日本人

今回の東日本大震災で、世界各国では日本の経験から多くの教訓を学ぼうとしています。それは、災害による対応とか、原子力発電についての処理や危険性についてなど、災害についての参考と同時に、その災害に対する人々の行動についてです。20日付の米紙ニューヨーク・タイムズは、福島第1原発で放射能汚染の危険に立ち向かう作業員の献身ぶりを称賛し、「米国は日本から何かを学び取るべきである」とする論評記事を掲載しています。この論評記事は、元東京支局長であったニコラス・クリストフ氏によるものですが、地震、津波、放射能漏れの三重苦で日本人の「団結が深まった」と指摘しています。そして、「我と欲を捨てる精神と冷静さ、規律を尊重するという日本人の行動規範を福島の原発で危険な作業を続ける作業員が体現している」とたたえています。さらに、日本政府の対応と比べ、苦難に耐える日本人を「立派で高貴だ」とし、米国人は日本人の精神から学ぶべきものがあるとの趣旨を貫いています。
過去にもたびたび外国人から、日本人の国民性に対して称賛されています。シーボルトと並んで「出島の三学者」と謳われたスウェーデン人の医師であり植物学者であったC・P・ツュンベリー氏は、1775年(安永4年)来日しています。そして、「江戸参府随行記」の中で、こんなことを書いています。
「地球上の民族のなかで、日本人は第一級の民族に値し、ヨーロッパ人に比肩するものである。…その国民性の随所にみられる堅実さ、国民のたゆまざる熱意、そして百を超すその他の事柄に関し、我々は驚嘆せざるを得ない。政府は独裁的でもなく、また情実に傾かないこと、…飢餓と飢饉はほとんど知られておらず、あってもごく稀であること、等々、これらすべては信じがたいほどであり、多くの人々にとっては理解にさえ苦しむほどであるが、これはまさしく事実であり、最大の注目をひくに値する。(中略)日本人の親切なことと善良なる気質については、私は色々な例について驚きをもって見ることがしばしばあった。それは日本で商取引をしているヨーロッパ人の汚いやり方やその欺瞞に対して、思いつく限りの侮り、憎悪そして警戒心を抱くのが当然と思われる現在でさえも変わらない。国民は大変に寛容でしかも善良である。(中略)正義は外国人に対しても侵すべからざるものとされている。いったん契約が結ばれれば、ヨーロッパ人自身がその原因を作らない限り、取り消されたり、一字といえども変更されたりすることはない。」
何とも面映ゆい表現です。「堅実」「熱意」「親切」「善良」「寛容」「正義」という言葉で表わされる日本人は、なんだかここのところ毎日テレビで流れている公共広告機構ACを見ているようです。同じように1856年(安政3年)に来日したあの初代米国総領事タウンゼント・ハリスは、「日本滞在記」の中で、鎖国を解いて外国の文化を日本に持ち込むことに迷いがあることを書いています。「彼ら(日本人)は皆よく肥え、身なりもよく、幸福そうである。一見したところ、富者も貧者もない?これが恐らく人民の本当の幸福というものだろう。私は時として、日本を開国して外国の影響を受けさせることが、果たしてこの人々の普遍的な幸福を増進する所以であるか、どうか、疑わしくなる。私は、質素と正直の黄金時代を、いずれの他の国におけるよりも、より多く日本において見出す。」
決して当時の欧米諸国からすると裕福でもない日本人が、とても幸せそうに見えています。それは、本当の幸福とは、「富者も貧者もない」ことであり、「質素と正直」を生きる上での一番の柱にしている日本に感心しています。今回の災害での日本人の行動は、この「質素と正直」が海外から見ると、表面化してきているのかもしれません。もう一度日本人の素晴らしさを復興に向けて見せる時かもしれません。

日本人” への5件のコメント

  1. 震災直後から流れているACのテレビCMが、ようやく通常の物に変わり始めました。CMの最後に流れる「エ?シ?」が耳につくというクレームから最近は音を消されることも。脳卒中や子宮頸がんの予防CMも絶えず流されていると病院にいるようで暗くなります。挨拶とか人には親切にのCMも道徳の押し売りのようで、チャンネルを変えてしまうことも。いつまでも日本中が喪に服して自粛一辺倒になってしまうのもいかがなものかと思います。(被害のなかった西日本に住んでいるから言えることかもしれませんが)東北の人々の復興を応援するためにも、日本全体の生活や経済活動を元に戻していくことも必要かも。
    震災直後に、『あなたたちは一人じゃない』という動画をyoutubeで観ました。今ほど日本人の底力を見せつける時ですね。もう一度、この国に「質素と正直の黄金時代」が訪れることを願って・・・。
    http://www.youtube.com/watch?v=IxUsgXCaVtc&feature=player_embedded

  2. ここに書かれているような気質を確かに日本人は持っているのかもしれませんが、そうではない面が感じられることも多く、考えれば考えるほど日本人の特徴が見えなくなってきています。うーん、ちょっと言いたいことが表現できていないですね。そういう良さは持っているけれど、あまりにも個人とか合理的にとかが過ぎたために、良さが良さとして十分に発揮できてない気がします。目に見え実感できるつながりを大切にすることや、多様な価値観を認め合うことを大切にすることなど、大切にしなければいけないと今まさに感じていることを素直に受け止めることからもう一度始めてみようという思いでいます。

  3.  今回のような大地震が起きると海外では店の物を奪うなどの暴動が起きると聞きましたが、日本人は決してその様な行動を取らないというのは自慢できるかもしれません。それまでの日本は政治にしても教育にしても全てにおいて、なんだか歯車がずれた感じがしていました。藤森先生が言われるように、今一度日本人の素晴らしさを復興に向けて見せる時です。ACのCMが流れすぎて苦情が出たそうですが、確かに私も押し付けがましい部分もあるかな・・・と感じたところがあります。しかしCMが伝えたい事や言葉は当たり前の事ですが、それが日本人の良さ、特徴です。私自身、もう一度日本人の良さを取り戻し、今、自分に何が出来るか考えてみようと思います。

  4. 最近では日本という国に対して外交ベタということもあり、あまり良い印象を受けることがないように思っていましたが、こういったときに他国から賞賛されるほどの「国民性」がでたのはとてもいいことだと思います。そういった強い気持ちをもった人たちがいることに誇りを感じます。「他の国から決して裕福ではない日本人が幸せそうにみえた。」これは今目指すべき生活に対する大切な言葉のように思います。人にはそれぞれの価値観があります。自分の生活を物理的ではなく、「豊かな生活」ということがなによりも大切なことだと思います。「堅実」「熱意」「親切」「善良」「寛容」「正義」過去に諸外国から言われた言葉、今できているだろうか、改めて考えていこうと思いました。

  5. 諸外国での大災害後の人々の行動を見ると、とても驚かされることがあります。人々が被災したお店からモノを持っていくシーン、支援物資配給に蝿の如く群がる人々、暴力、暴行、強盗、窃盗、・・・。今回の震災に際しての被災地の人々の行動に対する各国メディアの賞賛、讃辞は嬉しくなりますね。私たち日本人にとっては至極当たり前の行動ですが、彼国の人々からすると畏敬の念の対象なのでしょう。今回のみならず常にかくありたいと思った次第です。貧者も富者もなく質素と正直に生きることが幸せの秘訣であろうと私も思います。エコノミックアニマルになることもないし、ジャパンアズナンバーワンになることもないし、大国先進国である必要もありません。「貧者も富者もない質素で正直な国」を作っていきましょう。

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