危機

 組織はいろいろな危機に出会います。その組織は、その時代の要請から生まれていることが多いために、時代による変化で危機が訪れることがあります。それは、その組織の存亡にかかわるかもしれませんし、改革のチャンスかもしれません。今回の東北大地震は、多くの組織にとって、その存在意味と、組織内での問題があらわにされてきました。特に、今回、東京電力と、政府の原子力発電に関係する部局の問題を多くの国民の知ることになりました。私は、単純に東京電力を批判するつもりはありませんし、ましてや、その社員や、その社員の家族に対して、その批判の矢が飛んでいる実態は悲しいと思います。もっと、冷静に現状における問題、長期にわたっての今後のあるべき姿をみんなで考えないといけないと思います。
 それにしても、東京電力の人たちは、ある意味で独占企業でもあり、いろいろな所への関係性の確保から、今回のような危機が訪れるとは思ってもみなかったでしょうね。社長などは、もう一生安泰と思っていたのに違いありません。ですから、原発の安全確保は自分の責務ということを話していた社長は、事故以降指揮を執っていたため、緊急入院をして、会長が代わりに主導していました。その後、復帰したのですが、約1週間でまた倒れてしまったようです。今回の事故は、すべて東電の責任というよりもさまざまなところが絡んでいます。今回、私が初めてその存在を知ったのが、電力事業者の規制・監視機関である「経済産業省原子力安全・保安院」と行政機関からは独立した立場で安全規制などを評価し、行政機関や事業者などを指導できる「内閣府の原子力安全委員会」です。これらのシステムがどの様に機能していたのでしょう。
 どうも、今回から見えてきたのは、これらの指揮体制への不安です。それは、まずトップの問題でしょう。危機にぶつかった時のリーダーのあるべき姿が問われることになります。日経ビジネスオンラインでは、「変革リーダー」ということで特集が組まれていますし、今週号の東洋経済では、「危機を乗り切るリーダーシップ」という特集です。「有事に問われる危機管理力、モチベーション力」です。東洋経済にはこう書かれてあります。「企業を取り巻く事業環境がまずます厳しさを増す中、管理職の重要性は高まるばかり。危機においてこそ、リーダーとしての真価が問われる。いま求められる能力と責任は何か。」
 このリーダーシップが問われている直面している危機とは、なにも地震の時だけではありません。最近の事業環境の激変の中では、従来の事業の進め方や意思決定ではうまくいかないケースが増えてきていると言います。
 かつてのリーダーと言えば「黙っておれについてこい」という指示命令型でしたが、今は、それだけでは通用しなくなっています。部下を信じ、部下の力を最大限に発揮させ、その意見を柔軟に取り入れることが必要になってきているのです。東洋経済で行ったアンケートでは、意外にも上司に対する評価で最も高かったスキルは「傾聴」でした。ただ、それでも10点満点中5.4点でしたが。しかし、不満の中には、「最後まで人の話を聞かない」とか、「聞いてくれるのはありがたいが、目標を達成する力量がない」や「情報の共有や伝達不足」ということが挙げられています。そして、「仕事を任せてくれる」など、部下を信じる態度も、傾聴の次に求められることでしょう。それと、人の話を聞いた後、それを実行できる個人的スキル、目標達成が大切であり、何よりも信頼できる上司であり、前向きで、真面目、やさしく、気さく、そんな人柄も求められています。