世界の動揺

 今回の日本における福島原発の事故により、原子力発電の見直しが世界では起きつつあります。しかし、それぞれの国にはそれぞれの事情があり、また、さまざまな発電方法にはメリットデメリットがあるために、簡単にどれがいいとはいえません。たとえば、世界一のエネルギー消費大国であるアメリカは、広大な国土には、石炭、石油、天然ガスなどのエネルギー資源が豊富に存在しています。しかし、ブッシュ政権では、地球環境保全とエネルギーの安定供給のために、原子力を重要な役割を果たすものとして位置づけ、オバマはそれを引き継いでいます。
一方、資源がない国では、いろいろと苦労しています。たとえば、フランスでは、日本同様、石油などの化石燃料に乏しく、石油危機以降、石油代替エネルギーの開発に邁進してきました。その中心が原子力です。そこで、現在、アメリカに次ぐ世界第2位の原子力大国になっています。自給率も50%を超え、発電コストが廉価な原子力の推進により、フランスは電気料金が欧州諸国の中で最も低い国の一つとしても有名です。
では、日本ではどうでしょうか。日本は、世界第4位 のエネルギー消費国です。それに引き換え、資源に乏しく、エネルギーの大半を輸入に頼っており、自給率は原子力を含んでも20%程度しかありません。そこで、フランス同様、石油危機を契機に石油にだけ頼るのはよそうということになり、原子力開発と電源の多様化に取り組んできました。数値的にみると、確かに日本ではどれかに偏らず、多様化しています。しかし、最近ではCO2削減ということから原子力発電の開発が中心でしたので、もう一度見直しが必要でしょう。
今回のような事故が起きると見直しが始まります。1986年に発生した旧ソ連のチェルノブイリ原子力発電所での事故の時も見直しが始まり、原子力発電の建設計画は減少傾向をたどっていました。しかし最近では、アメリカでの30年ぶりの新規建設の動きや再処理への方向転換、英国、フィンランドの新規建設促進など、世界的に原子力を見直す動きがみられ、こうした世界的な潮流を「原子力ルネサンス」と呼んでいます。スウェーデンでは、国民投票により段階的な原子力発電所の廃止が決定されましたが、代わりの電力は輸入か火力発電に頼る必要があり、経済性や地球温暖化対策の観点から望ましくないとされました。そのため、脱原子力政策から現状維持の方針に転換しています。このように、世界中が原子力発電に傾いている時の福島原発の事故ですから、世界では大慌てです。
たまたまドイツのニュースを見ていたら、メルケル首相は15日、日本の福島第1原子力発電所の事故を受け、国内の原発17基のうち、1980年以前に稼働を開始した7基について、当面運転を停止すると発表しています。安全性を再点検するためとしていますが、メルケル首相は昨年秋、野党や反原発運動家らの反対を押し切って昨年11月、原油などへの依存がなく、温室効果ガスとされる二酸化炭素排出量が少ないという原発の利点を主張し、その廃止を35年まで延長を決めたばかりでした。ところが、今回の日本での事故を受け、「日本のように高い技術を誇る国で、起こり得ないとされていたことが起こった」「安全が最優先」と述べて、“脱”脱原発の見直しを表明したのです。国内では脱原発をめぐる議論が一層過熱しているようです。ただ、野党が求めるような「原発の早急な閉鎖」については、ドイツのような経済大国では不可能だという指摘があり、原発の廃止によって不足する電力を再生可能エネルギーで十分に補えるようになるまでは、原発を使用していく考えに変わりはないと述べています。
 日本でも、前政権から引き継いだ原子力中心の発電は、早急に見直しの検討に入ってほしいですね。

世界の動揺” への5件のコメント

  1. 民主党は2003年の衆院選マニフェストでは原子力発電を「過渡的エネルギー」であり、太陽光や風力発電などへ転換を目指す方針でした。それが現実的に無理だという理由で、09年のマニフェストでは大きく方針転換。「原子力利用について着実に取り組む」と明記しました。さらに、菅政権は10年6月に閣議決定した「新成長戦略」で原発の輸出拡大を「国家戦略プロジェクト」と位置付けて、諸外国に国産の原発プラントを官民一体となって売り込み攻勢をかけてきました。『脱原発』がいつの間にか『原発の輸出拡大』に変わっていたわけです。震災復興の財源確保のために、子ども手当も高速道路無料化も農家の戸別保障も怪しくなってきました。「コンクリートから人へ」の掛け声は一体なんだったのか?

  2. 特に原発を持っている他の国にとって、今回の出来事は他人事とは思えないでしょう。これからどうなっていくか注目しているのもよく分かりますし、今後どのような方針を出していくのかも気になるところです。それもありますが、私の住む県も原発を抱えているので、今回の件から学ばなければいけないことは多いはずです。当然原発のあり方に対して声もあがってくるでしょう。ただ、言われるように、他の発電についてもデメリットは必ず存在するので、どのように電力を確保するかということだけでなく、どう消費電力を抑えていくかも同時に考えなければいけないはずです。今までのやり方を少し変更するという対応ではなく全く違う発想で考えていくことが求められていると思うので、少しでも早くその方針が出されることを望みます。その過程で、今まではあまり大事にされてこなかったことがいくつも顔を出してきて、小さな幸せが積み重なって社会が大きく変わっていくというような流れも期待できるんじゃないかな、なんてことも考えています。

  3.  原子力発電は電力を安定して供給しくれるので、とても便利ですし、地球の資源を使わない意味では、地球環境を守る為には良いのかもしれません。世界が原子力に頼ろうとしている時に、今回のような事故が起きて、実際に被害が拡大しているというのを見ると、動揺するでしょうね。しかし、だからと言って何もしないのは、おかしいですし、こういう時だからこそ早急に見直し、少しでも早く安心した生活が送れるようになって欲しいと願っています。

  4. 今回の福島の原発でこんなにも日本の電力は原子力に頼っていたのだと思いました。またその反面、それだけの電力を発生させるエネルギーのある原子力はそれだけでやはり脅威なのだとも気付かされました。何事にもやはりメリットとデメリットがあり、一概になんとも言えないのですが、国民一人ひとりの心がけも大きく、今まで贅沢に電気を使っていたのかもしれないと感じました。地球にもよくて、リスクの低い電力供給のできるものがあれば一番ですが、なかなかそうならないぶん、今自分ができることを心がけることが先決だと思いました。

  5. ドイツの州議会選挙でメルケル首相派の与党が大敗し、反原発を掲げる野党が大躍進しました。原因はフクシマの原発事故でした。東京都知事選挙では原子力行政を推進してきた現職が250万票の得票で自身反対してきた多選の結果に甘んじています。フクシマの原発事故の影響は微塵もありません。自販機とパチンコ屋が無駄に電力を使っていると言って指示を得たとの報道もあります。次回国政選挙があれば原子力行政を安全神話の元に推進してきた政党、沿岸漁民のためだと「万里の長城」と揶揄された防潮堤他護岸工事に多額の公的資金を投入してきた政党が過去の非を悔いることもなく政権の座に着くのもしれません。とにかく私たち日本人はもうこれ以上政治音痴であってはなりません。あらゆる情報を入手して明日の日本を託す政治家をしっかりと決めていきましょう。

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