人材

 最近の経済の失速で就職難のようですが、ブログで書いたように外国人の高度人材の活用はますます進んでいるようです。その理由として、「人文知識・国際業務」を担う非永住外国人在留者は2000年までの5年間で46%増えたそうです。また、「技術」では約2.2倍になったそうです。この理由の「人文知識・国際業務」は、「前提として、学術上の素養を背景とする一定水準以上の専門的知識又は外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性に基づく一定水準以上の専門的能力を必要とする活動」となっています。
 もし企業が高度外国人材を採用とする場合は、三つのルートがあると言われています。まず、国内大学などの留学生からの新卒採用、海外大学などからの新卒採用、キャリア採用です。もし、留学生が日本国内の大学で、「保育士」をとり、日本の保育所に就職しようする外国人は増えていくでしょう。保育士という仕事は、数年前に国家資格になりました。それは、幼稚園では告示化された幼稚園教育要領に沿って幼児教育を行っていたところ、保育所でも、管轄が厚労省にしても同じ子どもを保育しているとして、保育所保育指針という課長通知であった内容を、幼稚園教育要領との整合性を持たせた保育所保育指針を告示化し、国家資格を持った保育士が保育にあたるとしました。そこには、発達過程を理解し、養護と教育の一体から幼児教育を行う専門性が求められるようになったのです。その幼児教育は、よりグローバルになるであろう次世代を担う子どもたちを保育するために、外国の文化に基盤を有する思考や感受性は、ますます必要になってきます。
 ところが、法務省では、「保育所は、日々保護者の委託を受けて、保育に欠けるその乳幼児又は幼児を保育することを目的とする施設とする」という児童福祉法を根拠として、学術上の素養を背景とする一定水準以上の業務ではないということで、外国人が保育の業務に当たることを認めていません。保育士という仕事は、保護者の代わりに乳幼児を一時的に保護し、養育する福祉分野の業務であるということで、人文知識分野の業務には当たらいというのです。
 昨年末開催した財務省財務総合政策研究所の「人材の育成、活用に関する研究会」では、日本の採用慣行など人材の育成と活用に関わる問題を検討しています。その時に企業では、今後、業務の国際化、知識の産業化の進展を考えて外国人採用を拡大していこうとするのは当然の動きだと言われています。国籍、男女、それぞれの違いによる人材の閉鎖性はずいぶんと時代遅れの気がするのですが、どうも保育の世界では、だいぶ遅れているような気がします。人口減時代の人材力強化ということに対して、慶応義塾大学教授の樋口美雄氏が、日経新聞に「多様性生かす雇用体系に」ということで記事を書いています。
 今後の雇用体系のポイントとして次の三つを挙げています。「拘束強い画一的な“就社”の仕組みは限界」「フィールド別採用は学生の就業意識を変える」「国際競争にらんだ教育、人事制度が必要」の三つです。このようなことが進むこれからの社会では、求められる人材が変わっていき、その人材育成にかかわる教育は変わっていかざるを得ません。人材のグローバル競争は日本の持つ長所を生かしつつ、一方で多様な価値観と経験を持つ人材の能力を高め、それを発揮できる改革を大学や企業ではしていかなければならないと樋口氏は指摘します。
 これらを可能にする基礎力を樋口氏は、「教養に培われた問題発見能力」「解決策に関する仮説を立て客観的事実に基づき検証できる能力」「結果に基づき自身で考え主張し、創造力と倫理観、責任感を持って行動できる人間」が必要になってくると言います。求められる力が変わってくれば、人材を広く求めることは自然の流れかもしれません。

人材” への6件のコメント

  1. 経済ジャーナリストの恩田敏夫氏によると、最近、日本の大企業が積極的に外国人を採用し始めた目的は、ずばり「ダイバーシティー」(多様性)の推進。異なる価値観や異文化を背景にした人材を採ることで、組織を活性化し、「内なる国際化」を図るためだそうです。島国で単一民族の日本人だけの企業では、切磋琢磨も喧々諤々の議論もあまり起きない。違った価値観や文化で育った人材が混じりあうことで、イノベーションの種が生まれるし、競争力を高めることができるわけです。ただ、残念なことに、企業が優秀な外国人を求める裏には、日本人学生の就業力の低下、つまり採りたいと思う学生が少ないという実態があります。長い目で見ると、保育の世界でも、国際化時代を見据えた改革が必要ですね。法律上、外国人の保育士は認められていないとのことですが、老人福祉の世界ではすでに外国人の介護士がいるのにおかしいですね。あちらは、人手不足の解消のためですが、保育所では多様な人材による保育の方が子供の成長に効果的でしょうね。

  2. ある仕事をするにあたって求められる力がはっきりしているなら、法律に当てはめた解釈はおいといて、その力を持っている人が必要とされるのは当然のことだと思います。変化していく時代に柔軟に対応しようとすると、法律も柔軟に解釈すべきだと思いますが、そこは簡単ではないんでしょうね。国籍や性別は、結果的にそうだったという話で済むことだと思うんですが。樋口さんの言われる基礎力にも注目です。知識を自分なりにどう活用するかが大事になってくるということを、自分自身もどこまでできているか問われていると受け止めます。

  3.  外国人を採用する企業が増えてきたのはテレビなどの情報で知っていました。小学校や中学校の先生でも英語の先生として外国人がいます。私は、もちろん保育園でも外国人の採用はしていると思っていましたが、そうではないのですね。「幼児を保育することを目的とする施設」の為、外国人の採用は認めないというのは、なんだか悲しいですね。保育士という資格が国家資格になり、ブログにも書かれていますが、発達過程を理解し、養護と教育の一体から幼児教育を行うように、保育もただ親の代わりに預かる場所でなく、立派な教育を行う施設の一つです。また藤森先生のブログで「バリアフリー」という内容で、子どもは黒人に対して警戒心を持っていると書かれていたと思います。そして、これから世界中の人と接する中で、日本人だけでなく、色々な人と関わる力というのも必要となってくると思いました。

  4. 長崎県「見守る保育」研究会お疲れ様でしたo(^-^)o福岡の我が家に戻り一息ついてます。藤森先生とお話が出来たのは今回で4度目でした。藤森先生は毎回たくさんの方とお話をされてあるのであまり記憶にはないでしょうが・・f^_^;今回もですが毎回先生の話しを聞くと我が子の育ちを振り返ってしまいます。仕事を優先し過ぎて我が子にさみしい思いをさせてしまってる・・と後悔ばかりです。今まで授業参観にも行った事がなく、娘がインフルエンザになっても家にひとり残して仕事に行ってました。現場はなかなか厳しいものですねf^_^;今中学生になった娘は音楽家に、そして来年中学生になる娘は小学校の先生になりたいと『夢』をしっかり持っているようです。私も何だかんだでやっぱり保育士が大好きです!!いつか藤森先生に来て頂く事が私の『夢』です。またいつかお会い出来る日を楽しみにしています。藤森先生に出会えた事に感謝してます。本当にありがとうございましたo(^-^)o

  5. 今日本には色々な海外の人が企業でその力を振るっていますが、保育園などの教育機関ではまだ、海外の人が保育に入ることができないのですね。「幼児を保育することを目的とする施設」とする観点から「学術上の素養を背景とする一定水準以上の業務ではない」とするのはどうも疑問に思ってしまいます。やはり、行政はまだまだ、保育園は託児をする場という考えが根深いということが良く分かります。これからどんどん国際化が進んでいく中、小学校に入って机に向かって英語をするより、幼児期から自然な状態で海外の人とふれあい興味を持っていくことができるような方法のほうがよっぽどこれからの人材になるであろう子どもたちに良いように感じます。

  6. 外国籍にある方が保育士養成校で学び、そして国家資格である「保育士」資格を取得し、日本の保育所に「保育士」として就労する。私には至極当然のことと思うのですが、これが全く当たり前ではない、という事実に驚いています。「外国籍」にあるというだけで保育士資格を所有しているのに「保育士」として働けない。これはみなさん、おかしいと思いませんか?法務省の見解は今回のブログで紹介されている通りです。このことは昨日今日のことではなくここ数年来、日本のあちこちの保育園さんが経験している摩訶不思議です。保育士資格を授与する養成校はこのことをどう考えているのか、よくわかりません。移民問題に敏感な法務省ですから入国管理の厳正さは首肯できますが、いずれにせよ、これは改正して欲しい事柄です。文科、厚労、法務の三省でしっかりと検討してもらいたいものです。

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