緑被率

 かなり前になりますが、路上に立った人の視野に占める草木の緑の割合である「緑視率」についてブログで取り上げました。この「緑視率」は、一般的には、街並みや地区など広い範囲を対象にしたときの景観規制の指標として用いられていますが、職場や保育室などの視野に入る草木の緑の割合が、仕事の能率や、子どもたちの情緒の安定に影響するということを取り上げました。それともうひとつ、町の中における緑の量についての計算に、昨日のブログで取り上げた「緑被率」があります。これは、ある地域又は地区における緑地面積の占める割合の事で、平面的な緑の量を把握するための指標で都市計画などに用いられることがあります。この緑地面積は、「緑地」と定義された「個々の土地」の合計面積ですが、厳密に樹木、芝、草花など植物によって覆われた部分の土地の面積をいいます。それに対して、「緑地率」は、樹林地や農地など「緑地」と定義された一団の土地の面積をいいます。
この「緑被率」は、ほとんどの自治体で毎年計測し、ホームページなどで公開をしていますので、自分の住んでいる地域が、どのくらい緑が減っているのかを見ることができます。昨日のブログでも紹介しましたが、東京は、誤解を受けていますが、意外と緑が多い町です。その理由の一つには、東京23区はたくさんの川や海に面しているため、川辺や海辺を利用した公園が数多いからです。特に、江戸川区や江東区、品川区、大田区は東京湾に面しているため、海浜公園、ふ頭公園、 緑道公園が多くあります。また、荒川は河川周辺に公園が多く、流域の葛飾区、足立区、北区、板橋区、墨田区には こうした河川を利用した公園があります。同様、多摩川流域の世田谷区、大田区にもあります。今回の東北大災害では、津波が川をさかのぼり、多くの犠牲者を出したのですが、本来、昔から川は恵みをもたらすと言われてきたように、氾濫は土地を肥やし、草木を育ててきたのです。
 公園の割合が高い自治体は、23区で最大の「葛西海浜公園」を持つ江戸川区、「皇居」がある千代田区、代々木公園のある渋谷区、「夢の島公園」「若洲海浜公園」などの江東区と、大きな公園を持っている自治体が上位にきています。逆に公園の割合が少ない自治体は豊島区、中野区、杉並区、目黒区と西側の区に多いようです。しかし、豊島区には「雑司が谷霊園」「染井霊園」等のまとまった緑地があります。
これらの区について「緑被率」を見ると、中野区、杉並区、目黒区ともに15%以上になっており、決して緑は少ないわけではないのです。特に、練馬区、杉並区、世田谷区、大田区は公園の比率に比べ緑被率が高くなっています。これは、公園以外の街路樹や庭、周辺に自然が多い地域だからでしょう。「緑被率」が20%以上の区は上から順に練馬区、世田谷区、杉並区、渋谷区、港区、千代田区、大田区と西側に多く、10%以下の区は下から順に荒川区、台東区、中央区、墨田区と東側に多いようです。
 また、この「緑被率」について時代的変遷を見てみると、意外なことがわかります。日本中では、時代によって、次第にその率は減ってくるのですが、園のある新宿区を見ると、昭和59年には、「緑被率」が13.3%であったのが、平成17年には17.47%になっていますし、樹木数でも、平成47年には4993本(直径30cm以上)だったのが、平成17年には、新宿御苑と明治神宮外苑の本数を含まない本数でも、15264本(直径30cm以上)にもなっていますし、直径100cm以上の樹木も92本もあります。他にも、街路樹や生垣、屋上緑化や壁面緑化とさまざまな部分の緑化が進んでいます。
 自然は、意識して守る時代になってきています。

緑被率” への6件のコメント

  1. 緑視率、緑被率、緑地率、いろんな言葉がありますね。こんな言葉があるということは、やはり緑は人にとって大切なものであるということは間違いないでしょう。で、最後の言葉「自然は意識して守る時代になってきています」がすごく印象に残りました。守ることもそうですし、緑などの自然がどれだけあるかを知ることも意識しなければできません。関わることも同じです。意識して自然を知り、意識して自然と関わり、それが自然を守ることにつながっていくという流れを、子どもたちと一緒に取り組んでいきたいと思います。

  2. 「東京の鎮守の森」と呼ばれるのが明治神宮の森。その広さ70ヘクタール。都心のオアシスのような貴重な森です。この森が実は人工林であったことをつい最近まで知りませんでした。江戸時代は彦根藩主井伊家の下屋敷だったこの土地は、明治神宮ができるまでは畑がほとんどで、荒れるにまかせるような状態だったようです。(ちなみに、この地に一本のモミの大木が立っていて、代々のモミの木と呼ばれていたことから「代々木」の地名ついたとか。)大正4年、神宮の林苑造営工事が開始。時の内務相大隈重信は藪のような雑木林は神社にふさわしくないと杉やヒノキを植えるように主張しますが、本多静六博士らの専門家は大反対。もともと関東平野に生えていたカシ、シイ、クスなどの常緑広葉樹を植えて、100年かけた天然更新により永久に繁茂する森を育てる壮大な計画を立て、採用されます。竣工から80年たった現在、明治神宮の森は順調に成長して、予定よりも早く第三次の林相に達しています。明治神宮の森こそ、先人の叡智と決断が造り上げた世界に誇る「人工の天然林」と言えます。

  3.  私は藤森先生の講演の中で「緑視率」については教えていただきました。確かに緑が視野に入ると気持ちが落ち着くのは分かる気がしますが、それがデータとして出ているのは驚きました。今回は「緑被率」で文字通り、緑がどれだけ覆っているかの比率なのかは分かりました。ただブログを読んだ瞬間に刷り込みという悪い癖が出ました。と言うのも、地方の方が「緑被率」は高いから緑がたくさんある。と思いました。確かに地方は山も多いですし、緑もたくさんあると思います。ただブログに東京のデータが書いてありますが、驚きました。とくに新宿は比率も木の本数も増えてきています。おそらくこの調子で進めば、地方に負けないくらい緑が多くなるかもしれません。自然は勝手に育って増えるのでなく、ブログにも書いてあるように、自分達が意識して守り、増やしていく事が大切なんですね。

  4. 私たちが暮らす新宿区の緑被率の向上は嬉しいことです。そして私たちの園の周りの緑化が進められていますから、この緑被率はさらに増すことでしょう。これからが楽しみですね。私は緑被率が95%以上にはなるだろう地に生まれ育ちましたから緑は所与の現実としてあまり意識することはありませんでした。そして、東京に来て逆に所与の現実としての緑は決して所与ものではないことに気づきました。「自然は、意識して守る時代になってきています」とは東京人の藤森先生ならではの言ですね。ところで、園の緑被率も年々高まってきていますね。壁面を覆う蔦系植物の緑を目に留め、そのように思った次第です。そして園の緑は同時に新宿区の緑被率の向上への貢献になると思うとこれまた嬉しくなります。

  5. 東京にはほとんど緑がないと考えていましたがブログを読んで気づかされました。私は東京生まれ東京育ちなので地方に住んでいる人に比べたら緑を見る機会は格段と低いと思います。今になってブログにあるように情緒の安定をはかるために緑を求め、出かけてしまいます。それにしても新宿区の緑被率が上がっていることには驚かされます。ブログのように自然を意識して守る時代というのは今後私たちが生きていく上で重要なことですね。ただそんな時代になってしまったことに少し寂しさも感じてしまいますね。

  6. 東京の緑が増えてきているんですね。都市計画としても緑を多くするような取り組みがしているのがよくわかります。日に日に緑が少なくなっているとうのはもしかしたら先入観が先にでているからかもしれませんね。緑視率の話は以前でましたが、緑被率や緑地率といったものは初めて聞きました。緑があるだけで気持ちは落ち着きますし、それを守ることは生活を豊かにするために必要なことですね。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です