社会責任

 企業社会責任が問われるようになった背景には、もうひとつ企業が利益を追求し、社会的影響を後回しにしてきた結果、環境問題が深刻化してきました。環境破壊が一般の人々の生活を脅かし始めることによって、世界的に厳しい眼が注がれるようになってきたのです。ですから、企業責任の中では、環境を重視する傾向が強いといわれています。「環境経営」という経営のあり方が重視されてきているのです。その問題は、かつての公害問題という一企業と、その周辺地区の問題から、地球温暖化や生態系破壊のようなグローバルな環境問題へと、意識が広がり、それとともに、世界的に「持続可能な発展」という考え方や概念が流布するようになっていきました。
 ドラッカーは、著書の中で「企業は社会のためにある」ということを繰り返し述べています。この社会的意義というのは、企業の社会貢献とか、社会的責任というものなのでしょうか。このことについて、ユニクロの柳井氏にインタビューした記事が掲載されていました。「昨今、企業の力はどんどん強くなっている。特にグローバル時代を迎えたら、国の力よりも、むしろ企業の力のほうが大きくなる可能性がある。だから、よく言われているように、企業は社会の公器だと思わないといけない。企業はそう自覚しなくてはいけないと思う」とまず、話し始めています。どうして、そう思わないといけないか問うことについては、「社会にとって意義がある、社会にとってその企業があった方がいい、そういう企業じゃないと生き残れないというのも事実です。いかにいい商品を売っていても、いかにいい事をやっていても、社会にプラスにならない、むしろマイナスになる企業はいらないんじゃないか」と答えています。たんに、かつての利益が上がる、いい商品をつくるということだけが企業の理念であっては生き残れないというのです。なぜなら、その理念は、一企業にとっての、そして、その従業員とその家族にとっての存在理由であって、社会にとっての存在理由ではないからです。
そんなことで、ユニクロでは、力を入れているのが、自社の商品を回収し、難民キャンプに送るという取り組みで社会貢献をしているようです。この活動は、3年前から始め、現在年に3回、製品を客から回収していて、昨年度に回収された商品はおよそ134万枚あり、その中から状態が悪いものを取り除き、90%が難民の手に届けられたということです。企業による国際貢献といえば、資金提供が多い中で、自社商品を使った取り組みは全国的にも珍しいものだそうです。
 柳井氏は、今年3月に開いた社員総会で、グループ企業を含めたおよそ3000人の幹部社員の前で、このように演説したそうです。「服を変え、常識を変え、世界を変えていく。世界中の人々の生活を豊かにする画期的な商品を開発し、ユニクロを世界のカジュアルウェアのスタンダードにする。世界中で本当によい服を提供できるグローバル企業になり、社会に貢献する。これが我々のビジョンです」
 この宣言の真意は、「僕らは、本業で世界をいい方向へ持って行きたいと思っている。われわれは、多数の、特に年齢の若い人、そしてできるだけ優秀な人と仕事をしたいと思っている。優秀な人であればあるほど、その仕事が本当に社会的意義があるかどうかを問うもの。お金をたくさんもらえるということよりも、その仕事が、社会的意義があるかどうかで、その仕事をするかが決まると思う」
そして「世界を変える、社会に貢献する」については、「貧しい国でも、どんどん服を作っていこうと思っています。そういった国がもっと発展するように我々としても協力していきたい。発展途上国では、お金がないことも問題ですが、一番の問題は仕事がないってことですよね。だから仕事を作ることが僕は一番の貢献だと思います」と答えています。
ドラッカーは、「企業は社会の道具である」と言っています。企業だから営利目的であるという解釈だけでは、自己実現をする従業員は育ちません。企業活動を通じて、自分たちの使命を考え、成長を考え、そしていかに社会に貢献していくのかを考えることがこれからの企業に求められていくことなのです。

社会責任” への5件のコメント

  1. 「環境対策」と「経済活動」という相矛盾する課題を調和させていくことは、大変困難な作業です。産業革命以来、人類は鉱物資源を化石燃料を燃やすことで工業製品に作り変え、営々と廃棄物を捨て続けてきました。産業の発展、文明の進歩の歴史は、自然破壊の歴史と重なります。地球の温暖化による気象の変化は、自然からの警鐘にほかなりません。21世紀にいたってようやく人類はそのことの重大さに気がついたようです。「環境経営」とは、環境にやさしい経営という単純な意味ではなく、環境をよりよくするための経営と捉えるべきです。あのパナソニックは、「環境経営度調査」(日経新聞主催)で今年も製造業総合1位を獲得しました。環境貢献と事業成長の一体化、すなわち「事業を伸ばせば伸ばすほど地球環境がよくなっていく」ことを究極の目標にしているそうです。

  2. 「企業は社会のためにある」を実践しておられるユニクロの柳井さんはすごい方です。こういった姿勢をまっすぐに打ち出せるところは見習うべきですね。持続可能な発展をということで考えることがあるのですが、企業が持続的に発展していく過程ではトップの交代は当然あります。柳井さんは次にどうつないでいかれるんでしょうか。組織の持続について、移り変わるタイミングによってかなり違いがありそうなので気になったりします。ブログの内容とは全然関係ないですね。

  3.  前回のブログから企業の社会的責任というのがテーマになっていますが、逆に私達、保育園や幼稚園の社会的責任というのは、どうなのか?と思いました。保育園というのは利益を目的として行っているわけでもなく、他の保育園とライバル関係でもありません。将来の国を担っていく子ども達の基盤を培っていく場所だと私は考えています。しかし、昨日のブログではありませんが、企業が参入してきていくつも保育園を始めたり、保育園経営を企業のように考えて社会福祉法人がいくつも保育園を始めるなど、明らかに利益を目的としている傾向が多い気がします。しかしユニクロのような大手企業は自分達の会社の社会の役割というのをしっかりと考え、行動に移しています。トップの社長が自分の理念、会社の社会的責任を宣言することで、社員自身の意識が変わり、会社の業績も挙がり、それと同時に社会にも貢献できるのですね。それを踏まえてのドラッガーの「企業は社会のためにある」という言葉、とても心に響きました。

  4. 企業において、「社会的意義」というのは使命感ややる気につながる重要な意味があるんですね。いま、全世界にユニクロはひろがっていますが、そういった考えを元に企業の人たちが企業をもりあげているから今日の企業の発展があったんでしょうね。どのような組織でも営利目的のように目に見えた効果だけではなく「社会的意義」を考えることは今の世界では重要だということがわかりました。利益を求めるだけでは使命感ややりがいはなかなか出てこなくなると思います。その先にどれだけの社会貢献ができるかというのが分かればいくら大変な作業でもできるでしょう。企業を使って、どれだけ国を発展させるか、社会を発展させるか。行政だけが国を変えるという時代はもう過ぎたのかもしれませんね。

  5. 私たち一人ひとりが、好むと好まざるとに関わらず、社会の一員です。この「社会の一員」であることはとりもなおさず自らの生を通して社会に対して責任を果たしていくと同時に自分を生かしてくれるこの社会に貢献することです。「お金をたくさんもらえるということよりも、その仕事が、社会的意義があるかどうか・・・」、このユニクロ柳井さんのご指摘は重要です。例えば、私たちが働く保育園で考えてみるとわかりますが、しっかりと勤務して勤続年数を重ねる職員さんたちのほとんどは「もちろん給与をたくさんもらえると嬉しいけど、給与で働いているわけではない」と言います。この発言の背景には自らを「社会の一員」として認識し「社会責任」と「社会貢献」したいという意欲があると考えられます。理事長さんや園長さんはこうした職員さんの表に出ない思いを思いやりながらも子どもたちの可能性を最大限引き出す環境を創出することが社会責任であり社会貢献であると思います。

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