栄養士であったり、そのほか食事指導・保健指導に従事する専門家なようですが、家庭の保護者も読む指針としては、その内容は非常に難しく、一般の人にはなかなか分かりにくい内容になっていますので、本当に読むのかなと思ってしまいます。しかも、食習慣が乱れている家庭に読んでほしいのでしょうが、そのような家庭の保護者はなおさら読まない気がします。そんなわけで、「一般の人を啓蒙しなくてはいけないのに、どうしてこんな分かりにくい本にするのか」「専門家が読むだけなら、税金の無駄遣いではないのか」という批判が出そうですが、アメリカ政府はこのような批判が出ることは百も承知でやっているようです。しかし、批判が出るということは、注目を浴びているということで、少しは、食育に関心を持ってほしいということのようです。
また、内容には、さまざまな人種、宗教の子どもが一緒に学んでいるので、人種や宗教に配慮した給食作りが求められる中、そのような食に携わる人材を育てるための教育プログラムも用意されているそうです。また、地域全体でも栄養教育を進められるよう環境支援が行われており、連邦政府の支援による学校での「学校昼食プログラム」や「学校朝食プログラム」も展開されています。そこには、こんな呼びかけがされています。「果物と野菜をたくさん食べなさい」「全粒粉の食品を食べなさい」「脂肪の少ない牛乳を飲みなさい」「トランス脂肪酸は控えなさい」「ナッツ・魚・野菜のオイルは多めにとりなさい」「1日の摂取カロリーを2000キロカロリーに下げなさい」「1日30分以上、運動しなさい」などです。
日本では、最近芸能人がなくなったというニュースで、喫煙が原因であるかのようなことが流れます。一時、直接に死亡原因と喫煙の関係を言いませんでしたが、アメリカでは、もうすでに喫煙率が半減したことにより、ガンも減少傾向にあり、医療費も減少、多少なりとも経済復興に貢献しているということから、日本でも積極的に禁煙を勧めるようになっています。同様に、各国では、子どもの味覚形成と食育が、心身の問題としても重要視され始めています。
 以前、静岡英和学院大学教授の佐々木氏の講演がありました。彼は長く家庭裁判所の調査官をやっていて、非行の子たちと関わっていたそうです。その時に、非行の子どもあっちの夕飯は一体どのような過ごし方をしているのかなと、25人ほど調べてみたそうです。まず、好きな時間に一人で食べる「孤食」、家族が一緒にいても、みんな別々のものを食べる「個食」、決まったものしか食べない「固食、偏食」、朝飯を取らない「欠食」、彼らは全員この特徴が全部当てはまるか、あるいは1個以上当てはまったそうです。しかも、早い子どもは幼児期からそうだったそうです。年長、年中ぐらいになってくると、「腹減った」というと、親は「はい、どうぞ」と食べさせる。のべつまくなしボリボリ、バリバリ。ここに佐々木氏は非行の原因があると確信したそうです。
 佐々木氏は、おなかがすいても我慢するということをしなければならないと言います。それは、他の分野でも我慢が要らない、自分の欲求が出てきたときは、即何をやってもよいという考え方、行動になってしまうことが、非行に結び付いていると警告しています。
 子ども集団では、当然自分の思いだけが通らないことも多いでしょうが、それが成長には必要なことなのです。

食習慣” への7件のコメント

  1. 佐々木先生のお話には、家庭裁判所という非行少年と数多く接する現場での臨床体験がもとになっています。それだけにとても説得力があります。これは10年前の講演からの引用ですが、1990年代前半からいわゆる「いい子」の少年による非行が増えてきたと云います。勉強やスポーツなどに熱心に取り組んで、それなりに成績もよく、素直に大人の言うことを聞いて行動でき、家でも学校でも大人の期待に応えて、一見、一生懸命に頑張っている子が、非行に走ったり、犯罪に手を染めてしまうようになってしまったというんです。彼らの非行の特徴は、「おやじ狩り」などにみられるように弱いものを攻撃することです。(かつての非行少年は、弱い者いじめをしないのが不文律だった。)佐々木さんは、この原因の一つとして、子ども時代がない子どもたちが大量に育っていることにあると云います。
    <われわれ人間は、生まれ落ちた時から攻撃性というものを持っている。そもそも我々の祖先は何千年何万年にわたって、縄文時代のように狩りをして食べてきた。ですから、幼児期は虫を殺したり、魚を釣ったり、きれいな花を折ったり、蟻を殺すことがあるんです。それが無駄だと切り捨てられて、幼いころからお稽古事や塾通いに追い立てられてきたのが現在の子どもたちです。>
    その昔の子どもたちが、田んぼのあぜ道や野山を駆け回って、カエルの解剖をやったり、ヘビの皮をはいで振り回したりして遊んだのは、決していたずらではなく、先祖から受け継いだDNAのなせる業だったようです。自然の中の遊びにも人類学的にちゃんと意味があるということです。

  2. 我慢をするということも、ただ我慢しなさいではなく、みんなで一緒に食べるときまで我慢しようと言える食事は、子どもが育つ環境の中でもやはり大事な場ですね。このような視点は大事なこととして注目されていましたが、あまりにも栄養のことが中心になりすぎていたような気もします。共食とか食べる楽しさとか、そんなことから始めていくことの方が、結果として食全体の改善につながっていきやすいのではと感じるのですが。

  3. 今時は中学生に対しても親が昼食の心配をしてさき回って子どものお弁当を用意し、あるいは水筒から飲みモノをコップにいれて差し出したり、汗をかいているわが子をみるとタオルを差し出し、・・・そんな光景が夏休みのスポーツ合宿でみられたということを聞きました。食欲を感じるにはまず「腹減った?」という空腹感の実感でしょう。そしてあまり多くない量を時間をかけてとるなら「肥満」にならなくてすむのに、と思います。「肥満」は洋の東西を問わず問題です。空腹感がすぐ満たされるのではなく、たしかに待って「我慢」してやっと食べられたら、おそらく味も格別でしょう。子どもたちにとって集団での食事の経験はとても重要だと思います。「かわいそう」を優先させるとつくべき力もつかなくなってしまうのでしょう。

  4.  最近、食事に関して職員の先生達と話す機会があるのですが、小さい時の食事が大人になって、いかに影響が出ているかと思います。私が幼稚園や小学校?高校までの食事は、朝は必ずと言っていいほど家族揃ってから食べていました。平日の夕飯は父が仕事で帰りが遅かったので一緒には食べる事ができませんでしたが、土日はほとんど家族全員で食べていました。特に父親を待つという事を教えられたわけではないですが、そういう雰囲気があったので、自然と家族が揃うまで待つという事ができましたが、実はそれが非行の原因につながっていたとは驚きです。「待つ」という行為はもちろん自分の欲求を抑制することですが、抑制が出来なくて自分の欲求はなんでもやっても良いという考え方は、中学の時にワルだった生徒を見ると・・・思いあたるかもしれません。社会は我慢する事は山ほどあると思います。それを我慢する能力はとても大切ですし、社会で生きていく上で必要な力だと思います。

  5. アメリカのそういった本はそんなに難しいのですね。確かに税金の無駄遣いなどの批判が増えそうに思います。反対に注目が集まるとありますがそれはどうなのかと疑問に思うところでもありますね。
    ブログであるように非行に走ってしまう子のほとんどが個食、偏食、欠食なのは納得がいきますね。ただ、大人になって友人とご飯を食べに行った時など早く自分の料理が届いたとき友人を待つべきか考える時があります。友人は先にどうぞと言ってくれますがなんとなく一緒にいただきますをしたくなります。そういった小さいことでも子どもの前であっても一緒に食べる、いただきますをする楽しさを伝えていきたですね。

  6. 非行をしている少年のほとんどが食習慣に問題があるというのは衝撃的なデータですね。私の実家では家族が全員集まるまでは夕飯は食べないというのがルールでした。そこでは我慢する事が多かったですが、意外と嫌では無かったですし、みんなでご飯を食べた方が美味しいというのは当たり前の事でした。「食育」と聞くと栄養や食べ物の話がでることが多いですが、それだけではなく「食べる」という行為、そのものが発達にどう影響するかというのを考えないといけないですね。

  7. アメリカでは何年か前から食習慣にいて見直そうという動きがあるみたいですね。一般的な会社では勤めて行くと出世など役職が上がって行ったりするそうですが、アメリカではそれが肥満体系だと「自分の体の管理もできない」と思われ出世が難しくなったりすることもあるそうです。そして肥満大国とも言われていますが、2007年のOECDの調査ではアメリカ国内の成年の1/3が太りすぎだったとそうです。と、ここまでは大人の話でしたが、子どもは食事を通じて精神的にいろいろな影響が出てくるのですね。以前に藤森先生からお話をしてくださった際に「我慢をさせないとキレやすくなる」とおっしゃっていましたが、そういった意味もあったのですね。

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